海上に突然ビルが出現!? 海や砂漠で見える幻は、光が原因だった!

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海上に突然ビルが出現!? 海や砂漠で見える幻は、光が原因だった!

2016.03.03

提供元:マイナビ進学編集部

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海上に突然ビルが出現!? 海や砂漠で見える幻は、光が原因だった!

海の向こうに街などが浮いて見える、「蜃気楼」という現象。この不思議な現象には、光が大きく関係あるようです。どのような仕組みでこの現象は起きるのでしょうか。

この記事をまとめると

  • 蜃気楼は気温の変化と光の屈折によって生み出される
  • 中国には巨大なハマグリが蜃気楼を作り出したという伝説がある
  • 4月から5月までの暖かくなる時期が観測のチャンス

蜃気楼が見える、その原理とは

砂漠を歩く旅人。疲れ果ててのどはカラカラ。そんなとき、はるか地平線の彼方にオアシスを発見! 残された力を振りしぼって向かってみるとそれは幻影でオアシスなんて初めからなかった……。 そんなシーンを皆さんも映画やマンガで見たことがあるかと思います。

このような、砂漠や海などで遠い先に幻影が浮かび上がって見える現象を「蜃気楼(しんきろう)」と言います。この原理は、大気中の密度差(温度差)が生じることにより、大気の密度(温度)が変わる境目あたりに当たる光が屈折することによって遠い先にある物体がずれて見えてしまうためです。光は密度の高いほうから低いほうへ曲がってしまうため、空気中の上部の密度が高く、下部の密度が低い場合、人間の目からは対象物が高く浮き上がったように見えます。これを上方蜃気楼と呼びます。逆に上部の密度が低く、下部の密度が高い場合は正反対の現象が起きます。今度は対象物が下に沈んだように見え、これを下方蜃気楼と呼びます。

日本には地平線が見えるほど広大な自然の砂漠は存在しませんが、四方を海に囲まれているため、洋上でこれら蜃気楼を確認できる場所がいくつか存在します。ただし季節や温度、風向きや海流の動きなどいくつかの条件がそろわないと見ることができないため、やはり幻と言っていいほどレアな自然現象の一つに数えられるでしょう。

日本で初めて蜃気楼を目撃したのは上杉謙信だった!?

富山県魚津市は日本で蜃気楼が見える有名なスポットの一つです。富山湾に面し、海の向こうに能登半島を臨む絶好の条件がそろっていることから、これまでにさまざまな蜃気楼が観測されています。市内にある魚津埋没林博物館では蜃気楼に関係する展示や案内が多数ありますが、より蜃気楼について詳しく知ってもらおうとホームページでもさまざまな情報を提供しています。

そもそも人間が蜃気楼を確認した歴史はとても古く、紀元前にまでさかのぼります。中国の司馬遷がまとめた『天官書』の中に、巨大なハマグリのような生物が幻影を作り出しているという一説が登場します。この巨大生物の名は「蜃」と記されていて、蜃気楼の語源となっているそうです。

日本では1698年に記された『北越軍談』という書物の中に、1564年に上杉謙信が魚津で蜃気楼を見た、という記録が残っています。日本で蜃気楼に触れた最初の文献になりますが、この年は甲斐(山梨)の武田軍を相手にした第5次川中島の戦いの最中であり、さらに北越軍談自体も謙信の死後100年以上経ってから発行されたこともあり、謙信が本当に蜃気楼を見たかどうかは分かりません。

しかしその後も日本海側で蜃気楼を目撃したという話は多数残されており、加賀藩の歴代の藩主たちも蜃気楼の絵を描かせるなど蜃気楼にまつわる絵画や詩歌は多く存在します。江戸時代に入ると美術工芸の分野でも、蜃気楼をモチーフにした陶磁器、漆器、着物、装飾品などが多数制作されました。こういった長い歴史を振り返ると、蜃気楼は日本の歴史と芸術にも実に深く関わっていることが分かります。

観測には微細な条件が求められる

「ぜひとも蜃気楼を見てみたい!」という人のために、蜃気楼を肉眼で確認するためのポイントや注意点をいくつかご紹介したいと思います。

まずは視界を遮るものがない、地平線(水平線)が見える場所を探すことです。対象物までの距離は、最低5kmは必要であり、この距離を確保するにはやはり海岸が一番適しているでしょう。また洋上は海流によって気温の変動が発生しやすい環境にあるので、蜃気楼が作り出される重要な条件である大気中の密度差が生まれやすいのです。

また光の屈折が起こるポイントも海面から10m以内であることが多いため、海沿いでも崖の上や展望台といった高いポイントからは蜃気楼を確認することはできません。光の微妙な屈折で起こるため、肉眼では観測できないことや、ぼやけて見えづらいことも多々あります。そのため高性能の双眼鏡を用意するとより鮮明に見えることができます。

日本では富山湾以外でも北海道のオホーツク海側や、珍しいケースでは福島県の猪苗代湖でも蜃気楼が確認されています。寒さが和らぎ気温が上昇する4~5月にかけて多く観測されているので、ゴールデンウィークなどの長期休暇を使って探しに出かけるのもいいでしょう。

光の屈折は蜃気楼のほかにもさまざまな現象を生み出しています。例えば、水の溜まった場所に棒を斜めに差し込むと、水面の上と下で棒が曲がっているように見えるのも光の屈折のせいです。光が温かい空気から冷たい空気の方へ曲がっていくのは、空気の密度差による影響です。それと同じことが水と空気の間でも起きているのです。

こういった蜃気楼の仕組みについて考える学問として、主に気象現象を「物理学」として扱う一つの分野「物理気象学」が挙げられますが、このほかにもさまざま視点から蜃気楼を研究する学問もあります。興味のある方は調べてみてはいかがでしょうか。光が引き起こすちょっと変わった現象は、教科書や写真を眺めるだけでなく、手間と時間を割いてでも見つけにいく価値はあると思います。体験を通して得た感動はきっと皆さんの忘れられない宝物になることでしょう。

この記事のテーマ
数学・物理・化学」を解説

私たちの生活基盤である自然界で生じるさまざまな事象や物質、それらが織りなす理論が研究対象です。宇宙や生物がどのようにして誕生し、どのような構造になっているのかという、究極的な知的探究心は人類ならでは。森羅万象の構造や性質、法則と変化を探求する物理や化学、その習得に必要な数学というように、これらの学問は互いに深く関連しています。未知の領域への研究を進めながら、さまざまな原理解明をしていく分野です。

「数学・物理・化学」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「物理学」
はこんな学問です

自然界の物質や現象を理論で裏付ける学問。理論を習得するだけでなく、たくさんの実験や演習が必要になる。「理論物理学」は数学や量子力学を用いてこれを解明する分野で、ほかに素粒子の性質などを研究する「素粒子物理学」、宇宙の構造などを調べる「宇宙物理学」など、世の中のあらゆる物質、現象が研究の対象になる。専門性の高い分野で、情報通信業界や製造業界などに進むケースが多いが、大学や研究機関で、研究職の道を選ぶ人もいる。

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