新卒入社で即社長!? 『WAVEST』代表・松村淳平さんに聞く驚きの行動力とは
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みなさんはAmebeブログの存在をご存じでしょうか? そのブログサービスを運営しているのはサイバーエージェントという会社です。今回は、そのサイバーエージェントのグループ会社『WAVEST(ウェイべスト)』の代表取締役として働く松村淳平さんにお話をお伺いしました。松村さんは、入社後2カ月で会社を任せられたという異例の経歴の持ち主。
前編でも自ら動いて切り開いた学生生活を送っていましたが、仕事編もスゴかったー。 100個のアイデアを社長に送信!? 驚くべき行動力は必見です。
この記事をまとめると
- グループ会社の社長にアイデアを100近く送り続けた
- 今、松村さんは、すごい人材がいて、すごいアイデアがある会社にするための箱作りをしている
- 起業したいと思うなら、悩みが解決するのを待つよりも先に起業してしまえばいい
「会社がやりたいです」と会ったこともない役員たちを含めたFacebookグループをつくりました
――今されているお仕事内容について教えてください。
大きくいうとSNSを使ったマーケティング事業をやっています。例えばInstagramやTwitterを使って企業がプロモーションをしたいときの広告代理店のようなものですね。そういうのをSNSマーケティングというんですけど。SNSのインフルエンサーやインスタグラマーが約250人所属していて、そういった人たちと企業のコラボレーション事業を行っています。
――新卒ですぐに社長、という異例のキャリアですが、それは一体どのような流れだったのですか?
僕の場合は、最初から新卒で社員として入るつもりがなくて。大学のときに起業した会社にはエンジニアもデザイナーもいなかったので、限界を感じていたんですよね。経営をするためには、お金と人が必要だと思ってその方法を探したときに、このサイバーエージェントだったら、社長が認めてくれればそれを手に入れられる可能性があるなと思いました。チャンスがあるなら賭けてみようと思い、門を叩くカタチで入社しています。
面接のときから起業したい! とアピールし続けていました。
そもそも、最初に起業したのも、サイバーエージェント社長の藤田に憧れてのことなんです。大学2年のときに福井県の鯖江市という場所に免許合宿に参加したんですが、田舎で周りに何もなくて。とはいえ合宿中は暇ですし、唯一、自転車で40分くらいのところにあるブックオフに行ったんです。そこで、『渋谷で働く社長の告白』という本に出会いました。
当時は、渋谷に入り浸っていたので、「そんな社長がいるんだ~」と思って手に取ったのが、藤田の著書で。1P目に『私は福井県鯖江市で生まれました』と書いてあって、ここじゃん! と。読んでいくうちに、藤田に対してどんどん憧れを持ち、免許合宿中に「絶対起業しよう」と決めました。
本を読んだ後は、Twitterで社長に「会社やらせてください」といってめちゃくちゃ絡みましたね。社長も、「株主になりたいです」ということをTwitter上で言ってくれていたんですよね。それが19歳くらいで、そのときは実現しなかったんですが、そこからグループに入り、4年越しで叶えられたのがスタートでした。
――すごく運命的です! そこで本に出会わなければ今がないかもしれないんですね。
そうですね。会社をつくるときもすごく強引で。
社長に会ったこともない、ただの大学生のときに、Facebookのメッセンジャーから「会社をやらせてください」と、事業計画書のようなものをひたすら送り続けました。
それに対して、すごく忙しい方なのに、ここがダメとかしっかり返事をくれたんですよね。
でも100通くらい送った時点でキリがないなと思い、Webサイトでサイバーエージェントの役員を検索して、そこに載っていた名前をFacebookで調べました。そして、会ったこともない役員の方を勝手に含めてグループをつくったんですよね(笑)。
今思うと、頭おかしいですよね(笑)。そしたら役員の方が返事をたくさんくれたんですよね。そこで「これがやりたいです!」「あれがやりたいです!」と言い続けていたら、社長から個別で「社長室来い」とメッセージがきました。それで実際に会ったところ、「会社をやってみなよ」と言ってもらえたのがスタートです。
――100通もメッセージを送って、心が折れませんでしたか? 他のことに当てはめても、目標を達成する前に力尽きてしまう人もいるかと思うのですが、モチベーションを保つ要因はなんだったのでしょうか。
心が折れるということは全くなかったです。これをやってやるんだという気持ちがすごく強かったので、モチベーションが落ちてると思うこともなくて。
もし、目標を達成する前に諦めてしまう人がいるとしたら、それは本当にやりたいことではないと思うんですよ。例えば、勉強やバイトのモチベーションが~とか。
例えば、バイトで少し注意されて辞めてしまう程度なら本当はやりたくないんでしょうね。僕だって、もしやりたくないことをやっていて上の人から怒られたらそう思いますよ。高校時代の時間は貴重なので、だからこそ、やりたいことをやったほうがいいです。
社員の人にとって居心地がよくて、やりがいを感じられる箱づくりをしていきたい
――実際に、社長になってみてたいへんだったことはなんですか?
自分より先輩の人たちが部下になったことです。会社を立ち上げたのは、一昨年の6月で、当時はメンバーが同い年くらいの5人でした。でも2カ月後に20人くらい人が増えたんですよ。サイバーエージェントでもともと働いていた方々で、技術職の人が8割くらいだったのですが、僕は技術系の会話ができないし、経験もあって、僕よりも会社のことを知っている人たちがいきなり部下になるという。しかも9月には、査定の時期があったので、どういうキャリアを踏んできたのか分からないのに、みなさんの給料を決めなきゃいけないことがリアルにたいへんでした。
同時にブログで書いた『会社は学校じゃねえんだよ』が、すごくバズったころで。あれは言ってみればブログという世界で描いた一つの側面なわけで、実際にはそういうところだけではないさまざまな面があるのに、そこだけが世に出てしまいまして。入って来てくれた社員のみなさんも、そういうふうに僕のことを思っているわけですよ。生ぬるいことを言ったら、殺される! みたいな雰囲気が社内にあってピリピリしていましたね。
相手は人間で、性格も考え方も違いますし、接していかないとどうにもならないので、趣味を聞いたり、僕なりにいろいろとコミュニケーションを取り、関係を築きました。
――では、楽しかったことや仕事のやりがいはなんですか?
業績が上がったときはうれしいですね。でも基本的に楽しいということはなく、ツラい・苦しい・悲しいが9割です(笑)。
仕事自体のやりがいは、業績が上がったときや、掲げていた目標をチームで達成できたとかそういったことで、まだまだベンチャー企業ですし、会社を大きくしていこうと集まったみんなで一致団結して達成したときはやってよかったなと思います。
僕は、“すごい会社をつくりたい”という考えがまずあって、やっているビジネスの内容は正直何でもいいんです。会社って箱のようなものだと思うので、すごい人がいるほど、サービスやアイデアが生まれ、それが人を潤していき、会社が大きくなっていくものなのかなと。だから僕は、その箱作りに専念しています。社員の人にとって、居心地がよくて、楽しく仕事ができて、やりがいを感じられるようにしていきたいです。
――最近は、YouTubeの活動もしていますがそれはどうしてですか?
実は、一事業としてやっているんですよ。SNSマーケティングをやっているのですが、YouTubeは手をつけていませんでしたし、YouTuberってどうやってなるんだろう? といった感じからマーケティングの一環でやっています。
動画編集もやったことがなかったので、カメラと編集ソフトを買うところから始めて、今では動画編集の相談や仕事がくるくらいに腕が上がりました。
――通常業務に加えてされているということですよね?
はい。やってみてはじめてYouTuberってこんなにたいへんなんだなって思いました(笑)。おかげさまでそういった方と仕事をしやすくなりました。自分自身でやることができてよかったなと思います。
悩みが解決するのを待っていたら何十年も経ってしまう。まずは起業してから考えてみて
――今後の目標はなんでしょうか?
SNSを使って何かしたいと思ったときに、WAVESTという会社の名前が普通に出てくるような会社をまずは目指したいです。何十年という単位でいったら、すごい人がいて、すごいサービスがあって、それをつくりだせる箱のような会社をつくりたいです。
――SNSを使ったことを仕事にしたい高校生が、今のうちからやっておいたほうがいいことはありますか?
自分でSNSを使い倒すことです。もしかしたら、見えない人からの批判もあるかもしれないですが、気にしないでください。僕は中学生の頃から発信していたので慣れっこでもあるのですが、例えばキモイとコメントが来ても別に何もないんですよ。そういうことを冷静に考えると実生活に影響しないですし、どんどん発信していったほうがいいですよ。
――それでは最後に、起業に憧れる人にメッセージをお願いします。
起業する前って、たぶん心配事が山ほどあると思うですよね。やり方にしろお金にしろ。でもその悩みって、起業していない素人が解決できることじゃないんですよ。1つ悩めば2つ悩みが出てくるように、悩みはどんどんでてきます。でも、それがオールクリアになるまで待っていたら、何十年もかかるので、いったん起業して走りながら考えればいいかなと思います。失敗しても全然いいと思います。むしろ早いほうがいいと思うし。だから起業したければ今すぐしちゃえ! ということですね。
目標を現実にするために、Facebookでグループをつくったり、アイデアを100個出し続けたり。驚くほどの行動力と、今も目標に向かって走り続ける松村さんはとてもすてきでした。
起業に憧れがある方は、松村さんのようにアピールする姿勢を取り入れてみてはいかがでしょうか?
また、松村さんのTwitterやLINE@で相談をしてみてもいいかもしれませんね。
【Profile】
松村淳平(まつむら・じゅんぺい)
1990年11月14日生まれ。千葉県出身。高校2年生のころにブログ広告枠の販売を行う広告代理店事業を立ち上げ、早稲田大学2年生のときに起業し、代表取締役社長に就任。早稲田大学を卒業後、サイバーエージェントより1.3億円の出資を受けて株式会社WAVESTを創業し、代表取締役社長に就任。
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この記事のテーマ
「ビジネス・経営」を解説
国内外を問わず、幅広いビジネスの現場で企業に利益をもたらす仕事です。それぞれの業界に精通した営業職はもちろん、経営コンサルタントや税理士といった経営をサポートする専門職もあります。後者の仕事をめざすには、法律などの専門知識や文書作成などの技能を磨く他、資格取得や検定合格が必要な場合もあります。
この記事で取り上げた
「アントレプレナー(起業家)」
はこんな仕事です
自らビジネスプランを考えて、会社を起こす仕事。これまでにない斬新なアイデアで、ベンチャー企業などをつくる人も増えている。かつて株式会社をつくる場合は1000万円以上、有限会社をつくる場合は300万円以上の資本金が必要だった。しかし、2006年5月に会社法が施行され、1円の資本金で起業が可能になり、税務署に開業届などの書類を提出するだけで容易に会社をつくり、社長になれるようになった。会社を起こした後は、自ら考えた経営ビジョンの下、戦略と計画を立てて会社を経営していく。
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