【シゴトを知ろう】カフェオーナー 編
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クリエイティブな人たちが集うカフェスペース「factory」。渋谷の街からは少し離れ、閑静な渋谷2丁目に店を構える隠れ家的人気店です。
今回は「factory」のオーナーを務める西原典夫さんに、カフェオーナーの仕事内容ややりがいをお伺いしました。お店の内装や接客についてのこだわりもお聞きしたので、カフェの仕事内容が気になる高校生はもちろん、接客業に興味がある人にも役立つ内容になっています!
この記事をまとめると
- 仕事をしながら自分のペースも大事にできる
- 長続きの秘訣はお客さんに自由なスペースを提供すること
- ゆったりとした雰囲気や空間でリピーターが増えている
お店は“自分の居場所”でもあり、自分のペースで仕事ができる
――1日の仕事内容を教えて下さい。
factoryは食事メニューを絞っているので、カフェのわりに朝の仕込みは少ないほうだと思います。ご飯を炊いたり掃除をしたりといった開店業務をしてからお店をオープン。営業中は接客とオーダー対応をして、空いた時間でSNSや経理などのパソコン作業をしています。一人でやっているので、休憩のタイミングは自分のペースで。仕込みは営業中の忙しくない時間や閉店後にやることが多いですね。閉店時間も、たくさん飲んでくれているお客さんがいたらゆっくりしてもらうこともあって、ゆるくしています。
仕事が終わった後はお店で一人ゆっくりすることが多いですね。家だとあまり大きい音で音楽を聴けないので、自分の好きな音楽をかけてお酒を飲んだり、スクリーンでミュージシャンのLIVE DVDを見たり、のんびりしています。
――一人でお店を経営されていますが、誰かを雇ったりはしないんですか?
将来的にはあるかもしれませんが、いまのところは考えていません。最近はワンオペが板についてきたというか(笑)、ストレスや大変なこともあまりないので。ただオープン当初は経験のあるバーテンダーと2人でやっていて、助けてもらいました。立ち上げから全部自分一人でやっていたら厳しかったと思いますね。
――食べ物は持ち込み自由とお聞きしていますが、それはオープン当初からですか?
そうですね。食事はもちろん集客や売上げにはつながりやすいんですが、反面、飲み物に比べると仕込みの時間がかかることや、ロスも出やすいということもあって、そこは抑えたいと思っていました。それだったら食事の持込みをOKにして、ドリンクを注文してもらおうと。食事を持ち込むということは、それにかかる仕込み・提供時間・ロスはゼロということです。
実際お客さんにも好評で、例えばランチなら自分でつくったお弁当をオフィスのデスクではなく、会社の外に出てお友達と一緒に食べることができます。なかには、ほとんど毎日自分で作ったお弁当を持ってくる人もいますよ。さらにfactoryには土鍋があるので、夜には好きな具材を持ち込んで鍋をするお客さんもいます(笑)。
お客さんの空間を邪魔せずに、気持ちよく過ごしてもらいたい
――仕事をしていて楽しいことはなんですか?
お客さんと話したり、関われていると感じるときが楽しいですね。ゆっくり話ができるというのはカフェならではだと思います。渋谷らしくスタートアップ系の話を聞かせてもらうこともあります。さらにお客さんのつながりで、いろんな人と出会いがありますし、それは大きな魅力ですね。
――逆に苦労することはありますか?
いまのところあまり感じていません(笑)。しいて言えば体調を崩せないということでしょうか。それはこの仕事に限らないことですが、飲食店は現場ありきの仕事なので特にそうだと思います。とは言え、定休日や計画的な休業は自分で決めることができるので、休めないということではないです。この2月には一週間休みを取ってNYに視察に行く予定ですし。特に昼間の常連さんには迷惑をかけてしまいますが、理解のある方々ばかりなので甘えさせてもらっています。
――仕事のやりがいを教えてください。
factoryと自分の人柄をリンクさせて捉えてくれるお客さんがいるということでしょうか。そういう意味では自分にしかできない仕事という部分があるので、そこがやりがいですね。他の仕事でもそうだと思いますが、自分だからできているとか、自分がやっているからこそ、という風に思える仕事だったら、それはやりがいのある仕事といえると思います。
――接客やお店の内装で気を使っていることはありますか?
過剰接客をしないとか、お客さんの時間や空間を邪魔しないということは気を付けていますね。なるべく自由に気持ちよく過ごしてもらいたいので。お店にいるけど“居心地のいい部屋のような雰囲気”を感じてもらいたいと思っています。
内装は、NYやフランスで見てきたカフェで気に入ったお店を参考にしています。いい意味で不揃いにしていることや、パソコンを広げてもグラスやお皿を置けるくらい広めのテーブルとか。電源とWi-Fiがフリーなことに関しては、仕事やSNSなどもそうですが、パソコンはもはや紙とペンのようなものだとも思っていて、フランスのカフェで小説を書くカミュやサルトルのような使い方もしてもらいたいなと。
人との付き合いを大事にして新しいものはどんどん取り入れていく
――常連さんがとても多い印象ですが、なぜでしょうか?
ゆるい雰囲気とか自由な空間というところが気に入ってもらえてるんだと思います。仕事の打合せ、勉強、パソコン、読書、ひとりで、友だちと、昼ビール、夜お茶……。思い思いの時間を過ごすことができるので。自宅でも職場でもない、“サードプレイス”として上手に使ってくれているひとが多いと思います。
――今後考えているお店の展望などあれば教えて下さい。
そんなに壮大な野望みたいなものはないんですが、お店の完成はないと思っているので、引き続きお客さんとのつながりを大切にしながら、おもしろいことは随時取り入れていきたいと思っています。それを取り入れられるような柔軟さと余裕を持ちつつ、長く続くお店にしたいです。
“つくる場所”ではありたいので、勉強会やイベント、映画の試写会や企業の発表会のような、飲食店に限らないスペースの使い方ができたらいいですね。いろんな使われ方をされる“自由なスペース(空間)”を目指していきたいです。
Profile
西原典夫(にしはらのりお)/factoryオーナー
1976年生、茨城県出身。小学生からバレーボールを始め、大学に進み体育教師を目指すが休学を経て中退。アルバイト先であったジャズクラブ・ブルーノート東京に就職。以降同社のスタッフ教育や新規事業立ち上げなどに携わる。飲食業以外にはIT企業やMOLESKINE代理店に勤め経験を積み、2011年11月にカフェfactoryで独立。
この記事のテーマ
「食・栄養・調理・製菓」を解説
料理や菓子などの調理技術や、栄養や衛生などに関する基礎知識を身につけます。職種に応じた実技を段階的に学ぶほか、栄養士などの職種を希望する場合は、資格取得のための学習も必須です。飲食サービスに関わる仕事を目指す場合は、メニュー開発や盛りつけ、店のコーディネートに関するアイデアやセンス、酒や食材に関する幅広い知識も求められます。
この記事で取り上げた
「カフェオーナー」
はこんな仕事です
カフェを経営するのがカフェオーナーの仕事。資金集めや店舗探し、マーケティング、スタッフの雇用や育成など、カフェに関わる全ての責任を負う。オーナー自らが接客から料理提供まで行う店もあれば、シェフやパティシエを雇って経営のみを担当する場合もある。近年、街中でも多くの店舗を見かけるカフェ業界だが、競争が激しいのも事実。安定した集客のためには来店者のニーズをしっかりくみ取り、リピートしてもらえるサービスやメニューを常に追求・考案することが不可欠だ。
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