目指すは春休みに留学!? 留学先ってみんなどうやって決めているの?

誰もが一度は憧れる海外での生活。それを可能にするのが「留学」です。春休みに向けて短期の留学を考える人もいるかもしれません。すでに行き先は決めましたか? 今回は、留学準備において大切なことを、高校留学のアドバイザーである、ICC国際交流委員会の須山明恵さんにお聞きしました。
この記事をまとめると
- 留学先は「スケジュール」「目的」「気候」を考えて決めよう
- 海外でのコミュニケーションは、「自分の意見や感情」をはっきりと示すことが大事
- 留学におけるアドバイスをする仕事を「留学コーディネーター」という
留学先はどうやって決めるべき?
――春休みに留学する場合、いつごろまでに留学先を決めるとよいですか?
須山さん(以下、須):留学を考えているのでしたら、本来であれば2~3カ月前には申し込む必要があります。なぜなら、直前になってしまうと、通える学校が限定されてしまうからです。留学できる期間も限られてしまいます。このような状況を避けたいのであれば、春休みには留学せずに、次の夏休みに行くとよいかもしれませんね。そのためには今から情報収集をはじめて、4~5月ごろに申し込むのが理想的です。
――留学先を選ぶときは、どのような観点から決めるべきでしょうか?
須:方法としては3つあります。1つめは、「自分のスケジュール」に合わせて決める方法です。学校の補習や部活などで忙しい高校生も多いと思います。自分自身のスケジュールを確認して、「いつ行けるのか」を把握することが大事です。日程が決まれば、自ずと行き先も絞られてきます。
2つめは、「目的」によって決める方法です。春休みの場合、期間が短いので「語学を学ぶ」ことを目的とした留学をするケースがほとんどです。でも、夏休みになると、語学を学ぶだけでなく、「科目」を学ぶこともできます。アメリカ、カナダといった国々では「サマースクール(現地の学校で、夏休み中に行われる授業)」が実施されるので、そこに参加すれば、スポーツや芸術に関する勉強も可能です。さらに、「TOEFL(英語のコミュニケーション能力をはかるテスト。大学以降の留学や、海外での就職で重要視される)」対策に特化した授業が行われることもあります。勉強だけでなく、観光を体験できるプログラムも存在しますし、夏休みの場合は目的に合わせた留学先選択ができるのです。
3つめは、「気候」を考えて選ぶ方法です。夏休みになると、南半球の国には寒いところが多いので注意してください(日本と気候が逆転しているため)。逆に夏の北半球は、どの国も気候はよいですね。春休みの場合も、どの国に行っても気候に問題はありません。
英語力ってどのくらい必要?
――留学をするのに、英語力はどのくらい必要ですか?
須:高校生が留学する場合、英語の試験に合格する必要などはありません。ただし、積極的に現地の授業に参加し、周囲の人とコミュニケーションをとるためには、ある程度の英語力が必要になってきます。
オーストラリアの場合、「英検準2級」を持っていれば、現地の「高1」の授業に参加することができます。「英検2級」があれば、「高2」の授業に参加できるでしょう。アメリカやカナダの場合は、学校によってまちまちです。
ただし英検は、あくまで「読み書き」のレベルをはかる試験です。海外の高校の授業は、自分の意見を発言したり、ディスカッションをしたり、レポートを書いたりする「アウトプット」が中心に行われることは知っておかなければいけません。
――アウトプットの力を伸ばすには、どうすればいいのでしょうか?
須:日本の学校では自分の意見を発表することが少ないため、アウトプットの力がつきにくいのだと思います。最優先すべきは、日本語の「文章構成力」をつけることです。自分の考えを筋道立てて説明できるようにしましょう。例えば、何かに対して「イヤだ」と思ったとします。
「○○はイヤだ」→「なぜ、イヤなのか?」→「こういう理由だからイヤだ」→「他の人は○○に対して、△△と思っているらしい」→「だが、私は××なので、イヤだと思う」。このように考える習慣をつけるとよいのではないでしょうか。英語力は、現地の学校のカリキュラムで身に付いていく傾向にあるので、そこまで心配する必要はないと思います。
留学を有意義なものにするにはどうするべき?
――留学先で起こりがちなトラブルはありますか?
須:ここ10年間、トラブルは少なくなっているんですよ。今の高校生たちには、“いい子”が多いみたいですね。けれども、“いい子”だからこそ、恥をかくことや、嫌われることを恐れて、自分の意見や感情を上手に表現できていないように感じます。
海外では、自分の考えや感情を言葉にすることを強く求められるのです。そのため、自己表現がうまくない高校生の場合、ホストファミリーとあまり仲よくなれなかったり、成績表で「発言・質問が少ない」と評価されたりすることもあります。
――留学時のコミュニケーションおいて、大切なことは何なのでしょうか?
須:自己表現が大切だと思います。例え英語力が足りなくても、相手に自分の感情を伝えようとしている姿勢を見せられればよいのです。うれしいと感じたら、「笑顔」。これだけでも、相手に気持ちは伝わります。
また、「私・僕は留学生なんだから、知らないことがあって当たり前なんだ」くらいの図太い精神で、間違いを恐れずに、周囲の人と積極的にコミュニケーションを取っていってほしいです。あなたの意見や気持ちが人に伝わった瞬間、きっと「楽しい!」と思えるはずですよ。
留学におけるアドバイスをする仕事「留学コーディネーター」
普段の生活では、周囲にいる大人が、「あなたの言いたいこと」を読み取ってくれることもあるはずです。しかし、海外では同じようにはいきません。慣れない土地で自分の意見や感情を伝えることは、少し怖く感じるかもしれませんが、伝わったときの気持ちは格別です。自信を持ってコミュニケーションを取るようにしてください。
留学の相談に乗って、その人にあった留学を提案する仕事を「留学コーディネーター」といいます。行き先のアドバイスをすることはもちろん、コミュニケーションにおいて大切なことを伝えるのも重要な仕事です。あなたも須山さんのように活躍してみませんか?
【取材協力】ICC国際交流委員会
この記事のテーマ
「語学・国際」を解説
外国語を自在に使い、コミュニケーションを図る表現力を実践的に学びます。国際情勢などの知識、情報を収集する好奇心、語学力向上の努力が常に求められます。資格取得を目指すカリキュラムもあります。将来の仕事としては、日本語と外国語を翻訳・通訳することで双方の意志疎通の手伝いをするなど、海外との橋渡しをする職業が考えられます。
この記事で取り上げた
「留学カウンセラー」
はこんな仕事です
海外留学を考えている人に留学先の情報を提供し、希望に沿ったプランを提案。留学全般の手配と渡航後のケアなどを手掛ける。英語圏への留学を例にとっても、該当する国は実に多彩だ。外国で学びたい分野、予算や期限によって学校選びは千差万別といえる。さらに、必要書類の作成や航空券の手配、宿泊先の確保なども仕事のうちだ。留学先とのコーディネートを行うので英語力は必須となる。留学に関する知識、旅行代理業のノウハウ、相談者の信頼を得る接客力も欲しい。
-
PICK UP! 「留学カウンセラー」について学べる学校
-
語学・国際について学べる学校

