家でも学校でもない? 日常から離れてリラックスするための「第三の場所」って何?
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家でも学校でもない、あなたがリラックスできる場所はありますか? そのような「第三の場所」が求められる背景を解説していきます。
この記事をまとめると
- リフレッシュや交流目的として存在する「サードプレイス」
- 約70%の社会人がサードプレイスは必要だと考えている
- 求められるサードプレイスは、性別、年代、ライフスタイルによって大きく異なる
大人になれば分かる? 日常を抜け出したい気持ちって?
みなさんはこれから大人になり、いつか社会人になります。「仕事をバリバリこなしたい!」と考えている人もいると思いますが、社会人になり、日々仕事で忙しい生活を送っていると、自宅から職場までの往復以外に、行動パターンがなくなってしまうというのは珍しい話ではありません。
そんな悪循環を改善しようと、現在、自宅と職場以外に自分の居場所を求める人が増えてきています。それが「サードプレイス」と呼ばれる場所で、自宅(ファースト)でもなく職場(セカンド)でもない、自分だけの行きつけの場所を指します。
このサードプレイスは、アメリカの都市生活学者であるレイ・オルデンバーグが提唱したもので、自著の中で、日々忙しい人がリフレッシュできる場所だったり外部の人間と交流を図れる、ちょっとした憩いの場所が重要だと説いています。
大人になると、学生時代には感じたことのないようなストレスを抱えることがあります。仕事で決まった人と毎日顔を合わせることを苦痛に感じる人も少なからずいます。あまりに平凡な毎日に嫌気が刺し、気だるさや無気力に襲われる人が大勢いるのも現実です。そこで新しい出会いや発見を求める目的でサードプレイスに足を運ぶのです。
具体的には居酒屋やカフェなどの飲食店、スポーツジムのようににぎやかな場所から、映画館や美術館のように一人マイペースでいられる場所までその種類は千差万別です。また最近はフリーランスで働くクリエーターなどが集う「コワーキングスペース」も注目されています。
コワーキングスペースは、一般的なオフィスビルをリフォームしたものなどもあり、そこにはテーブルやソファーなどが用意されています。基本的には仕事をする場所なので、皆一様にパソコンに向かい静かに仕事に打ち込んでいますが、ミーティングスペースなどでは偶然居合わせた利用者同士で話が弾むことも多々あるようで、交流を目的に通うビジネスマンもいます。実際こういった場所から新たなビジネスのアイデアが生まれたりすることもあるそうです。
サードプレイスに関するアンケートを実施
読売広告社都市生活研究所が、首都圏に住む20~70代の男女1,100人を対象に行ったサードプレイスに関する調査ではさまざまな動向が読み取れました。
まず「職場でも家でもない自分だけの場所を持っているか?」という質問に対し、全体の25.6%の人が「持っている」と回答。また「欲しいけど持っていない」と回答した人は42.9%を占め、およそ7割以上の人がサードプレイスを求めていることが分かりました。
また男女とも年代が上がるにつれ「持っている」と回答した人が多くなっています。これは社会的地位が上がるにつれ余裕ができたこと、また定年退職した会社員や子育てを終えた女性などが、自分だけの時間を多く持てるようになったことが原因に挙げられます。
肝心の「場所」についてですが、1位「カフェ・喫茶店」、2位「公園や河原、海などの屋外」、3位「スポーツクラブ・ジム・ヨガ」という結果になりました。年代別で見てみると、20~30代は男女とも「カフェ・喫茶店」と回答した人が多く、60代になると男性は「居酒屋・飲み屋」、女性は「スポーツクラブ・ジム・ヨガ」と回答する人が増えています。インドアかアウトドアか、休息か体力づくりかといった具合に、回答者の目的や趣味などにより、行きたい場所の性質が異なっているのも興味深いところです。
さらに通勤時間が長いか短いかによって、サードプレイスに求めるものにも変化が見られました。通勤時間が短い人(10~30分未満)が選んだ活動内容は、1位「スポーツ」、2位「自然に触れる」と、健康やエクササイズを意識したアウトドア色の強い結果になりました。逆に通勤時間が長い人(50分以上)が選んだ活動内容は、1位「何もしない」、2位「学び」と、休息や勉強といったインドア色の強い結果になりました。このことから職場近隣に住む人は運動不足の解消や自然散策といったアクティブな目的を、職場から離れた場所に住む人はストレス解消のため気持ちをリセットする目的を持っていることが分かりました。
高校生にもサードプレイスが必要だ!
大人を対象としたアンケートで、仕事や通勤といった言葉を並べられても、みなさんはピンと来ないかもしれません。しかし高校生にだって、サードプレイスは存在します。
遊びに行った友達の家はもちろん、学校帰りに立ち寄るファミレス、ファストフード店、カラオケやゲームセンター。学校以外の友達に会うという意味では塾や予備校だってそうかもしれません。またアルバイト先は仕事の厳しさや礼儀作法を学ぶ絶好の場所でもあります。
部活や受験勉強などで少なからずプレッシャーやストレスを日々感じながら生活していることでしょう。忙しい合間を縫って友達同士でワイワイ騒いだり、たまには一人でボーっとしたりする場所もみなさんにとって十分必要なのだと思います。自宅でも学校でもない場所を見つけられれば、そこで新たな交流や社会勉強ができることでしょう。新たな発見を求めいろいろな場所へ足を延ばしてみることは、人間社会につながる「社会学」を学ぶ第一歩になるかもしれません。
この記事のテーマ
「社会学・マスコミ・観光」を解説
この3分野、実は密接な関係があります。観光業界にとってマスコミは広報活動そのもの。そしてマスコミは、社会の動きを探り伝えるために社会学を重視しています。社会が求めるニーズをマスコミが精査し、それを地域活性化のために活用する。社会学・マスコミ・観光の関わりは今後ますます大きくなるでしょう。
この記事で取り上げた
「社会学」
はこんな学問です
社会のなかでの個人の行為、集団の持つ特性、他者とのコミュニケーションなどに一定の法則性を見出して、社会の仕組みや働きを解明する学問である。研究対象は広く、社会学的な視点で研究できるものであれば何でも対象とすることができる。たとえば、家族社会学、芸術社会学、法社会学、都市社会学、宗教社会学、教育社会学、スポーツ社会学など、テーマの自由度は高い。その一方、社会全体を意味付けるグランドセオリー(一般理論)を志す学者もいる。
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