食パンが消しゴム代わり!? 美術の学校では、筆もペンも使わずに絵を描く?

美術の予備校や大学・専門学校などでは、筆もペンも使わずに絵を描くことがあるのだとか。通常の画材を使わなくて描く絵とは、どういったものなのでしょうか。詳しくご紹介します。
この記事をまとめると
- 絵の基本といわれる、対象物の本質を見い出す「デッサン」
- デッサンをするときには、木炭と食パンを使うことがある
- 食パンを使うのは、紙を傷めないためと、デッサンの雰囲気を出すことができるから
絵の基本? デッサンって何?
高校の美術の授業では、水彩画や油絵を習いますよね。絵の具同士を混ぜて色をつくったり、下書きしたものに色をのせていくのは難しくもあり、完成に近づいていくたびに面白さも感じられるのではないでしょうか。絵を描くことが好きな人にとっては、美術の授業はとても楽しい時間だと思います。
美術の予備校や美術系の大学・専門学校に行くと、さらに絵について詳しく学ぶことができます。絵の基本はデッサンですから、予備校や大学・専門学校ではまずデッサンを学んでいくことになります。
デッサンとは、鉛筆や木炭などを使って対象となるものを描くことで、デッサンの目的は対象物の本質を見い出すことです。例えば、リンゴを描くときに、ただ赤い丸に枝と葉っぱが刺さったものを描くのはデッサンとはいいません。色や模様、形など一つひとつ違うリンゴの特徴を捉え、どこに重心があるか、切ったらどうなっているかということまで考えて描いていくことがデッサンなのです。
木炭と食パンを使ったデッサンって?
予備校や大学・専門学校でデッサンを行うとき、驚くような道具を使うことがあることを知っていますか? デッサンは、絵の下書きとなるものですので、鉛筆と消しゴムを使うことが普通だと思いますが、なんと木炭と食パンを使ってデッサンをすることがあるのだそうです。
木炭デッサンでは、鉛筆のように細い線は描けませんが、面を塗りつぶすことが簡単にできるので、明暗をつけたデッサンを描くことにとても向いています。形を捉えるデッサンよりも、対象物の明るさや暗さを表現する練習をするのにとても便利なのです。
木炭デッサンをするときには、木炭紙というものを使います。木炭紙は少し凸凹している紙で、木炭の粉末が定着しやすいようになっています。この木炭紙にデッサンをするときに必要となるのが食パンなのです。
なぜ木炭デッサンに食パンが必要なの?
なぜデッサンに食パンを使うのかというと、消しゴムで消すと木炭紙を傷めてしまう恐れがあるから。食パンなら柔らかいので紙を傷める心配もありませんし、使い方によっては印象的な画肌を表現することもできます。
食パンを使うときは、柔らかい白い部分だけを使います。押し固めて消しゴムの代わりにするのはもちろん、ふわふわの状態のまま木炭で描いた部分をこするとぼかしたりすることもできます。
ちなみにバターがたっぷり入った食パンは、逆に絵を汚してしまうおそれがありますので、添加物の少ない安い食パンを選ぶのがポイント。また、絵を描いている間に食パンが乾燥しないように、ビニールでカバーをしておくことも忘れないようにしなくてはいけません。
美術の世界では、食パンのほかにも、ガーゼなど、身近なものが道具として使われることがあります。絵の基本となるデッサンを学ぶのももちろん大切ですが、身近な道具を使って絵を描くなどアイデアを大切にしてみると新しい創作ができるはずです。ぜひ試してみてくださいね。
この記事のテーマ
「芸術・表現・音楽」を解説
絵画や造形、声楽や楽器演奏、演劇や芝居、マンガやアニメーションなど、さまざまな芸術分野で、表現者としての感性や技術を磨きます。近年では、活躍の場を広く海外に求め、高い評価を受けている人たちも多くいるようです。作品の制作や演習などの実技はもちろんのこと、それを裏打ちするために専門分野の歴史や理論の授業も行われます。そのため、アーティストとして作品を発表する以外に、指導者や研究者としての道もあります。
この記事で取り上げた
「美術」
はこんな学問です
芸術の創作者または評論者としての知識と技能を学ぶ。領域としては、平面、立体といった区分けに加えて、現在ではデジタルメディアも含まれる。平面では油彩画、水彩画、日本画、立体では彫刻、彫塑が主なジャンルとして挙げられるが、伝統的な手法によらず、素材を混合した作品や、観客参加型のパフォーマンスを作品とする場合もあり、表現は広範囲に及ぶ。学校では技能だけでなく、画材の専門知識、美術史も学び、理論と実践の両面で専門性を高める。