競技にどんな影響がある? 野球賭博って、なんでいけないの?
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昨年の秋以降、スポーツニュースを賑わしている「野球賭博」。なぜスポーツの賭博が問題になっているのでしょうか。その秘密を探ります。
この記事をまとめると
- 野球賭博は、法律だけでなく、「野球協約」でも禁止事項となっている
- 競技において「八百長」が起きないように取り締まられている
- スポーツ選手やチームで働く人には、きちんと協約や規則を把握することが大事
野球賭博はどうして話題になった?
みなさんにとってはまだあまり身近な世界ではないかもしれませんが、世の中にはいろいろなギャンブルがあります。主にギャンブルとは、何かにお金を賭けて、それが増えたり減ったりする賭け事のこと。例えば日本では、公の機関がギャンブルとして開催する“公営競技”には、競馬や競輪、オートレースなどがあります。
これらのギャンブルでは、投票権を購入できるのが20歳以上とされているため、高校生のみなさんは手を出してはいけません。法律で禁止されています。とはいえ、そのことくらいは多くの人が知っていることと思います。
さて、ギャンブルは日本語に直すと「賭博」といわれます。そしてこの「賭博」という言葉は、ニュースでよく聞かれることがあります。例えば最近では、「野球賭博」という言葉を聞いたことはないでしょうか。これは、野球の試合の勝敗を予想して、お金を賭ける行為をいいます。2015年には、複数のプロ野球選手が野球賭博をしていたことがニュースになりました。
いろいろなギャンブルがありますが、野球賭博は年齢に関係なく法律で禁止されています。日本の刑法には、「賭博及び富くじに関する罪」という規定があるからです。そして、野球賭博は法律だけでなく、日本野球機構が定めた「日本プロフェッショナル野球協約」でも禁止事項とされています。野球賭博に関わった選手も、チームを解雇され、さらにプロ選手として失格処分を受けました。
野球賭博は過去にも大きな問題になった!
実は過去にも、野球賭博が大きな問題になったことがあります。それは1969年に起きた、“黒い霧事件”と呼ばれる八百長にまつわる事件。暴力団とプロ野球選手が関わり、金銭の授受を伴う八百長に関与したとされ、大きな注目を浴びました。複数球団で計20人が処分を受け、また6人の選手がプロ野球界から「永久追放」となったことも大きなインパクトを残しました。
野球賭博は、試合の勝敗を予想して、お金を賭け、賭け金が増えたり減ったりするものです。予想が当たれば、お金が増える仕組みになります。しかし、野球というのは、あくまで人間がやっている競技です。ほとんどの選手がスポーツマンシップに則った公正なプレーを行っていたとしても、金銭の授受などによって、誰か一人の選手をうまく誘惑することができれば、その選手が手を抜き、わざと負けるなどして、そのチームの勝敗を左右できてしまう恐れがあります。
例えば、野球賭博をする人が、チームの選手とグルになって「ワザと負けてくれ」とお願いしたとします。そうすると、本当なら勝利を奪い合う試合だったはずが、大事な局面でわざとボールをこぼす、空振りするといった八百長によって、試合結果は全く違うものになるでしょう。誰かが賭けに勝てるように仕組まれることで、競技の公平性が保たれなくなってしまうということです。
こういったことから、野球賭博はゲームとしての緊迫感や魅力を奪い、「八百長」を増やす可能性があるため、法律だけでなく、「野球協約」でも禁止されているのです。冒頭で触れた昨年の事件も、選手だけでなく球団自体の責任も問われることとなりました。
ゲームなどをギャンブルの題材にすれば、どうしても「八百長」の危険性が出てきます。そういったことも、野球賭博を厳しく取り締まる要因といえるでしょう。
おっと、鋭い方ならここで一つの疑問を持つかもしれません。それは、「競馬や競輪も八百長の危険があるのでは?」ということ。だって、公営競技とはいえ、競馬騎手や競輪選手がワザと負けることもできるのですから、それは八百長になるはずです。
確かにその通り。実際、競馬では八百長が疑われたことも過去にあります。しかし、そういった事態にならないような対策もとられています。例えば競馬では、騎手や馬を管理する調教師などが馬券を買うことはできません。そのほかにもいろいろな防御策をとって、八百長が起きないように努めています。
感動の裏には、選手や周りで働く人の努力がある
普段から行われているさまざまなスポーツは、戦うもの同士が勝利を目指しているからこそ、感動できるもの。そのためには、八百長が起きないようにきちんとルールをつくったり、管理したりしなければなりません。
そして、実際にスポーツのチームに所属する選手だけでなく、スポーツチームや組織で働く人たちは、賭博にまつわる協約や規則をきちんと把握し、守ることが非常に大切になります。
ファインプレーに魅了され、興奮しながら観戦するさまざまなスポーツ。その感動の裏には、スポーツチームや組織で働く人たちの努力や、誠実さがあるのです。いつかスポーツチームや組織で働いてみたい! と考えている人は、まずはあなたが好きなスポーツのルールについて知識を深めておくと、将来、仕事で役立つかもしれませんよ。
この記事のテーマ
「健康・スポーツ」を解説
スポーツ選手のトレーニングやコンディション管理に関わる仕事と、インストラクターなどの運動指導者として心身の健康管理やスポーツの有用性を広く一般に伝える仕事に大別できます。特に一般向けは、高齢化の進展や生活習慣病の蔓延が社会問題化する中、食生活や睡眠も含めて指導できる者への需要が高まっています。授業は目指す職業により異なります。
この記事で取り上げた
「スポーツのチームや組織で働く人」
はこんな仕事です
野球やサッカーなど、スポーツ選手が所属するクラブチームの運営に携わる仕事。広報活動やスポンサーの開拓、選手の契約の管理、経理など、業務内容は幅広い。新たな有力選手の入団交渉や、所属選手に対する処遇の変更など、チームの人事面もサポート。また、サポーターやファンの来場数を増やすために、集客方法を考案することもある。クラブチームを運営する企業に就職するケースが一般的。必要な資格はないが、スポーツが好きで、チームや選手に愛着を持って業務と向き合える人に向いている。
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