体が硬い人は要チェック! 落ち込みやすい原因は意外なところにあるかも!?
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体が硬いと、心にも影響があるといいます。体と精神の関係性についてご紹介します。
この記事をまとめると
- うつ病の人は筋肉が硬くなっていることがあり、ストレッチがうつ病予防になる
- 近年、若者の体が硬くなっており、柔らかくすることが心身の充実につながる
- 心身の健康と運動の関係を考え、研究するのが「健康科学」である
ネガティブな気持ちの原因は、「体の硬さ」かも?
毎日生活していると、日によって「気分がすぐれない」「元気が出ない」ということがあるのではないでしょうか。そんなときは、人と話すのも面倒だったり、どんなことに対してもネガティブに考えてしまったり。なかなかつらい思いをしてしまいますよね。
自分が落ち込んでいると、ほかの人にも不愛想になりがち。ですから、友達を悲しませてしまったり、ときにはケンカしてしまったりするかもしれません。そのため、多くの人はなるべく毎日明るく、前向きに生きていきたいと思うのではないでしょうか。そのほうが、きっと自分も友達も楽しいはずです。
ただし、そうやって気持ちを前向きにするのは簡単ではありません。そもそも、なぜ自分の気持ちはネガティブになりがちなのか。その原因はいろいろあり、簡単には解決できないのです。
しかも、ネガティブになる原因には、意外なものもあります。例えば「体の硬さ」。体が硬い人は、落ち込みやすかったり、気分がふさぎやすかったりするというのです。いったいなぜなのでしょうか。
ネガティブな人は、体の筋肉も硬くなりがち?
気分が落ち込みやすかったり、ネガティブに考えやすかったり、そういった精神的な傾向が強くなると、それは「うつ病」と呼ばれる心の病気と認められます。うつ病は、病院に行く必要があるほどの病気で、きちんと治さなければ、どんどんネガティブな感情が膨らんでしまうことがあります。
うつ病に悩んでいる人を見てみると、多くのケースで同じような症状が現れます。例えば、「眠れない」という睡眠障害。あるいは頭痛、めまい、吐き気など。心の病気は、こういった形で体にも影響を及ぼすのです。
今挙げたもの以外にも、うつ病の人に見られがちな体症状があります。それが、首や肩のコリ。筋肉が硬く凝っている状態です。
このようなことから、うつ病を治すための手段として、体をストレッチしたり筋肉をほぐしたりという方法が取り入れられています。これは、うつ病の人に起きる体の変化を先に治して、そこから逆に心も健康にするというやり方なのです。
考え方を変えると、「体の硬い人は、うつ病になりやすい」といえます。うつ病とまでは行かずとも、落ち込みやすかったり、気分がすぐれなかったりというケースが多いかもしれません。そして、みなさんのような高校生でも、今、体の硬い人が増えているようなのです。
人の体には、手足などを動かす「運動器」というものがあるのですが、これに障害が起きて体が硬くなることを「ロコモティブ症候群」と呼びます。そして、将来この症候群になりそうな子どもたちが、今、増えているようなのです。
本来、若い人のほうが体は柔らかいもの。それなのに、近年の子どもたちの体を調べると、硬い子が非常に多いようです。これは、テレビゲームなどのやり過ぎなど、体を動かす機会が減少していることなども影響しているといわれています。
具体的には、前屈をしたときに、手からつま先までの距離がかなり離れていたり、手を広げて反り返したときに、その反り返しがわずかだったり。基本的な動作を見ても、子どもたちの体の硬さが顕著になってきているのです。
さて、こうなってくると気になるのは「体の硬さ」と「心」の関係です。先ほども説明したように、うつ病の人は筋肉がこっていて、体が硬いケースが多いといいます。だからこそ、体の硬い人は精神的にネガティブになりやすいといえます。
一方、子どもたちの間には、体の硬い人が増えてきている。となれば、子どもたちの中で、うつ病にまではならなくても、ネガティブになりやすい人が増えているかもしれません。
だからこそ重要なのは、落ち込んだり気分がふさいだりしたときに、ストレッチなどによって体を柔らかくしてみることです。あるいは、気持ちをいつも明るく保つために、日頃から柔軟体操をして筋肉を柔らかい状態にしておくこと。実はそれが、心の健康に役立つのです。
「気持ちの問題なのに、ストレッチで治すなんてバカバカしい!」と思う人もいるかもしれません。しかし、考えてみてください。クヨクヨしている人が「明るくなろう」「前向きになろう」と考えても、そう簡単に気持ちを変えられませんよね。それができるなら、最初からクヨクヨしないのですから。
そこで、気持ちが沈んだときに現れる体の反応を変えてしまうのです。心と体は密接な関わりを持っていますから、体を変えれば心が変わるかもしれません。もし、落ち込みやすい自分の性格に悩んでいる人がいたら、試しに体を柔らかくしてみてはいかがでしょうか。
スポーツによって心身の充実を考える「健康科学」
運動やスポーツは、決して趣味としてだけでなく、その人の健康をつくる上でも極めて重要。体はもちろん、心の状態にもいい効果を及ぼすのです。体の柔らかさと心の問題が関係しているといわれているのも、その例といえるでしょう。そのようなことから、運動をもとに健康を考える学問がつくられています。それが健康科学です。
うまくプレーすることだけが重要なのではなく、体を動かして健康を保つのもスポーツの役割。その役割を分析し、効果のある運動を考えていくのが健康科学のテーマといえるでしょう。
またそれだけでなく、食べ物から摂る栄養と健康の関係などについても、健康科学では調べていきます。あるいは、子どもたちを育てる教育の上でも、スポーツはいろいろな効果を生みます。こういったいろいろなテーマに対し、スポーツを軸に据えたものが健康科学なのです。
スポーツによって、人々の健康や暮らしをよりよくしていく。そのために、健康科学を学んでみると面白いのではないでしょうか。
参考:
公益社団法人 日本整形外科学会|新概念「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」
http://www.joa.or.jp/jp/public/locomo/
クローズアップ現代|子どもの体に異変あり ~広がる“ロコモティブシンドローム”予備軍~
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3489_all.html
痛みの身体心理学|うつ病の改善には心より身体の症状を良くすべき理由とは?
http://www.shirogane-chiro.com/blog/utu-body/
健療院グループ|うつ病の隠された原因。感情と筋肉
http://www.kenryouin-group.com/utu-jiritu/kanjou.html
この記事のテーマ
「体育・健康・スポーツ」を解説
病気やケガの予防や予後のケアを通して、人々が健やかに暮らせるようにするのが、健康学の理念です。食生活や運動などのライフスタイルや心理状態、検査やリハビリテーションなど、学ぶ内容は多岐にわたります。体育やスポーツは、健康を維持するための身近な方法であるとともに、人生を豊かにする趣味であったり、人によっては職業になることもあります。競技技術の向上だけではなく、メンタルや栄養、指導者のスキルも学びます。
この記事で取り上げた
「健康科学」
はこんな学問です
健康管理と指導法を、スポーツ、栄養、教育心理の3つの観点から学ぶ学問。具体的には、健康維持にとってのスポーツの役割を正しく把握し、健康管理のための運動法を研究する「運動健康学」、栄養が身体にもたらす働きについて学び、よりよい栄養摂取を研究する「栄養管理学」、健康を保つために必要な心のケアや、指導法を研究する「健康心理学」「健康教育学」など。スポーツに関連する専門家を養成し、教員などのスポーツ指導者へ進む道がある。