女性の足が好き過ぎた!? ノーベル賞候補にもなった日本の文豪って?

ノーベル文学賞の候補にもなった、女性の足に異常に執着したとある作家が日本にいました。一風変わったその作家の作風や趣向をご紹介します。
この記事をまとめると
- 「あの人のどこが好き?」と聞かれて、「足」と即答しそうな文豪がいた
- 谷崎潤一郎の作品の中には、足への執着が表れたものがある
- 作家の嗜好をひもとく日本文学って面白い
足好きな文豪がいるって知ってる?
「好きな人のどこが好き?」と尋ねられた時、あなたはなんと答えますか? 性格でしょうか? それとも顔でしょうか?
「あの人の○○が好き」という言葉に、身体のパーツを当てはめる人も多いのではないでしょうか。「あの人の声が好き」「手が好き」「髪が好き」など、人それぞれですよね。
かつて日本には、そこでためらわず「足」と答えそうな文豪がいました。その作家は、谷崎潤一郎。この名前、どこかで聞いたことはないでしょうか。
谷崎潤一郎の作品に見る「足フェチ」っぷりがスゴイ
谷崎潤一郎は昭和に活躍した文豪です。国語の教科書で目にしたことがある人もいるでしょう。この文豪、足の描写に並々ならぬこだわりがあります。例えば……。
拇指(おやゆび)から起って小指に終る繊細な五本の指の整い方、絵の島の海辺で獲れるうすべに色の貝にも劣らぬ爪の色合い、珠のような踵(きびす)のまる味、 清冽な岩間の水が絶えず足下を洗うかと疑われる皮膚の潤沢。(『刺青』より引用)
足一つでここまで書くか、というくらいに細かく描写していますね。それもこれも足が好きだから。谷崎作品には、美しい女性の白い小さな足の描写がしばしば登場します。「足フェチの文豪」と呼ばれるゆえんです。
ほかにも谷崎作品には、フェチズムが炸裂した作品が多く存在します。『痴人の愛』『卍』では悪女に振り回されけなされても献身的に仕える姿を。いわゆる「マゾヒズム」を作品に描きました。既成の倫理観にとらわれることなく、愛と性が倒錯した世界を展開する谷崎潤一郎。しかしその確かな筆力で、ノーベル賞候補にもなったのです。
教科書から広がる、文学の魅力
また谷崎の血縁関係は複雑で、谷崎自身、3度の結婚をしています。1度目の妻は同じ小説家に譲渡してしまうなど、私生活も波瀾万丈であったようです。近年では親族や妻に送った手紙が本として出版され、谷崎自身の思考を辿ることもできるようになりました。
あのフェチに溢れた作品は、いつ、どのようにして生まれたのか。興味が湧きませんか? このように、作家の嗜好や時代背景を考えながら作品をひもといていくのが日本文学です。谷崎が活躍した昭和はもちろん、古くは万葉集、現代文学まで、全ての時代の文学を研究対象としています。私生活や作家の嗜好を踏まえて読めば、作品の見方が変わることもしばしば。より深く文学を楽しむことができる学問だといえそうですね。
この記事のテーマ
「文学・歴史・地理」を解説
文学は、長い歴史のなかで変遷してきた人間の生活や社会、人々の考え方や感情の変化などを、文章表現をもとに考える学問です。文献を読み解いて比較検討し、過去から現在、さらには未来に至る人間のあり方や社会について研究します。地理学や歴史学は、今日の私たちの生活や文化、経済活動などについて、基盤となった地形や気候、史実やさまざまな事象、最新の研究結果や歴史的な遺構をもとに、その成り立ちから考える分野です。
この記事で取り上げた
「日本文学」
はこんな学問です
古事記や万葉集などの上代文学にはじまって、中古、中世、近世、近現代に至る日本の詩歌、日記、物語、戯曲、小説など、あらゆるジャンルの文学的な表現を研究の対象とする学問である。また、それぞれの文学作品が生み出される背景となった作家の個性、同時代的な価値観、さらには、その時代の流行などの文化的な特徴、その作品が社会に与えたインパクトなどについても多面的に考察する。
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