手フェチや足フェチっていうけれど……そもそも「フェチ」ってどういう意味?

「フェチ」という言葉の意味はどんどん解釈が広がっていますが、もともとはある意味を指す言葉でした。本来の意味と「フェチ」の対象をご紹介します。
この記事をまとめると
- フェティシズムという言葉、もともとはイヤらしい意味じゃなかった!
- 心理学では「生命のないものに対する性的欲求」のことをフェティシズムという
- 靴や服装がフェティシズムの対象になることも
「あなたは何フェチ?」っていうけど、「フェチ」っていったい何?
「私、実は腕フェチなんだ。男の人の腕がたくましいのってなんかいいよね」
「私は耳かな? 耳の形がきれいな人が好き!」
「えぇ~!? 変わってるー!」
なんていう会話を友達としたことはありませんか? 手が好き、足が好き……など、一般的に、フェチという言葉は「異性の体や、行動の一部が特に好きなこと」という意味で使われることが多いです。
フェチとは「フェティシズム(fetishism)」が略されたもので、もともとは宗教学の用語として使われていたもの。本来は木片や貝殻、石など、持ち運びできるような小さなものに神様や呪力が宿ることを指した言葉なんです。昔の人は狩りや戦をするときに神が宿っていると思われる小さなものに祈りをささげ、効果がないときはそれを捨てて、別のものを選んでいたようです。
フェティシズムは「生命のないもの」に対する性的欲求
その後、フェティシズムはさまざまな意味を持つようになります。心理学者のアルフレッド・ビネーが1887年に発表した論文で「『生命のない物体』に対する性的欲求」のことをフェティシズムと呼ぶよう提唱しました。
心理学でいうフェティシズムでは、はじめは「ただ好き!」という感情だけだったものが、その対象について調べたり愛用したりしているうち、いつのまにか極端なこだわりが生まれてしまうこと、と解釈されています。つまり「男性の腕が好き」「女性の足が好き」ということは厳密なフェティシズムという言葉とは、ちょっと違っているかもしれません。
例えば、よくフェティシズムの対象になるのが服装に関するもの。ハイヒールやブーツに性的魅力を感じたり、デニムやラバー(ゴム)製の洋服が体にぴったりとフィットすることを好んだり、トレーニングウエアのサイドラインや切り替えにこだわりを感じたりする人もいます。また、男性の女装、女性の男装も一種のフェティシズムです。
フェティシズムは日常生活に影響する?
精神医学において、かなり深いこだわりを指すフェティシズムは、しかし、その性的嗜好が極端に偏ることで、行き過ぎた行動や妄想など、日常生活に影響が出てしまうこともあります。その欲求が膨れあがることで、性的嗜好を抑えきれずに、のぞきや窃盗といった犯罪に発展してしまうと、自分だけの「深いこだわり」では済まない、取り返しのつかないことになりかねません。病院の心療内科や精神科では、こういった精神状態や性的嗜好についても診察を行うことがあります。
フェティシズムのような思考や行動についても研究を行うのが、心理学という学問。フェティシズムは人それぞれ対象も違いますし、こだわりの強さも違います。定義が難しいものですが、研究していくうちに新しく分かってくることがあるかもしれませんね。
この記事のテーマ
「人間・心理」を解説
人を研究対象として、人間の心理や身体、人間が作る社会集団、生活の特徴やあり方を研究します。人間科学は、人間という存在や関係性そのものを研究し、学習範囲は栄養学から文化人類学、スポーツ科学まで広範囲にわたります。心理学は人間の心や行動の特徴を分析・解明します。ストレス社会と呼ばれ、心の病に苦しむ人が増加している現代では、なかでも臨床心理学の重要性が注目されています。人間の存在意義の基礎となる学問です。
この記事で取り上げた
「心理学」
はこんな学問です
人間の心理や行動がどのような原理で動いているのかを研究する学問である。それにはさまざまなアプローチがある。たとえば、認知心理学では対象を知覚してから言語化するまでの作用を情報処理のプロセスとして理解する。発達心理学は人間が誕生してから死ぬまでの心の変化が何によるのかを探究する。臨床心理学は心のバランスを崩してしまった人の状態の改善をめざす。志望校に自分の本当に学びたい心理学があるかどうかを必ず確認することが大切だ。
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