臭いニオイを判定する人がいるってホント?

この記事をまとめると
- 日本には、悪臭苦情を解決する「臭気判定士」という人たちがいる
- 悪臭苦情は全国で24,000件以上! ニオイに関する苦情は意外と多い
- 衛生的な生活環境を求める現代において臭気判定士はより重要な仕事に
「くさ~い!」を測定する仕事がある!
日本には、悪臭の調査などを主に行う「臭気判定士」という職業があるそうです。しかも立派な国家資格なんだとか!? 高校生のダイスケ君は理科の先生に詳しい話を聞いてみることにしました。
工場・事業所からのニオイを測定するのが臭気判定士の主な仕事
ダイスケ君「あ~今日も部活疲れたなあ~。汗だくだから早く帰ってお風呂に入らなきゃ汗臭くてたまらないよ。これって臭気判定士って人が近くにいたら怒られちゃうのかな?」
先生「いやいや、怒ったりはしないと思うよ? 確かにちょっと汗臭いけど(笑)。臭気判定士の仕事は人の体の臭いをかいだりするわけじゃないからね」
ダイスケ君「そうなんですか!? 良かったあ。じゃあどんなことを仕事にしているんですか?」
先生「臭気判定士は、工場・事業所からのニオイを測定するのが主な仕事なんだ。市役所や区役所からの依頼が多いみたいだよ」
ダイスケ君「へぇ~! 自分で臭いところを見つけてくるわけじゃないんですね。実は、うちのトイレが臭くてさあ」
先生「そりゃそうだよ。家のトイレが臭いというくらいは自分で掃除しなきゃだめだよ。臭気判定士は、全国で13,000件以上も発生している悪臭苦情を解決するために仕事をしているんだから」
ダイスケ君「そんなに苦情があるんですか? じゃあトイレ掃除は自分でしないといけないかあ。それより、臭気判定士ってどんなことをするんですか?」
先生「うん、気になるよね。臭気判定士は、悪臭による苦情が寄せられた工場などの現場に調査に行くんだ。そこで悪臭がする大気をビニール袋に入れて持ち帰って分析して数値化するのが仕事なんだよ。分析はもちろん、自分の鼻でするんだけどね」
ダイスケ君「やっぱり自分の嗅覚が頼りなんですね」
先生「もちろんそうだよ。でもね、臭気判定士の人たちが人間離れした犬のような嗅覚を持っているかというと、そうじゃないんだ。あくまでも正常な嗅覚を持っていることが資格を取る第一条件なんだよ」
ダイスケ君「資格って難しいのかな? 僕も臭気判定士になれるのかな?」
先生「臭気判定士は国家資格が必要な職業なんだ。だからハードルは高いかもしれないね」
ダイスケ君「国家資格!? じゃあ大変な職業なんですね」
先生「もちろん大変な職業だよ。仕事に行く現場は、臭いが強烈なところがほとんどだから、肌や髪に臭いがうつったり、目が痛くなったりすることもあるみたいだよ。それに、悪臭の原因が有害物質だったりしたら危険もあるからね。でも悪臭の原因を見つけて解決に導く仕事だから、やりがいはすごくあると思うよ」
ダイスケ君「そうかあ。ちょっと考えてみようかな。今日のところはまず自分の汗臭さ問題を解決することにします!」
先生「そうだね! 汗を流してスッキリしてからよく考えてみるといいよ」
衛生的な生活に慣れた現代人にとって必要な職業
このように、人々を不快にするニオイを数値化するのが臭気判定士の仕事です。生活環境が衛生的になったおかげで、昔に比べて悪臭を気にする人々も増えているのだとか。ニオイに関する苦情や要望も年々増加傾向にあり、臭気判定士の需要もどんどん高まっています。これからの社会でますます人の役に立てる仕事といえるかもしれませんね。
参考:
環境省|平成 25 年度悪臭防止法施行状況調査の結果について
http://www.env.go.jp/air/akushu/H25akushu_gaiyo_.pdf
この記事のテーマ
「環境・自然・バイオ」を解説
エネルギーの安定供給や環境問題の解決など、自然や環境を調査・研究し、人の未来や暮らしをサポートする仕事につながります。また、自然ガイドなど、海や山の素晴らしさと安全なレジャーを多くの人に伝える仕事もあります。それぞれ高い専門性が求められる職業に応じて、専門知識や技術を学び、カリキュラムによっては資格取得や検定も目指します。
この記事で取り上げた
「臭気判定士」
はこんな仕事です
工場や企業、そのほか施設などから出る臭気の濃度を測定する仕事。悪臭の苦情を解決することが主な目的で、「臭気判定士」は調査・判定を統括する立場にある。試料となる臭気の採取から、調査・分析、判定までが業務範囲で、分析機器を使って測定する方法と、人の嗅覚そのもので測定する方法の2種類があるが、自治体から臭気判定の依頼を受ける際に必要となる「臭気判定士」の国家資格は、人の嗅覚で測定を行うための資格である。資格取得のためには、筆記試験と実際の嗅覚を試される試験がある。