壁にスプレーで描かれた絵って、かっこいいけど、ただの落書きとはどう違うの!?

日本の街でも見かけるアート、「グラフィティ」。何となくかっこいいけど、これってそもそも何なの?と思っている人も多いかもしれません。このアートの歴史や特徴についてご紹介します。
この記事をまとめると
- 今やアートの一つになっている「グラフィティ」は、もともとは落書きだった
- 景観を乱す落書きをクオリティの高いグラフィティに描きかえる、合法的なグラフィティもある
- グラフィティ・アーティストは有名企業とコラボし、活躍の場を増やしている
グラフィティはただの落書き? それともアート?
街を歩いていると、壁やシャッターなどにスプレーで大きな絵が描いてあるのを見かけることがあります。街中の壁に描かれた絵を「グラフィティ」といい、絵を描く人をライターやペインターと呼びます。
1970年代のニューヨークで、スプレーやフェルトペンを使って壁や電車に落書きをする若者があらわれ、彼らの落書きからグラフィティがはじまったといわれています。はじめは落書きだったのですが、描き手が自分の名前や自分が所属するグラフィティ集団のチーム名、出身地などを描いて、いつのまにか自分の存在を主張するためのツールになりました。そのうち、社会に対する批判や意見などがイラストとして描かれるようになり、世界的に注目される存在となっていきます。
日本でもグラフィティが増えてきたころ、東京・渋谷の宮下公園では、「クオリティの低いグラフィティで景観が乱されるくらいなら、あらかじめクオリティの高いグラフィティを描いてしまおう!」と、プロのアーティストに依頼してリーガル・グラフィティ(合法的な落書き)を描き、公園の壁をアートに変えてしまうというプロジェクトが行われました。
グラフィティ・アーティストの活躍が目覚ましい!
宮下公園のアートプロジェクトに参加したのは、KRESS、FATE、PHIL、大西洋など約20名の若手のアーティストたちです。このプロジェクトによってリーガル・グラフィティの認知度が上がり、仕事として行うグラフィティは「アート」であると認められるようになっていきました。
その後、グラフィティ・アーティストとして活躍する人たちが増えていきます。ドクターペッパーのラベルをデザインしたSUIKO、キューピーのCMに作品が起用されたTOMI-E、マクドナルドがワールドカップのときに展開したプロモーションで、フライドポテトのパッケージデザインをしたDOPPELなど、企業とのコラボレーションをすることもあるので、彼らのデザインを知らず知らずのうちに目にしています。
人気のグラフィティ・アーティストになると、自分の作品集を出したり、展覧会を開いたりすることもあるそうですよ。
適切な場所に描かれたグラフィティは芸術作品になる
グラフィティのようなストリートアートは、街の景観を乱し、犯罪が起こりやすい環境をつくってしまう、という意見もあるので、今でも賛否両論が分かれています。逆に、閉店してしまった店が多い、シャッター街となっている商店街などは、美術性の高いグラフィティを描くことによって、落書きを防止しつつ、かつ商店街が明るく見えることもあります。
アートとは本来自由なもの。適切な場所に描かれたグラフィティのようなストリートアートが、美術や芸術として認められるようになってきているのは確かですが、描き手のモラル低下によって、迷惑を被っている人たちもいます。
勝手にグラフィティを描くことは、器物損壊にあたる犯罪行為で、見つかれば警察に逮捕されてしまいます。場合によっては多額の損害賠償を請求されることもあります。「かっこいいからやってみたい!」など安易な気持ちでグラフィティを行ってはいけませんよ!
この記事のテーマ
「芸術・表現・音楽」を解説
絵画や造形、声楽や楽器演奏、演劇や芝居、マンガやアニメーションなど、さまざまな芸術分野で、表現者としての感性や技術を磨きます。近年では、活躍の場を広く海外に求め、高い評価を受けている人たちも多くいるようです。作品の制作や演習などの実技はもちろんのこと、それを裏打ちするために専門分野の歴史や理論の授業も行われます。そのため、アーティストとして作品を発表する以外に、指導者や研究者としての道もあります。
この記事で取り上げた
「美術」
はこんな学問です
芸術の創作者または評論者としての知識と技能を学ぶ。領域としては、平面、立体といった区分けに加えて、現在ではデジタルメディアも含まれる。平面では油彩画、水彩画、日本画、立体では彫刻、彫塑が主なジャンルとして挙げられるが、伝統的な手法によらず、素材を混合した作品や、観客参加型のパフォーマンスを作品とする場合もあり、表現は広範囲に及ぶ。学校では技能だけでなく、画材の専門知識、美術史も学び、理論と実践の両面で専門性を高める。
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