大昔の印刷物は、ハンコを押してつくられていた!?
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大昔、かつての印刷技術は、ハンコを押すようにつくられていたのだとか。昔の印刷の仕組みについて紹介します。
この記事をまとめると
- かつての印刷物は、文字をハンコのように転写する活版印刷技術を使っていた
- 現代ではパソコンの普及で「DTP」が主流になっている
- 紙とインクの絶妙な味わいから、活版印刷が使われる場合もある
アジア発・ヨーロッパで広まった、活版印刷って何?
普段の生活で目にする、新聞などの印刷物。何気なく目を通してしまっていますが、紙とインクを使った印刷は、古くからの長い歴史がある文化です。かつての印刷技術として知られているのが、文字をハンコのように押してつくる「活版印刷」。現在ではあまり使われることがなくなってしまった活版印刷ですが、一体どんなものだったのでしょう。
活版印刷とは、鉛でできた活字を一文字ずつ並べ、インクをつけてハンコのように紙に転写する印刷方法です。例えば、「apple」という言葉を印刷したいなら、あらかじめ用意されているアルファベットすべての中から、まずは「a」を置き、次に「p」、もう一つ「p」……と、必要な活字を一つひとつ選んで並べていきます。それを5文字分選んでようやく、文字を転写することができるのです。転写した際に紙に圧力がかかることで凸凹ができ、インクの量や場所が紙を刷るたびに微妙に違うためムラが出たり、紙への写り方も違い仕上がりに味が出るのが特徴です。
もともとアジアから使われ出したもので、中国などでは鉛ではなく木を使って印刷が行われていたのですが、中国語は複雑かつ種類の多い漢字を使うため、活版印刷には向いておらず、あまり広まりませんでした。しかしアルファベットを使うヨーロッパでは26文字を用意すれば、すべての単語をカバーできるため、活版印刷が普及し、聖書などが印刷されて多くの人の手に渡るようになりました。
現代ではパソコンの普及で「DTP」が普通になっている
日本で活版印刷が普及するようになったのは、紙型(しけい)が発明されてからです。紙型とは、活版印刷で活字のコピーをつくるための紙製の鋳型で、組み上がった活字をページ全体で、まるごと複製する技術です。紙型があれば何度でも複製できるため、日本でもこの方法で活版印刷が普及して行きました。
20世紀に入ると「写真植字」技術が生まれ、活版印刷よりも効率よく印刷ができるようになったことで、多くの出版物が発行されることになりました。こうして進化してきた印刷技術は、現在ではパソコンの普及により、原稿や編集、レイアウトなどといった作業をPCで行った上で、データを印刷所に持ち込んで出版する「DTP」(デスクトップパブリッシング)が主流となりました。そのため、活版印刷は今では使われることがほとんどなくなってしまいました。
第一線を退いても、まだまだ愛されている活版印刷
活版印刷の技術を身に着けている職人としての「印刷技術者」はDTPの普及で減ってきています。現在の印刷技術者の仕事の多くは、DTP印刷機のオペレーターとしての役割を担っていますが、昔ながらの活版印刷に興味があるという人もいるかもしれません。
人の手によるアナログな作業で行われる活版印刷は、デジタル印刷では真似できない味わいのある仕上がりにファンも多く、個人の名刺などを活版印刷で作成する人もいます。物によっては、活版印刷の活躍の場はまだまだありそうですね。デジタル全盛期の中で、紙とインクの味わいに魅せられてしまった人は、印刷技術者の仕事を調べることで、これからの時代の印刷物の可能性について考えてみてはいかがでしょうか。
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「広告・出版・マスコミ」を解説
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