2016年は「うるう年」だけど、こっそり終わった「うるう秒」って知ってる?
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2016年は4年に1度のうるう年ですが、実は「うるう秒」というものもあります。その不思議な存在について紹介します。
この記事をまとめると
- うるう年だけでなく、1日が1秒増えたり減ったりする「うるう秒」が存在する
- うるう秒は地球の自転のスピードによって実施するかどうかが決められる
- 地球の動きを把握して、時間を決めるのは天文台の仕事
なぜ4年に1度、1年が366日になるの?
1年は365日、これはどの国でも共通です。しかし、2016年のように1年が366日になる年もあります。これを「うるう年」というということは、みなさんも知っていますよね。
しかし厳密な数字にすると、地球が太陽の周りを1周するのにかかる日数は平均で、約365.24219日。つまり、1年で0.24219日ずつズレが生じるので、何年かたつと暦と地球の自転速度もズレてしまうのです。そのズレを調整するために、西暦年号が4で割り切れる年の2月に1日追加しているのが、うるう年の2月29日の正体です。
こういった時間のズレは、1年だけではなく、1日の中でも生じています。1日は24時間で、1時間は60分、1分は60秒というのも地球が1回転(自転)するのにかかる時間をもとに決められています。
しかし、正確に測定すると、地球の自転の速度は時期によって違いがあって、いつも24時間ぴったりで1回転しているわけではないことが分かったのです。その誤差は1日につき1/1000秒(1ミリ秒)程度だそうですが、1990年ころには約2ミリ秒も1日が長かったことがあったそうです。この誤差を放っておいたら、地球の自転と我々の時計にズレが生まれてきてしまいます。そのズレを調整するために登場するのが、「うるう秒」です。
地球が回るスピードによって追加、削除される「うるう秒」とは
そんな、地球が自転する速度と原子時計のズレを調整するために実施されるのが「うるう秒」なのです。うるう秒は、6月か12月の末日の最後の1秒に挿入されます。世界の標準時となるイギリスと日本では9時間の差があるので、日本では午前9時の直前にうるう秒が挿入されることになります。
うるう秒は1972年から実施されるようになり、およそ3年に1度、2015年までに26回実施されています。そして、最近うるう秒が実施されたのが、実は去年。2015年7月1日午前9時の直前に行われました。8時59分59秒のあとに、本来は存在しない8時59分60秒を追加することで、時間の調整を行ったのです。
うるう秒を実施するかどうかは誰が決める?
うるう秒を実施するかどうか決めるのは、IERS(国際地球回転・基準系事業)という国際機関です。IERSの本部はパリにあり、アメリカやヨーロッパ、オーストラリアなど世界各国にあるさまざまな機関から地球の自転についてのデータを集め、その年にうるう秒を実施するかどうかを判断します。
ちなみに日本では、三鷹にある国立天文台を中心に、各地にある天文台で天文台の職員が天体の動きを観測し続けています。天文学の研究を行う研究者と、観測機器の開発や運用を行う技術職員、事務職員の3つに分けられる天文台の職員になるには、天文学について学び、国立大学法人等職員採用試験を通過すると、チャンスが得られます。遠い世界のことだと思っていた宇宙や地球規模の出来事が、実は私たちの生活に非常に深く関わっているのです。そんな壮大なスケールの営みに興味を持ったなら、身近な天文台へ足を運んで、その様子を覗いてみてはいかがでしょう。
この記事のテーマ
「自動車・航空・船舶・鉄道・宇宙」を解説
陸・海・空の交通や物流に関わるスキルを学びます。自動車、飛行機、船舶、鉄道車両などの整備・保守や設計・開発、製造ラインや安全の管理、乗客サービスなど、身につけるべき知識や技術は職業によってさまざまで、特定の資格が求められる職業も多数あります。宇宙については、気象観測や通信を支える衛星に関わる仕事の技術などを学びます。
この記事で取り上げた
「占星術師」
はこんな仕事です
古代バビロニアが発祥とされる占星術は、太陽・月・惑星などを地球から見た天体の位置や動きに基づき、人の内面などを判断し占う。この占いを仕事としている人を占星術師という。天文学と密接な関係があるものとして捉えられることもあり、占いに天文学は不可欠な要素といえる。そのため占星術師になるには天文学の勉強をはじめ、入門書などの文献を多数読み、占星術師の行うセミナーや、師事したい術師に弟子入りするなど、地道な努力が必要になる。