かわいいけど、妙に目立つ! テントウムシが派手な色をしているのには理由があった!

テントウムシが派手な色をしているのは、ちゃんと意味があるのだとか。不思議な生物の仕組みを紹介します。
この記事をまとめると
- テントウムシの目立つカラーリングは、「警戒色」だった
- 踏切や標識の黒と黄色など、危険を知らせるために使われている
- 生物を学ぶことで、生物同士のつながりが見えてくるかも
テントウムシの派手なカラーリングの理由って?
真っ赤なボディーに黒い点々。そのかわいらしい見た目から、虫の中でもなかなかの人気者であるテントウムシ。外見が華やかなので、小さい体でもとても目立ちますよね。このはっきりとした赤と黒の模様ですが、そもそもどうしてこんな色をしているんだろう、と思ったことはありませんか?
テントウムシのような、動物の派手な色は、「警告色(警戒色)」といいます。これは、天敵の動物たちへ「私を食べたら危ないよ? ひょっとしたら死ぬかもよ?」と、自分が毒性の物質を体内に持っていることを伝えるメッセージなのです。そのことにより、近づいてくる捕食者から身を守っています。
ちなみにテントウムシは、襲われるとものすごくひどい匂いの液体を出して、天敵を追い払います。これくらいならまだまだかわいいものですが、虫の中には「チャドクガ」という毛虫のような、いかにも触ったらヤバそうな見た目をした虫もいます。
踏切や標識の色は、スズメバチと同じ「警戒色」になっている?
紹介したテントウムシなどの昆虫以外にも、毒を持った蛇やカエルなども自分の身を守るため、派手で、いかにも毒を持っていそうな見た目をしています。ある意味、毒があることを教えてくれているということですから、優しい一面もあったりするのかもしれませんね。
そんな毒を持った生き物の中でも、身近で、かつ怖いのがスズメバチです。その被害は、毎年ニュースで話題になるほど。彼らの見た目は、とても目立つ黄色と黒、これも警戒色の一種です。しかしこの組み合わせ、どこかで見覚えがありませんか?
実は、この色の組み合わせは人間の社会にも多く用いられているカラーリングです。例えば踏切や車の標識、立ち入り禁止区域に張りめぐらされるロープも、よく考えたら黒と黄色ですね。この色の組み合わせを見ると、人間は本能で、何か危険があることを察知しているのです。
テントウムシと私たちが、どこかでつながっているかもしれない
このように、虫や動物に限らず、警戒色は色だけで多くの生物に似たものを連想させる、ある意味では共通言語のようなものです。こうした生物の行動や特性について研究する学問のことを「生物学」と呼びます。世界中にはたくさんの生き物がいますが、「人間」だってその生き物のうちの一種類に過ぎません。生き物には全てその種類ごとの特性がありますが、その多くに共通するものを見つけ出すのも、生物学の目的の一つです。
多くの生き物にインプットされた本能と、それを生み出したものなどの研究に興味がある人は、生物学を学んでみると良いでしょう。きっと今まで以上に生物に関心を持つことができ、小さな命と自分とのつながりを感じることができるに違いありません。
この記事のテーマ
「農学・水産学・生物」を解説
私たちはほかの生物から栄養をもらって生活をしています。しかも、採集や狩猟だけではなく、食物を生産するという手段を得て、今日のように繁栄しました。人口増加や環境悪化などに対応し、将来的に安定した食料の確保を維持するためには、農業、林業、水産業などの生産技術の向上が必要です。さらに突き詰めて考えれば、動植物や微生物などの多様な生物に対する研究も重要です。自然との共生が大きなテーマになる学問です。
この記事で取り上げた
「生物学」
はこんな学問です
マクロな地球の生態系からミクロな細胞の世界まで、さまざまなレベルで起きている生命現象を実験・観察することによって研究する学問である。人間を含めた動物・植物・微生物など、あらゆる生命体が研究対象となる。主な研究分野としては、タンパク質を中心にした生体内の高分子の機能をその構造から研究する「構造生物学」、生態系の構成要素である生物と環境の関わりを研究する「環境生態学」などがある。