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認知言語学が、私たちに気づかせてくれること

2021.07.20

提供:名古屋学院大学

認知言語学が、私たちに気づかせてくれること

語学系の学部というと、「外国語を話せるようになる」ことを想像する人が多いのではないでしょうか。ことばの成り立ちや、その根底にある母語話者の世界の捉え方を探るのも、語学の学びです。「認知言語学」では、ことばの意味や表現の仕方は、「物事をどう捉えているか」を反映していると考えます。言語の基盤には人間の感情や身体感覚、身体運動などの経験がある。ことばには、母語話者の物事の捉え方が大きく影響する。表現の仕方に、人類として共通する部分と文化によって異なる部分があるのはそのためです。(写真は外国語学部・有薗先生)

この記事をまとめると

  • 認知言語学の視点から見る「コロナ禍のことば」
  • 私たちが日常的に使っている「メタファー」の重要性
  • コロナ禍と戦争の類似性

「戦争」に関することばが、よく用いられる社会

テレビや新聞、インターネットで、新型コロナウイルスが猛威を振るう状況が「戦争」に喩えられるのを目にします。新型コロナウイルスを敵と見立て、「コロナと戦う」だけでなく、「立ち向かう」「勝つ」「負ける」と表現したり、「ウイルスが侵入する」「潜伏する」「攻撃する」、そのウイルスを「撃退する」と表現したりします。また、ニュースの見出しでは「コロナ戦争」や、それに対する「戦略なき日本の敗北」「医師が完全武装で診療に当たる」などの表現も見かけます。
これは、日本語のみに観察される現象ではありません。実際にアメリカのトランプ大統領は自身をa wartime president(戦時中の大統領)と称し、コロナ禍の厳しい状況をa war against an invisible enemy(見えない敵との戦争)と表現しています。英語でもウイルスはcombat(戦闘)の対象であり、それをdefeatする(打ち負かす)のための団結を呼びかけました。なぜ私たちは、コロナ禍を表現するのに「戦争」に関することばを用いるのでしょうか。

似ている物事を通せば、より具体的に理解できる?

LOVE IS WAR―「恋愛」を語る際にも用いられる「戦争」のことば

LOVE IS WAR―「恋愛」を語る際にも用いられる「戦争」のことば

私たちは、馴染みのない物事や抽象的な物事を、それと何らかの点で類似した、自分たちにとって馴染みのある物事や具体的な物事を通して理解し、他者に伝えるということを日常的に行っています。このように、類似性に基づく喩えのことを「メタファー」といいます。「コロナ禍」を「戦争」を通して捉えるのもそうです。
戦争に対する知識と疫病に対する知識を比較すると、両者は似ていることがわかります。例えば、医療現場(戦場)では、ウイルス感染を治療する(敵に勝利する)ために、医療従事者はマスクや防護服を身に着けて(戦士は武装して)、医療現場でウイルスに対処(戦場で敵と戦闘)します。また、国家レベルで考えると、ウイルス感染を収束させて国家を守る(敵を打ち負かして国家を守る)ために、政府は何らかの政策を立て(軍の上層部は何らかの戦略を立て)、国民(兵士)はそれに従い団結してウイルスの封じ込め(敵の制圧)を目指します。
私たちはニュースや新聞だけでなく、歴史の授業や小説やアニメなどから「戦争」に関する具体的な知識を豊富に得ています。だから、把握しにくい「疫病」について、それと似ている「戦争」を通してより具体的に理解し、伝えることができるのです。

便利なメタファーも、使い方によっては危険なものに?

コロナ禍以前においても、病気は戦争に喩えて語られてきました。ここで注目すべきは、メタファーを使用する際の「意図」です。研究者の中には、病気に対して戦争のメタファーを用いることに慎重になるべきと指摘する研究者がいます。問題となるのは、戦争のメタファーを使うことによって人々に戦時を想起させ、勝利という大義のために国民の団結と個人の生活の制限や我慢を強制し、そうできない人を責めるような風潮を煽ってしまう危険性がある点です。
別の角度で考えると、医療現場での戦争のメタファーの使用は、例えば「敗北」を連想させてしまうなど、患者の精神状態に負の影響を与える可能性があるとの研究もあります。実際に、医療現場ではどのようなメタファーの使用が避けられるべきで、反対にどのようなメタファーが推奨されるべきかという問題も論じられています。メタファーを扱うスキルは、コミュニケーションに必須であり、今後は「ある状況で効果を発揮するのはどんなメタファーか」ということの解明がますます重要になるでしょう。
ことばの研究(認知言語学)とは、私たちの思考を明らかにするもの。そして、ことばの背後にある人々のものの考え方を知ることは、他者とのより深い相互理解につながります。

【広告企画】提供 : 名古屋学院大学

この記事のテーマ
語学・外国語」を解説

言語は思考の原点です。世界中の言語の数だけ異なる考え方や文化が存在し、幸福に暮らすには相互理解が欠かせません。その架け橋となるのが語学です。言語の成り立ちや文法、発音などの特徴を研究し、外国語によるコミュニケーション能力を高めることで、国際人としてのグローバルな視野を養います。

「語学・外国語」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「言語学」
はこんな学問です

世界の言語の特徴や特質を研究する学問。言語を成り立ちや構造、変化・変遷、分布、比較などさまざまな角度から捉えることで理解を深める。学問領域は、主に言語の本質を探るための「意味論」「語彙論(ごいろん)」「文法論」「文字論」「音韻論」などから成っているが、関連するほかの学問と融合した比較言語学や社会言語学などもある。言語障がいに関する研究や、通訳・翻訳分野、日本語教育分野など、学校によってさまざまな研究の深め方がある。

「言語学」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「語学(日本語)」
はこんな学問です

自国の言葉である日本語を、世界の言語の一つと考えて、客観的に学ぶ学問。構造や成り立ち、変化、地域性など日本語の特質を研究する。日頃は無意識に使っている日本語や周囲を取り巻く日本文化を客観的に捉えることで、日本語を正しく教える能力なども含めて、幅広く正確な表現力を身に付ける。また、言語と文化の関わりを客観的に分析することで、日本文化を世界に発信していく役割など、異文化コミュニケーションにもつながる力を養う。

「語学(日本語)」について詳しく見る

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