手のリハビリの専門家「ハンドセラピスト」って知ってる?

超高齢社会の日本では、平均寿命はもとより「健康寿命」が大切になっています。その中でますます求められる職業が、QOL(生活の質)を支援する作業療法士であり、手のリハビリ専門の作業療法士「ハンドセラピスト」です。杖や車椅子などの介助方法がある「足」と比べて、「手」のリハビリは難しいもの。より高度な知識と技術が必要とされます。リハビリテーションの価値や、ハンドセラピストの役割とは。そして、次世代の作業療法士のための学びとは、どんなものでしょうか。
この記事をまとめると
- 作業療法士とはどんな仕事で、リハビリの価値とはなにか
- 手のリハビリの専門家「ハンドセラピスト」が求められる時代
- 4年制大学の充実した環境で育つ、次世代の作業療法士
身体だけでなく心も癒やす。人の役に立つ仕事、作業療法士
けがや病気、高齢化などで身体に障がいを負った人に対して、身体機能の回復をサポートする作業療法士。患者さんを思いやり、その人らしい生活をめざすために一緒に考え、リハビリテーションによって日常生活動作の改善を促す仕事です。
心のケアも重要です。患者さんの辛い気持ちは、けがの大小に比例するわけではありません。患者さんによっては、傷を負った手を見せることにさえ抵抗を感じる人もいれば、けがを克服し手に残った傷を見せられる患者さんもいます。病気やけがで失ったものがあっても、できることに目を向けて「自分らしさ」を失わずに生きていく。そんな姿勢になってもらうことが大切であり、それこそがリハビリの価値です。
人間の身体の中で、手や腕は細かな作業や強い力の作業を行い、感情さえ表現できる、とても繊細な器官です。けがや病気などによって手がうまく動かなくなることは、その人の望む生活が難しくなることを意味します。そんなときに活躍する作業療法士が、手のリハビリテーションの専門家であるハンドセラピストです。
手のリハビリテーションを通した健康支援が求められている
手のリハビリは、関節の動きや筋力にかかわる「筋力の回復」、文字を書くなどの「活動の回復」、仕事に復帰する「社会への参加」に分類できます。大脳皮質という大脳の表面にある神経細胞の集まりの中で、一番多くの面積を占める「手」の神経。超高齢社会の日本、そして多様化・高度化が進む医療・介護現場で、ハンドセラピストはますます求められています。
現在進行中の研究には、腕時計型の活動量計で手の動きを定量化し、動作と手の動きの関係、左右の使用頻度、動きの量などを調べるものがあります。この研究でわかるのは、例えば「左手の指を切断して再接着した人は、2年後も左手をかばって右手を使いがち」ということなど。他にも、骨折した人の経過を計測し、効率的なリハビリに生かすこと、他分野とのコラボレーションによる新たな視点の発見が期待されています。新しいニーズをとらえた研究は不可欠であり、学問としても奥深い分野です。
次世代型の作業療法士を育成する、奈良学園大学
奈良学園大学リハビリテーション学科・作業療法士専攻では、総合力と専門性を兼ね備えた作業療法士を育成しています。学びの特長は、早期体験実習を通じた主体的体験、地域住民への健康活動を通した豊かな人間性やコミュニケーション能力の育成、海外研修も可能な国際的感覚、看護学科との協働によるチーム医療など。専門リハビリ領域の学びも多彩で、「痛みに対するリハビリテーション」「内部障害リハビリテーション」「高次脳機能障害に対するリハビリテーション」「認知症対策」「心理・精神科領域」などに特化した教員陣が揃います。
また、学内には最新の3次元動作解析装置、筋機能解析装置、カラー超音波断層装置など、現場でも使われる評価測定機器を完備。それらを用いた講義を受けることができ、最先端の研究にも取り組めます。4年制大学ならではの充実した環境のもとで、次世代の作業療法士は育ちます。
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この記事のテーマ
「医学・歯学・薬学・看護・リハビリ」を解説
病気やケガなどによる身体機能や生理機能の変化を治療し、健康な生活が送れるようにするのが、医療の役割です。今日のように高齢化が進んだ社会では、健康で長生きできるようなサポートも重要です。これらの役割を担うのが、医師、薬剤師、看護師、理学療法士などの専門家です。医師であれば解剖学や病理学、薬剤師であれば薬学など、それぞれが専門的な知識と技術を身につけ、連携することで医療の質を向上させる方法も学びます。
この記事で取り上げた
「リハビリテーション・作業療法・理学療法」
はこんな学問です
リハビリテーションには、障がいを持った人の運動能力回復のための理学療法と、心身にわたる諸機能を回復するための作業療法がある。理学療法では、立つ・歩くなどの運動療法とマッサージや電気による物理療法を用いるための知識、技術を学び、「理学療法士」をめざす。一方、作業療法は、精神疾患なども含めて用いられるもので、たとえば、園芸や工芸を通じ、患者が生活の自立性を回復するための知識、技術を学び、「作業療法士」をめざす。