この料理、コクがあるなぁ~!ところで「コク」って何?おいしさとは違うの?

カレーやシチュー、ラーメンなどを食べたときに「コクがある」と思ったことはありませんか?
コクがあっておいしいと感じる料理はたくさんありますが、そもそも「コク」とは何か、ご存知ですか。味の深みのことでしょうか?それとも濃さや匂い……?知っているようで知らない、コクについて考えていきましょう。
この記事をまとめると
- 人も動物も自動車も、活動するために「エネルギー」は欠かせません。
- おいしさと関連する「コク」について、定義する
- 「コク」が解明されると、肥満も解決するかも?
私たちの生活に欠かせない「エネルギー」
通学の際に利用する電車は、発電所から送られる電気をエネルギー源として動いています。自動車は、ガソリンのほかに、電気や燃料電池をエネルギーとしている場合もあります。自転車ですと、ペダルをこぐ足が動力ですね。このようにモノを動かす際には「エネルギー」が必要となります。同じように私たちが運動したり、何かを考えたりするときにもエネルギーは欠かせません。
人のエネルギー源となるのは、食べ物に含まれる糖質や脂質です。これらは食べ過ぎると太ってしまうのは皆さんご存知ですよね。糖質や脂質を多く含んでいるラーメンや煮込みハンバーグ、唐揚げなどは、おいしくてついつい食べてしまいがち。こうした食事を食べたとき、「コクがあるね」という言葉が出たりしませんか。
女子栄養大学食品栄養学研究室では、このコクに関する研究を行っています。
おいしさに寄与する「コク」とは何かを定義する
「この料理はコクがあっておいしい」と、私たちは何気なく「コク」という言葉を使っていますが、コクとはなんでしょう。女子栄養大学西村敏英教授のゼミでは、「コクとは何か」を定義し、特に和牛肉、卵黄、バターなどの食べ物について研究しています。これらの食べ物には、エネルギー源となる脂質が含まれており、脂質の中にある油脂が食べ物のおいしさにどのように関わっているかを、コクの概念を通して解明していきます。西村教授によると、コクはおいしさと同義語ではありません。例えば、カレーやシチューはコクがあっておいしいですが、スイカやそうめんはコクがあるとは言えませんが、おいしいですよね。つまり、コクはおいしさを決める要因のひとつでありますが、必ずしも同じではありません。また、鼻をつまんでカレーを食べると味わいの強さが弱くなるように、コクは味や香り、食感などさまざまな刺激のバランスによって引き起こされる現象であると定義されました。
低カロリーでおいしい!健康的な食事の実用化を目指して
おいしい食べ物には、油脂が含まれていることが多いです。霜降りのお肉や脂ののった大トロ、ポテトチップスなど……しかし、油脂を抑えて低カロリーにすると、少し味わいが抑えられ、なんだか物足りないと思う人もいるかもしれませんね。西村ゼミでは、油脂の使用量を制御してもおいしさを損なわない食べ物の研究も進めています。コクという概念を通して油脂やおいしさの研究を進めることで、油脂の過剰摂取を防ぎ、肥満の予防にもつなげることができます。
世界には「食」を巡るさまざまな課題があります。栄養過多もそのひとつ。油脂を減らしたおいしい食べ物が実用化されれば、栄養状態の改善にもつながることが期待されます。健康維持に役立つ食品の開発や、新しいメニューづくりに興味のある人は、一緒に女子栄養大学で学びを深めませんか?
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この記事のテーマ
「栄養・食物」を解説
食べることから健康な生活にアプローチすることを目的としています。ただ生きるために食べるのではなく、より良く生きるために食べるという考え方です。栄養学は食物に含まれる栄養素について学び、生理学の知識を踏まえ、適切な栄養指導を行います。そのためには栄養学や病理学などの広範な知識も必要です。食物学では人によっては摂取しにくい食材を食べやすくしたり、よりおいしく食べるための調理方法の研究なども行います。
この記事で取り上げた
「栄養学」
はこんな学問です
栄養と健康との関わりや調理・加工方法などについて研究する学問。食を通じて人々の健康維持や医療分野に役立てることを主な目的としている。学ぶ分野には、解剖学や病理学を用いて研究を行う「医学・科学分野」、医療現場での栄養指導など臨床的な視点から栄養を学ぶ「臨床栄養学分野」、公衆衛生学など社会と栄養との関わりを学ぶ「社会環境分野」、材料化学や調理学、加工学などを学ぶ「食品品質分野」などがある。