「地震もコワくない!!」未来の建築は地震に強い!

日本は地震大国といわれています。地震は身近に起こり、甚大な被害をもたらしうる存在で、日本の社会や文化を語る上で非常に重要視されている問題といっていいでしょう。地震予知などの事前情報キャッチも研究が進められておりますが、ここでは地震が起こった際にその揺れの被害を軽減する取り組みをご紹介します。
この記事をまとめると
- 「耐震」「免震」「制振」など、様々な地震へのアプローチがあります。
- 「アクティブ制振」でシェル・空間構造物の構造安全性を追求する、日本工業大学の箕輪研究室。
- 構造物への負荷を減らし、より自由な設計を可能にしていきます。
地震の対処、建築における様々なアプローチ
地震は様々な被害を巻き起こしますが、最も密接なものが、建築物です。日本の社会においては建築物の地震への対応が、非常に重要であると言えます。新しい建築物などのニュースにおいて、「耐震」や「免震」、こんなフレーズを耳にしたこともある方もいらっしゃると思います。これは地震に対する被害を軽減する様々なアプローチとなっており、それぞれ意味合いが違います。たとえば、「耐震」は、建物そのものの強度や構造・素材の粘りで揺れに強くする構造です。「免震」は、建物の基礎部分に免震装置を設置して、地震の揺れを遮断、建物に伝えない構造になります。そのほかにも揺れを低減する素材・機構を建物に組み込む、「制振」構造もあります。
それでは、現在、最新の地震対策技術はどのようになっているのでしょうか?日本工業大学の建築学部では、シェル・空間構造物の構造安全性や可能性についての研究を行っている箕輪研究室があります。
最新の技術をご紹介、その名も「アクティブ制振」!!
シェル・空間構造物とは、柱のない大空間を構成する構造のことです。身近なところでは学校の体育館や野球場のドームなどがあります。これらの建築は、イベント時にはとても多くの人が集まります。さらに、災害時には避難所としても使われる社会的に非常に重要な建築なのです。箕輪研究室では、このような建築の安全性を向上させる方法とともに、これらの建築を魅力的な空間にするための方法を提案することを目的に研究を行っています。
ここで研究されている地震への対策技術は「アクティブ制振」。これは、地震による揺れをセンサで感知した時に、建物に取り付けたモータ装置などをコンピュータで瞬時に計算して動かすことで、建物の振動を制御する技術の事です。もしこの技術が実際に広まっていけば、地震の際に避難する際にも、安心して過ごせる場所を確保する事ができそうです。
未来で生まれるかっこいい建築。その安全をサポートする研究。
詳細な研究内容として、現在は模型を利用して、体育館等の屋根などを構成するのに良く用いられる円筒型のラチス(網目状の)シェルの振動実験を行っており、このアクティブ制振を適用することで、大空間構造物の地震による変形を大幅に低減することができています。もちろんこの際、ラチスシェルの各々の部材が負担する力も大幅に低減することができ、構造物の安全性を高めることが出来ます。この技術を実際の建築物で利用し、効果を検証しながら今後、高い安全性を保障することができるようになれば、今までは安全性の問題で実現できなかった自由な形状をした、かっこいい大空間構造物を設計できるようになるかもしれません。
日本の社会に欠かせない安全な建築の研究。町のシンボルになる施設に自分が関われる事は、とてもやりがいがあるし、家族にも自慢できそうです。あなたも、未来のまちづくりに貢献できる人材を目指してみませんか?
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この記事のテーマ
「工学・建築」を解説
工業技術や建築技術の発達は、私たちの生活を画期的に快適で安全なものに変えてきました。先人たちの生み出した知恵に新しい技術をプラスすることで、その進歩はいまも日々、進んでいます。インフラの整備や災害に強い街作り、エネルギー効率の高い動力機械や高い知能を持ったロボットの開発など、工学や建築に求められるものはますます増えるでしょう。自然との共生も大きなテーマです。理系の中でもより実地的な分野だと言えます。
この記事で取り上げた
「建築学・意匠」
はこんな学問です
「建築学」は、建築について総合的に学ぶ学問。学ぶ領域は広く、住宅、ビル、超高層建築の生産、建築資材の研究開発、災害時の安全対策など現代建築の建築工学分野と、団地や道路の造成、都市計画などの都市工学に加え、歴史的な建築物、集落の保存や復元についても研究する。「意匠」は、建築物を美学的に捉えて芸術的意義を追究する学問。建築物や街並み、自然環境、構造や材料についても美学的に追究して評価する。