現役高校生が起業し運営! 女子中高生のニーズをかなえる洋服レンタルサービスって?
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1アイテム300円で貸し出す女子中高生向け洋服レンタルサービス「放課後マネキン」。実はこのユニークなサービスを運営しているのは、3人の現役女子高校生。2019年9月に株式会社Nadieを立ち上げた古城栞さん、宇賀神桃子さん、白井花さんに、起業のきっかけや今後の展望などを伺いました。
この記事をまとめると
- 気軽に利用してもらえるように1アイテム300円設定に
- 想定外のさまざまな実務に追われるうちに行動力が身についた
- 女子中高生コミュニティの結束力やサポート力の強さに驚いた
三人三様の個性で役割分担もスムーズに決定!
―― まずは事業内容とサービスについて教えてください。
古城:「放課後マネキン」は女子中高生を対象にした洋服レンタルのサービスで、トップス・ボトムス・アウターなどを1着300円で貸し出しています。商品はアパレル企業から無料で提供していただき、利用した女子中高生がSNSなどで発信したり、レンタル後にアンケートに回答することで、PRやマーケティングに役立てていただける仕組みです。
宇賀神:当初は月額2,000円で借り放題という料金設定も考えましたが、女子中高生に事前にヒアリングしたところ「月額より都度払いの方が使いやすい」という意見が多かったので、この方式にしました。
―― 起業されたきっかけや経緯は?
古城:高校1年生の時、京都大学主催の体験型学習講座「ELCAS」を偶然3人が受講し、講座内のグループトークで「個性」について話し合いました。私は「制服で個性を奪われている」と感じていて、女子中高生が気軽にファッションを楽しめるようになってほしいという気持ちでこのサービスを考え、2人が賛同してくれました。講座の最後に行ったグループ発表で優秀賞をいただき、起業にいたりました。
白井:私たちだけでは知識も人脈も圧倒的に足りないので、登記までの事務手続きやアイデアのブラッシュアップなどは、京都大学OBの方や、このポップアップショップの場所も紹介してくださったアイエント株式会社の方にかなり助けていただきました。
―― 3人の社内での役割などは決まっていますか?
古城:宇賀神さんはメール対応やスケジュール管理、経理関係を。白井さんはSNS発信やボランティア募集などユーザーまわりを。私は代表として全体の取りまとめや、販促物のデザインや制作などを担当しています。
苦労と同じだけ学びもあった! 時には泣きながらの話し合いも
―― 起業するまで大変だったことはありますか?
古城:たくさんありすぎて、しぼれません(笑)。洋服を集めるにも、つてがないので、ブランドのサイトのお問い合わせフォームから依頼メールをたくさん送りました。90件ほど送って返信があったのは10件程度。最初はかなりへこみました。ちょうど冬物から春物への入れ替え時期で、協力したくても在庫が集められないと言われることも。大変なことばかりでしたね。
宇賀神:起業が決まってからポップアップショップの開店まで、毎日話し合いを重ねました。アパレル企業との交渉、ラックの準備、商品カタログの作成、ショップカードなどの制作、ボランティアの募集など、とにかくやるべきことが山積みでした。
白井:意見のぶつかり合いも当たり前のようにありましたし、決めるべきことも多くて、考えすぎて涙が出てくることもしょっちゅうでした。
―― 逆にやりがいや学んだことは、どんなことですか?
宇賀神:全てが学びでした。アイデアを実現するには膨大な実務が必要で、業務に穴がないかをチェックし、未着手のものがあればすぐに取りかかる、の繰り返し。おかげで行動力は身についたと思います。
白井:SNSを通じて応援してくれる子たちも多いのですが、女子中高生コミュニティの結束力やサポート力の強さには驚きました。広がりの速さもさることながら、応援してくれる強度が高いです。
古城:お店を手伝いたいと言ってくれる女子中高生も多くて励まされます。ここで一緒に企画に関わってもらったり、SNS運用について意見をもらったりすることもあります。
―― 学業や部活との両立にはどんな工夫をしていますか?
古城: 私は5年間続けたダンス部をちょうど引退したばかりです。放課後はこの活動一色なので、勉強や宿題には昼休みを活用するようになり、授業にも集中するようになりました。
宇賀神:クイズ研究部と合唱部、模擬国連部の3つを兼部していましたが、今はクイズ研究部のみにしぼりました。勉強時間は早起きしたり、通学時間を活用したりして捻出していますが、最近は睡眠時間が削られて集中力が落ちているので……危機感を持っています。
白井:私は放っておくと家でも仕事をしたくなってしまうので、最近は帰宅後の勉強のスケジュールを分単位で刻んで管理するようにしています。
一度利用してもらえれば必ずファンに! 足を運んでもらうことが重要
―― このポップアップショップへの手応えはどう感じていますか?
古城:SNSを中心に告知をしていますが、集客面の難しさは日々感じますね。平日放課後の需要が高いと予想していましたが、実際は週末にたくさん利用されることが分かりました。想定外のことばかりで発見が多いです。
白井:使用後のアンケートを見ると、「今までにない系統の服が着られてうれしい」「ファッションの幅が広がった」という意見が多くてうれしかったですね。一度来てくれたらファンになってもらえる手応えはあるので、いかに足を運んでもらうかが重要だと感じています。
―― 今後の事業の展望や、ご自身の進路についてお聞かせください
古城:このポップアップショップは期間限定ですが、今後はショッピングモールがいいのかオンラインがいいのか、ニーズを見極めながらいろいろ試していきたいです。
私たちが現役の女子高生であることが、このサービスや会社の強みなので、あと1年で事業を軌道に乗せたいです。大学受験へのチャレンジはその後でもいいかなと考えています。
宇賀神:男子中高生版があれば利用したいという問い合わせも多いので、今後は性別関係なくサービスを提供してみたいですね。
私は来年度は仕事をお休みして、受験勉強に専念したいと思っています。商学部か経済学部への進学を考えていて、大学入学後にまた仕事を再開したいです。
白井:実際にサービスを運営してみて、もっと女子中高生が放課後に集まれる場をつくれるといいなと思うようになりました。
私も古城さんと同じで、受験時期をずらしてでもこの活動を続けたいと考えています。海外に住んでみたいという夢があるので、落ち着いたら海外大学を受験したいです。
「放課後マネキン」の由来は、女子中高生が服を着てマネキンのように街を歩くことをイメージしたこのなのだそう。「まさか自分が起業するとは思わなかった」と3人は笑いますが、その真剣な取り組み方は熱血ビジネスパーソンそのもの。文字通り”一から手作り”したサービスは、女子中高生たちの絆を通じてジワジワと拡散中です。
【profile】株式会社Nadie
古城栞(2年)、宇賀神桃子(2年)、白井花(2年)
https://nadie.co.jp/