群馬県内のインバウンド消費増加を目指し
課題解決に向けた学生たちの取り組み

近年、クローズアップされている「インバウンド(訪日外国人)観光」。2019年は3,000万人を突破し、10年前と比較してみると5倍以上の伸び率を示しています(※)。また、都市部では外国人を見掛けない日はないというくらい街にあふれ返っています。そんな中、共愛学園前橋国際大学では、群馬県内におけるインバウンド誘致に向けたある取り組みを行っている授業があります。
(※)日本政府観光局『月別・年別統計データ(訪日外国人・出国日本人)』より
この記事をまとめると
- 必ずしも「観光客数増加=消費額増加」ではない!?
- 観光協会とのタッグで、より活性化を目指す
- 社会の仕組みや問題点を学生時分で知ることができる
観光客は増えているのに消費額に結びつかない現状
関東北部に位置し、山々に囲まれた広大な自然を誇る群馬県は、尾瀬や赤城山などの観光地をはじめ、草津・水上・伊香保といった温泉地、豊富なスキー場などの観光資源を有しています。また、2014年には富岡製糸場が世界遺産に登録され、さらなる脚光を浴びました。古くから製糸業・蚕糸業が盛んで、桐生や伊勢崎の絹織物業は全国的にも有名です。
観光客は、日本人はもとより、外国人観光客も増加傾向にある一方で、消費活動につながりにくい課題があります。消費というのは観光客数の増加もさることながら、お客さんがどれだけお金を消費してくれるかがポイント。そのような問題を知り、課題解決に取り組んでいるのが共愛学園前橋国際大学・奥山龍一先生の授業です。
インバウンド誘致に向け、学生ならではの意見を提案
奥山先生の「インバウンド人材育成PRG」では、観光事業の活性化に取り組んでいる県内の観光協会(インバウンド事業推進団体)と協力し、前橋市内や県内の観光地にてスタディツアーを実施しています。また、海外への情報発信にチャレンジしているほか、新たな観光プランの企画をグループで検討し、提案、プレゼンテーションまで行っています。群馬の観光資源である“自然”や“街並み”をインバウンド誘致とどう結びつけるか、学生たちがプロジェクトに参加することで社会人とはまた違った斬新かつ新鮮な意見交換が交わされています。
例えば、あるチームでは外国人観光客の出身国をターゲットに、群馬県と隣接する深谷市(埼玉県)とコラボしたツアーを企画。これまでの傾向をリサーチした上で温泉・歴史遺産・農業体験などの行程を織り交ぜるとともに、若い女性向けに一部を見直したプランも提案していました。
県内におけるインバウンドの実態を把握し、SNSを有効に活用することで都市部の外国人観光客や海外の外国人誘致を目指す活動を展開しています。
学生たちが主体的に判断・行動するPBL型学習
この授業は、学生たちが地域の観光分野における問題や課題の解決に向きあうPBL(プロジェクト・ベースド・ラーニング)型学習です。インバウンド観光に関わるプロジェクト活動を経験し、関係者に向けて成果を発表、振り返りまで行います。一連の取り組みにおいて社会の仕組みや問題点などを多少なりとも理解することができ、課題に取り組む人々との協働・交流を通して、改めて群馬の魅力やアピールポイントを知ることができます。県内ブランドを再認識するこの活動こそ、町おこしや地方創生の一翼を担っており、一人ひとりが企画力、行動力、コミュニケーション能力などを身につけていきます。
今後、県内のインバウンド消費が上昇するためには、彼らのような若い原動力が必要不可欠になるかもしれません。
【広告企画】提供 : 共愛学園前橋国際大学
この記事のテーマ
「国際・国際関係」を解説
国際問題とひと口に言っても、貧困問題や民族間紛争、資源や食料、環境問題、経済的な競争や協調など、じつにさまざまです。こうした問題を抱えた国際社会で活躍できる人材となるためには、語学力はもちろん、世界各地の文化、経済、政治、法律など、学ばなければならない範囲は多岐にわたります。実際に海外で活動するためには、異文化への理解やデリケートな国際感覚も求められます。留学生との交流や自身の留学も役立つでしょう。
この記事で取り上げた
「国際関係学」
はこんな学問です
世界各地と日本、または研究対象に選んだ地域の問題を、歴史学・社会学・経済学・政治学など幅広い学術的な視点から理解・分析する学問。国際社会のさまざまな問題を把握し、国際的な政治、経済、法律も活用して、異文化地域や利害関係を持つ国家・地域同士が共存を図る方法を見出していくために大切な学問である。外資系企業、旅行業界、海外取引のあるメーカーのほか、公務員や教員など学びを生かせる仕事の幅は広い。