【シゴトを知ろう】コンシェルジュ 編
メイン
テーマ

世界中から宿泊客が訪れるホテルで、快適な滞在のためにさまざまなサポートをしているのがコンシェルジュです。今回お話を伺うのは、東京・日本橋にある「マンダリン オリエンタル 東京」のチーフコンシェルジュ・真柳あいさん。お仕事のやりがいや楽しさ、どんな人が向いているのかなどを教えていただきました。
この記事をまとめると
- お客さまの「お出かけ」に関する全てをサポートする仕事
- 高校時代に訪れたイギリスでの経験が、ホテルで働くきっかけになった
- コンシェルジュに向いているのは、好奇心と思いやりを持った人
スケジュールはお客さま次第! 毎日「ワクワク」が続く
Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えてください。
コンシェルジュデスクに立ち、レストランの予約やガイドの手配など、お客さまからのさまざまなご依頼を承っています。「ゲストリレーションズ」という職種と混同されがちですが、そちらは主に館内でのおもてなしをするスタッフを指すことが多いですね。コンシェルジュは、ご滞在中のお客さまがホテルの外へお出かけになる際のあらゆるお手配をしています。
勤務はシフト制。コンシェルジュはお客様からのご依頼次第でスケジュールが変わります。朝デスクをオープンしてお客さまをお待ちすること以外は、毎日異なる動きをしています。
<一日のスケジュール>※早番の場合
7:00 業務開始
当日の手配内容の確認と翌日の準備
メールチェック、電話対応
10:30 昼食
11:30 午後の業務開始
午前中に受けた案件の予約など
その他、随時お客さまの対応
16:00 業務終了
Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?
お客さまからご依頼を受けるまで、その日どんな仕事をするか分からない点ですね。私はもともとルーティンワークが好きではないので、何が起こるか分からないワクワク感を楽しんでいます。
また、お客さまに直接関われる点もやりがいです。お客様の記念日に立ち会えたり、大切な旅行の思い出の1ページに入れていただけるのは、この仕事ならではだと思います。
Q3. 仕事で大変なこと・つらいと感じることはありますか?
滞在期間は限られているので、お客さまが楽しみにされていた観光などのご予定が実現しない場合もあります。とくに台風や大雪など、天候についてはどうすることもできません。なんとか楽しんでいただく努力をするのですが、限界を感じる部分もあります。
また、お客さまから厳しいご指摘を頂くときはやはりつらいです。ただ、場合によってはそこから良い関係を築けることもあります。お客さまからのご指摘は、負の部分だけではないんです。
高校1年で訪れたイギリスでの経験が原点に
Q4. どのようなきっかけ・経緯でその仕事に就きましたか?
高校1年のとき、学校の海外研修でイギリスに6週間滞在しました。初めての海外だったのですが、現地の方々とのコミュニケーションを通して、将来は英語を使った仕事をしたいと考えるようになりました。
短期大学で英語を学んだ後、イギリスに1年間語学留学。その間、ホテルで就業体験をしていたこともあり、帰国後に大型シティホテルに就職しました。ベルやフロントとして働くうち、お客さまとの距離がとても近く、さまざまな思いを叶えられるコンシェルジュになりたいと思うようになりました。
ようやくその志を果たせたのは、入社から7年後のことでした。その後、都内の別のホテルを経て、2019年から当館のチーフコンシェルジュを務めています。
Q5. 大学では何を学びましたか?
短期大学の英文科で2年間学びました。文法の学習や英文学・外国人講師とのコミュニケーションの他、ビジネス英語やプレゼンの仕方など、多様な授業がありました。在学中にも語学研修でイギリスに渡りました。
卒業後に留学した語学学校では、さまざまな国から来たクラスメートたちと一緒に学べたことが素晴らしい経験になりました。それぞれ違う母国語を持っているメンバーと、英語を使って会話ができることに楽しさを感じました。
また、英語には国・地域によって「訛り」があります。これに慣れることができたのは、今の仕事ですごく役に立っています。
Q6. 高校生のとき抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?
そうですね。先ほどお話ししたように、高校1年生のときに訪れたイギリスでの経験が今につながっています。当時はまったく英語がしゃべれませんでしたが、そこでコミュニケーションの楽しさを知り、やがてホテルの仕事を志すようになりましたね。
高校生には、友達を大切にさまざまな経験をしてほしい
Q7. どういう人がその仕事に向いていると思いますか?
好奇心がある方ですね。どんなことも楽しく取り組める方は向いています。私も、とにかくなんでもやってみることが好き。物怖じしない性格なんだと思います(笑)。また、違いを受け入れ、相手を思いやる気持ちも大切ではないでしょうか。
Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします。
若いうちにいろいろな経験をしてほしいですね。私も、高校生のときにイギリスで貴重な経験をさせてもらって、両親に感謝しています。同じことを年をとってからしても、感じ方は違ったはず。みなさんも若い感性で、あらゆることにチャレンジしてみてください。その経験は、どんな業界に進んでも決して無駄になることはありません。
そして、友達を大事にしてください。大人になると、みんな違う世界へ進んでいきます。ときどき集まって、いろんな経験をお互いにシェアすることで、切磋琢磨できます。そして、困ったときに助けてくれるのはやっぱり友達だと思います。
高校1年生のときにイギリスで過ごした6週間は、その後の真柳さんの人生に大きな影響を与えました。英語を使って仕事をしたいという思いを大切に、語学はもちろん、さまざまな出合いを自分の力にしながら、コンシェルジュという天職にたどり着いたのです。私たちも、「やってみたい」という気持ちを大事に、自分の進路を考えていきたいですね。
【profile】マンダリン オリエンタル 東京 チーフコンシェルジュ 真柳あい
この記事のテーマ
「旅行・ホテル・ブライダル・観光」を解説
目指す業界の専門知識を学び、パソコンなどのスキルを身につけます。旅行・観光では資格取得や採用試験対策、ホテル・ブライダルでは、現地実習を通して実践力を養う研修が多く含まれます。共通して求められるのは、ゲストに非日常のサービスや空間を提供する接客技術やサービス精神。不規則な勤務に対応できる体力の養成も求められます。
この記事で取り上げた
「コンシェルジュ」
はこんな仕事です
ホテルの宿泊客および、来館者からの相談や要望に応えるコンシェルジュ。ホテルの「顔」ともいわれ、客の必要としている情報をいかに迅速かつ正確に提供できるかが大きなカギとなる。例えば、ホテル内のサービスや施設の案内、周辺の観光地やレストランの紹介、チケットの予約・手配などもコンシェルジュの業務だ。コンシェルジュの対応次第ではホテルのイメージやリピート客の集客にも影響を及ぼすため、責任は重いが、やりがいのある仕事でもある。
-
PICK UP! 「コンシェルジュ」について学べる学校
-
旅行・ホテル・ブライダル・観光について学べる学校

