テーマは「リニア時代の名古屋の発展戦略を考える」。
実践的な学びを通して、社会で役立つ主体性を養う。
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名駅・栄エリアを中心に、大規模な再開発プロジェクトや建設ラッシュが進む名古屋都心部。2027年のリニア中央新幹線の開業を見据え、今まさに街が生まれ変わろうとしています。リニア開通が、私たちの暮らしにどんな影響を与えるのか。予想される地域課題に対し、どう戦っていくのか。名古屋の発展戦略に取り組んでいる名古屋学院大学・現代社会学部の江口ゼミにフォーカスします。
この記事をまとめると
- 2027年のリニア開業に伴い、名古屋はストロー現象などの劇的な変化が起こる
- データ分析によって各自治体の課題を明確化し、街の発展戦略に反映させる
- 実務的なスキルだけでなく、社会人に必要な主体性を学生のうちに身につける
名古屋のピンチとなるリニア開業を、どうチャンスに変えるか。
2027年に開業が予定されているリニア中央新幹線。東京〜名古屋間を約40分で往来できるようになり、名古屋は都心部を中心に劇的な変化を迎えます。
最も危惧されているのが、ストロー現象です。例えば東京に本社がある企業なら、名古屋支社の配置や転勤の必要がなくなるかもしれない。観光やショッピングも、東京へ気軽に行けるようになる。名古屋から東京の大学へ通学することだってできるでしょう。このように、ビジネスや消費、人材が、東京に吸い取られてしまう現象が起こるのです。
反対に、東名阪がひとかたまりの大都市圏になると考えれば、中心地である利便性を生かして新たなビジネスを開拓できます。大規模な展示場を建設し、会議や見本市で集客する「展示会ビジネス」は、すでに取り組みが始まっています。名古屋にとって、リニア開業はピンチでもありチャンスでもあります。重要なのは、名古屋の発展につなげていくための戦略です。
データ分析を活用し、さまざまな自治体の発展戦略を提案。
リニア時代の到来に向け、名古屋の発展戦略をテーマにした多彩な活動を行っているのが江口ゼミです。
2年次は、名古屋都心部のフィールドワークが中心。現場を肌で知ることに重点を置き、大型再開発が進む名古屋駅前や栄を視察します。「なぜこの施設は閉館したのか?」「この場所をどう活用すれば街の発展につながるか」など、さまざまな視点で街を眺め、グループワークで議論します。
3年次は、データ分析や戦略の立て方など、仕事でも使える実践的なスキルを修得。官民ビッグデータを活用し、地域経済の現状や課題を把握する分析システム「RESAS」、統計データを地図化する「データマッピング」、それらの客観的なデータに基づいて戦略や解決策を考える「SWOT分析」などを学びます。
最終的には、各自が研究対象とする自治体を選び、身につけたスキルを応用して発展戦略を立案。ゼミ内でのプレゼンテーションや卒論制作を進めていきます。
学生たちが自分で考え、自分で動くことで、ゼミ活動が活性化。
「ゼミ活動を通して、社会人に必要不可欠な主体性を身につけてほしい」。そう語るのは、ゼミを率いる現代社会学部の江口忍教授。
約30年にわたり、金融やシンクタンクなどの民間企業に携わってきた先生です。長年の実務経験をふまえ、学生が自分で考え、自分で動く力を培える環境づくりに尽力しています。例えば、ゼミ長、副ゼミ長、広報、イベント企画など、一人ひとりに役職を設定。教員の指示を待つのではなく、できる限り学生自身で活動を進めます。また、学生だけで運営するサブゼミがあったり、ゼミ生自らホームページを制作しているのも特徴。「こんなフィールドワークをやりたい」「この企画を実行してもよいか?」「役職の配置換えをしたい」といった具合に、学生たちが主体的に行動してゼミを活性化させています。
大学でやりたいことや、将来の目標が明確に決まっていない学生でも、実社会で発揮できるスキルを養える。それが江口ゼミの魅力です。
【広告企画】提供 : 名古屋学院大学
この記事のテーマ
「社会学・マスコミ・観光」を解説
あまり共通性のないように思われる3分野ですが、じつは密接な関係があります。観光業界にとってマスコミは「広報」そのものです。マスコミの存在なくして観光業界の発展はないでしょう。もともとマスコミは商品を情報化するために社会学を重視しています。社会が求めている漠然としたニーズを精査し、わかりやすいイメージとして変換して提供するのです。今後、観光業などにおけるマスコミの存在はますます大きくなるはずです。
この記事で取り上げた
「地域社会」
はこんな学問です
国内外の都市部・農村部を問わず、地域社会の問題にアプローチし、実証的な調査・研究を行う学問。大きく分けると、2つに分けられる。一つは、地域行政のあり方を問い直し、地域住民・地元企業との連携を図って問題を解決する方法を探る地域行政学。もう一つは、グローバル化による急激な変化から地域の文化遺産を意識的に守り継承していく方法について研究する地域文化学である。2つは別々の学問ではなく、同じ問題意識を行政と文化という別の視点から考察している。