ノーベル賞で話題になったLED、どうして青色ばかり注目されるの?

ノーベル物理学賞も与えられた「青色LED」の発見によって、さまざまな技術を可能にしたそうです。青色LEDとは、いったい何か、事例とともにご紹介します。
この記事をまとめると
- 「青色LED」を開発、実用化したことが評価され、3人の日本人がノーベル賞を受賞した
- 青は赤や緑に比べると開発が難しく、断念した電子工学者はとても多かった
- 青色LEDは私たちの生活の中で多く取り入れられている
3人の日本人がノーベル賞を受賞した「青色LED」
2014年、赤崎勇氏、天野浩氏、中村修二氏の3名が、ノーベル物理学賞を受賞したことが大きな話題となりました。彼らが開発したのは「青色発光ダイオード(LED)」。
現在LEDライトは、ライブ会場や商業施設はもちろん、家の照明としても普通に使われています。それなのに、「なぜ今さら青色LEDがノーベル賞を受賞したの?」と思った人もいるのではないでしょうか。
実は、青色LEDの開発には、30年もの月日がかかっています。赤色と緑色のLEDはすでに開発されていましたが、青色のLEDは、赤や緑に比べてはるかにたくさんのエネルギーが必要となるため、開発までに長い年月がかかってしまいました。そして、青色だけが開発されていなかったので、実現できなかったことがあったのです。青色LEDがどれほどすごいものなのか、簡単に説明しましょう。
青色LEDって何がすごいの?
光の三原色は、赤、緑、青の3つです。この3色をそれぞれの量で混ぜることによって、ようやくさまざまな色を作り出すことができるのです。青色LEDが開発されたことで光の三原色がそろい、私たちの生活で最も身近な白い光を、ようやくつくることができるようになりました。もちろん白だけでなく、3つの色の配分を変えればより多くの色を出すことができます。まず、これが1つ目のすごいことです。
実は、赤崎氏と天野氏は、1989年に窒素ガリウムというものを使った半導体で、青色LEDをつくることに成功していました。しかし、この窒素ガリウムの結晶はゴツゴツしていて不透明で、実生活で使えるほど明るい青色LEDをつくることができませんでした。その後、中村氏が開発した独自の装置で、これまでのものとは比べ物にならないほど高品質な窒素ガリウムの結晶をつくり上げます。それにより、青色LEDがようやく日常生活でも問題なく使えるようになりました。2つ目のすごいことは、青色LEDを実用化できるほど進化させた、ということなのです。
ブルーレイディスクもスマホも青色LEDのおかげで便利に!
青色LEDが開発されたことは、私たちが生活の中で使っているモノにも大きな影響を与えました。まずは、ブルーレイディスク。ブルーレイディスクがDVDディスクよりもたくさん録画できるのは、青色の波長が短く、4倍以上の情報量を伝達できるからなのです。
それから、駅などにある電光掲示板です。白をはじめフルカラーが使えるようになった電光掲示板は、以前よりずっと見やすいものになりました。それから、みなさんも日常的に使っているスマートフォン。液晶ディスプレイのバックライトに小型かつ電気使用量の少ないLEDを採用することで、明るいのに電池の持ちがいい液晶画面が実現したのです。
青色LEDの開発には、世界中の電子工学者が挑戦しましたが「20世紀中に開発するのは不可能」と、断念していきました。そこで根気よく研究を続け、青色LEDを開発し、ノーベル賞を受賞したのが日本の3人の研究者だったのです。
科学やテクノロジーはこれからもどんどん進化していくでしょう。電子工学という学問は、LEDやコンピュータの機能の中心になっている半導体やその他の電子機器を研究対象として取り扱います。発達していくテクノロジーと一緒に、私たちの暮らしをより豊かにしてくれる可能性のある分野なのではないでしょうか。時代が求める技術とその開発に携わりたい人にとっては、とても魅力的な分野かもしれませんよ。
この記事のテーマ
「工学・建築」を解説
工業技術や建築技術の発達は、私たちの生活を快適で安全なものに変えてきました。先人たちが生み出した知恵に新しい技術をプラスすることで、技術はいまも進歩し続けています。インフラの整備や災害に強い街作り、エネルギー効率の高い動力機械やロボット開発など、暮らしを豊かにする先端技術を学びます。
この記事で取り上げた
「電子工学」
はこんな学問です
情報の伝達処理における電気や電子の流れについて学び、研究する学問。電気の性質を解明して、スピーディーな情報伝達手段に活用することが目的である。基礎として、計測制御技術、電子回路、デジタル回路の知識と技術を学び、半導体による電子回路技術や電子デバイスシステムなどの応用研究を行う。ハイテク産業への応用研究には、情報通信技術、光デバイス、ロボット開発などがあり、現代社会に欠かせない技術開発を担っている学問といえる。
-
PICK UP! 「電子工学」について学べる学校
-
工学・建築について学べる学校

