楽しいだけじゃない! 「笑う」ことは、病気にもいい効果がある?
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笑うことは心や体にさまざまな影響を与えるようです。その効果を医学的にご紹介します。
この記事をまとめると
- 「笑う」ことは、明るい気持ちになるだけでなく、体にもさまざまな効果を与える
- たくさん笑うと、ナチュラルキラー細胞が活性化し、健康にもつながるといわれている
- つくり笑いでも、心の底から笑っているのと同じくらいの効果が得られる
とびきりの笑顔になれるのはどんなとき?
みなさんが「楽しい!」と心から笑える瞬間はどんなときですか? 学校で友だちと話しているときや家族でおいしいご飯を食べているとき、習い事で今までやってきたことが成功したときなど、笑顔になる瞬間はたくさんあるのではないでしょうか。
楽しいことがあってたくさん笑うと、気持ちがすっきりして嫌なことも忘れてしまいます。これは、心の健康を維持するのにとてもいいこと。笑うことが少ないと、気持ちがどんどん疲れていってしまいます。
実は、笑うことは心だけでなく、体にとってもいいことだといわれています。そこで、今回は、医学的に「笑う」ことのすばらしさを紹介します。
たくさん笑えばがんも撃退できるかもしれない!?
日本人の多くは、がんによって命を落としています。一見健康に見える人でも、体の中には1日3,000~5,000ものがん細胞が発生しています。このがん細胞をやっつけるには、「ナチュラルキラー細胞」という細胞が役に立ちますが、この細胞を増やすことができるのが、「笑う」ことなんです。
お笑いの聖地・大阪の吉本新喜劇で、ある実験を行ったことがあります。糖尿病の患者さん19人に新喜劇を見てもらい、ナチュラルキラー細胞を計測しました。すると、もともとナチュラルキラー細胞の数値が高過ぎた人は正常になり、低かった人は高くなるという結果が出たのです。
もともと人間の体には、ナチュラルキラー細胞が約50億個あるといわれています。笑うことで脳が刺激されると、神経ペプチドという物質がたくさんつくられます。この神経ペプチドがナチュラルキラー細胞に付着すると、50億個のナチュラルキラー細胞が活発に働き出すのです。すると免疫力が上がり、がん細胞をはじめ、悪影響を及ぼすウイルスなどを退治してくれるというわけです。
笑っていれば幸せがやってくるかも!?
「笑う」効果は、まだまだたくさんあります。例えば、鎮痛作用。1時間笑うだけで、鎮痛剤を1週間分飲んだことと変わらないだけの効果があるそうです。それから、笑うことで脳の働きが活性化するので、記憶力がよくなったり、認知症予防にも効果があるといわれています。ほかにも、新陳代謝が活発になって血行が促進される、自律神経のバランスが整う、幸せホルモンと呼ばれるエンドルフィンが分泌されて幸福感を感じる、カロリーが消費されるなど、笑うことは体にとっていいと言われることが多いようです。
50歳で治療の難しい難病にかかってしまったアメリカ人のノーマン・カズンさんという人がいました。彼は、10分間、心の底から笑うという治療を行い、76歳まで生きることができました。笑うことでストレスが解消され、痛みもなくなりよく眠れたのだそうです。もちろん心の底から笑うことが一番いいのですが、つくり笑いでも同じくらいの効果が得られるということも医学的に証明されています。「笑う門には福来る」という言葉があるように、笑顔でいると自然と幸せがやってきてくれるのですね。
医学の世界では、こうした発見が次々とされています。難しい学問という印象がある医学ですが、笑うことが治療になるということを知ると興味が湧いてくるのではないでしょうか。
参考:
フジ医療器|【第27回】ストレス解消方法 -笑う -
http://www.fujiiryoki.co.jp/column/energy/no27.html
サワイ健康推進課|“笑い”がもたらす 健康効果
http://www.sawai.co.jp/kenko-suishinka/illness/200908.html
この記事のテーマ
「医学・歯学・薬学・看護・リハビリ」を解説
高齢化社会では、長生きするだけでなく健康でいることが何よりも重要です。病気やけがなどによる身体・生理機能の変化を探り、元気に生活できるように治療するのが、医師、薬剤師、看護師、理学療法士などの専門家の役割。専門的知識と技術を身につけ、チームとして連携することで医療の質を向上させる方法を学びます。
この記事で取り上げた
「医学」
はこんな学問です
病気を予防して健康を維持することや、病気を治療して健康を取り戻すことを通じて、人の命を守り人生の質を向上させることを目的とした学問である。専門分野としては、人の体の機能と構造について研究し、病気の原因を明らかにする「基礎医学」、衛生学や法医学・犯罪学など医学と社会の関わりについて考察する「社会医学」、基礎医学の成果に基づいて実際に病気を治療するための研究を行う「臨床医学」などがある。
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