本音で話すことが進路を考えるときに必要なポイント?
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いよいよ受験シーズン到来。受験生はもちろん、下級生の皆さんも受験を意識し始める時期かもしれません。中にはなかなか進路が決められない、と悩む人もいるのではないでしょうか。「進路については、自分の考えと本音で向き合う時間が必要だと思います」と話すのはNPO法人カタリバの横山和毅さん。カタリバでは、ボランティアスタッフが高校生に向けて紙芝居形式のプレゼンテーションや座談会を行う「カタリ場」というキャリア学習プログラムを行っています。横山さんにお話を伺いました。
この記事をまとめると
- 「カタリ場」は学生を中心としたボランティアスタッフが行う授業
- 授業を体育館で行ったりBGMで音楽を流すなど、授業内で思いきり話せる工夫も
- 「自信がなかったのに授業を受けてから、生徒会に立候補した子もいてうれしかった」とも
今の高校生はひと目を気にしがちな印象
――横山さんは今の高校生にどのような印象を持ちますか。
自分たちのころと比べて、SNSによって友達との人間関係も変わってきたのかなという気がします。コミュニケーションが気軽にとれる分、常に他者との関わり合いが求められています。そのせいで高校生は人間関係に気を遣う人が多いんですよね。思いやりがあるというよりも「こんなことを言ったら相手から嫌われないだろうか」と周囲の目を気にしたり、輪から外れることを恐れている気がします。その状態って本人にとってつらいと思うんですよね。
――ひと目を気にしてしまうと、本音で話しにくくなるかもしれません。
ただでさえ気恥ずかしかったり、関係性が近いと言い出せないこともあります。家族や先生、友達に本音で話すのは難しいことだと思うんです。その代わり、目上の人でも友達でもない、利害関係のないちょっと年上の先輩になら話せることもあるのではないでしょうか。カタリ場の授業を行うボランティアスタッフは社会人もいますが、大学生や専門学生が中心です。お兄さん、お姉さんの立場のような存在だからこそ生徒さんも話しやすいと思います。
話しやすい空間を作る工夫も
――授業で自分の気持ちを話すことに抵抗を覚える生徒さんもいるのでは?
もちろん人見知りの子であったり、本人のそのときのタイミングによって抵抗感を感じる場合もあります。例えば、前日に親とケンカしたり部活でうまくいかなかったり……そんなときに無理に話してもらおうとはしていません。ただ、せっかくなのでできる限り自分と向き合う時間にはなってほしいと思っています。カタリ場の授業はいつもとは違う空間を作るようにして、できるだけ心を開きやすくなるような工夫をしています。例えば、授業も教室ではなく体育館で行うことでスタッフとの距離が近づけたり、BGMで音楽も流すようにしています。
自信がなかった生徒が授業を受けた結果……
―ー授業を受けた中で印象的だった生徒さんはいますか。
印象的だったのは、「自信がない」と言っていた子が自主的に動くようになったことですかね。その子は何に対しても自信が持てなくて将来に対してネガティブにしか考えられなかったんです。だから自分から何かしたいと思うこともあまりなく、夢や目標が一切なかった、と。先生たちもその彼のことは普段から気になっていたそうです。それが、カタリ場の授業を受けたことによって「自分にも何かできることがあるんじゃないか」「何かチャレンジしたい」と思い、生徒会に立候補したそうなんです。実際に行動したその子の頑張りもすごくうれしかったです。
横山さんは「『どんな仕事をしたいか』も大切ですが、『どんな自分になりたいか』『自分はどうしたいか』を考えることが大切です」とも。なりたい自分像を考えてみると、答えが見えてきそうです。将来に対して漠然とした不安があったり現在の自分に満足できない人は、思いきって自分の考えを本音で話してみるといいかもしれませんね。