魚を訓練する? 栽培漁業のいま

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魚を訓練する? 栽培漁業のいま

2015.12.01

提供元:マイナビ進学編集部

魚を訓練する? 栽培漁業のいま

小・中学校の社会科で学習した栽培漁業に関する内容で、天然海域から採取された種苗と卵から人の手で飼育された人工種苗の性質の違いを解説し、その差を改善するために行われる「魚の学習」などの研究について紹介します。

この記事をまとめると

  • 養殖業だけでなく、「つくり育てる」栽培漁業が近年注目されている
  • 現在の栽培漁業では、魚の性質を改善するためさまざまな方法が利用される
  • 栽培漁業の理論や方法は「水産学」で学ぶことができる

つくり育てる漁業、栽培漁業とは?

「つくり育てる」栽培漁業という言葉を知っていますか。栽培漁業とは、環境の変化に弱く外敵に食べられやすく孵化後すぐの小さな魚を人間の手で大切に育て、ある程度大きくなり食べられなくなった時期に海へ放流することで魚を増やそうとする漁業のことです。

魚をある短い期間のみ育てるという点で、栽培漁業は魚を一生飼育し続ける養殖と異なります。栽培漁業は、養殖と比較して、かかる費用や管理に必要な手間が少なく、魚の食べ残しにより水質汚染を引き起こす養殖と比べ、環境にやさしいという長所があります。そのため、養殖の欠点を解決するものとして、魚の赤ちゃんを育てる「栽培」と漁獲という「漁業」の過程を含む栽培漁業は、新しい時代の資源管理の手法として日本で始まりました。

温室育ちはのんびりや

ふつう、栽培漁業で放流される稚魚は生まれてからずっと外敵のいない安全な状況で人により、大切に育てられます。また、栄養豊富な餌がたくさん与えられるので、極端におなかがすくこともなければ自分で遠くに餌をとりに行く必要もありません。このため、外敵に対する警戒心が薄く、捕食されやすい、行動や反応が鈍い、餌を探す能力が低いなど、天然の稚魚と行動がとても異なり、放流後に生き残ることは難しいといわれています。
このような理由から、単に一定の大きさまで育てた稚魚を放流するのではなく、天然海域で生き残るのに有利となるように稚魚を訓練した上で放流する方法が近年注目を浴びています。例えば、石や人口海藻を置いて飼育環境を豊かにする、餌を与える時刻や場所を変化させる、水槽越しに同種の個体が食べられる様子を見せ、魚に捕食者の存在を学習させるなどの方法があります。

なぜ生存能力が改善するのか

通常、魚は環境の変化が少なく、一定の時間、同じ場所で餌を与えられます。このため、安全で変わることのない環境に慣れた結果、外敵や環境に対して反応しにくいのんびりやになってしまうのです。しかし、障害物や隠れ家が増え、餌を得ることができる時刻や場所が変化すると環境は予測できなくなります。この結果脳の発達が刺激され、目まぐるしく環境が変わる天然海域に対する適応能力が高まるとされます。
また捕食者の存在を見せると、魚は「自分も食べられてしまうかもしれない」と考えるようになるため、距離を長くとるなど警戒行動をとるようになります。この結果、天然海域では見たことのないものや生物に対し、素早く反応・回避するようになり、生き残りやすくなるのです。
水産学は、行動学や生態学を応用して漁業の様々な問題を解決する方法を生み出す学問でもあります。栽培漁業のような新しい漁業に可能性を感じた人は、水産学から関心を広げてみてはいかがでしょう。


(参考文献)
棟方有宗・小林牧人・有元貴文編(2013)恒星社厚生閣、水産学シリーズ176
p.116-127

この記事のテーマ
農学・水産学・生物」を解説

私たちはほかの生物から栄養をもらって生活をしています。しかも、採集や狩猟だけではなく、食物を生産するという手段を得て、今日のように繁栄しました。人口増加や環境悪化などに対応し、将来的に安定した食料の確保を維持するためには、農業、林業、水産業などの生産技術の向上が必要です。さらに突き詰めて考えれば、動植物や微生物などの多様な生物に対する研究も重要です。自然との共生が大きなテーマになる学問です。

「農学・水産学・生物」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「水産学」
はこんな学問です

海洋に生息する動植物などの水産資源を捕獲・生産する漁業についての学問である。最近では、干潟の埋め立てやごみの不法投棄など、海洋の環境問題についての研究も盛んである。専門分野としては、海の生態系と海洋生物の生態を調査・分析して漁業や環境保全に活用する「海洋生物科学」、水産資源の効率的で持続的な捕獲・生産方法から加工・流通までを研究する「海洋生産管理学」、水産物の食品としての利用技術を研究する「水産食品化学」などがある。

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