「俺は俺」キュウソネコカミが自身の経験から贈る、高校生へのメッセージ
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大学の軽音サークルで出会った5人が結成したロックバンド、キュウソネコカミ。バンドを代表して、ヤマサキセイヤ(Vo./Gt.)さんとヨコタシンノスケ(Key./Vo.)さんに勉強方法や卒業後の進路の選び方も含め、高校時代を振り返っていただきました。型破りなパフォーマンスが人気のバンドのフロントマン2人。やはり、周囲に流されずに「俺は俺」を貫く個性的な高校時代だったようです。
この記事をまとめると
- テストの時、クラスで1位を取るのが趣味だった
- 生きていく上で必要な生活力を身に着けるには一人暮らしがオススメ
- 「俺は俺」を貫けば、何とかなるかもしれない
コミュ力に欠ける分、勉強だけはしておかないと
―― お二人は高校時代、どんな生徒でしたか?
ヨコタ:全然違うよね、二人とも。
ヤマサキ:今のイメージと真逆かもしれないです。僕が今、ライブでは「うわー!」と盛り上げて、シンノスケがまとめていますけど。僕のイメージでは、シンノスケは全然勉強していない(笑)。
ヨコタ:ハハハ。高校から授業が選択制だったから、のんびりしていました。就職する人と進学する人が半々。進学もその中で専門学校に行く人と、大学に行く人が半々、極々一部で国公立大に行く人がいるみたいに周りもいろいろだったんですよ。
―― ヨコタさんは進学コースだったのでしょうか?
ヨコタ:なんとなく進学コースにいましたけど、大学に行くって決めたのも高校3年生の時で、「他の高校3年生はすでに動いているらしい。そもそも2年生からやっているぞ」という話を聞いて、「そうなんだ」ってやっと(笑)。その時に数学の授業を選択履修していなかったから、国公立を受けられないことが判明したんです。どうしようと思っている時に友達とオープンキャンパスに行って、進学した大学のAO入試(現・総合型選抜)の存在を知って。進学したのは法学部だったんですけど、試験は一次が小論文で、二次がディベートでした。僕は討論や話すことが得意だったので、「それだったら受かるかもしれない」と思ったんです。
―― ヤマサキさんは真面目な高校生活を送られていたんですか?
ヤマサキ:コミュ力に欠ける分、勉強だけはしておかないとと思ってめっちゃ勉強していました。だから、成績だけは良かったです。しかも長男だから、そのプレッシャーと言うか、親に心配かけちゃいけないと思っていたせいか、反抗期もなくて。
テストの時、クラスで1位を取るのが趣味と言うか、楽しいみたいな(笑)。頭良いし、バレーボール部でキャプテンもやっているし、全部やったれみたいな感じで。ただ、音楽だけはめっちゃ嫌いでした。どんなに頑張っても、音楽だけ成績が取れなかったんです。それでも勉強をしっかりやっておくことで、指定校推薦(現・学校推薦型選抜)を勝ち取りました。完全にそれ狙いだったんです。推薦を勝ち取ったら、一番良い学校を選んでやろうと思っていて、それが進学した大学の法学部だったんです。
80点を取りたいなら100点を目指さないと
―― テスト前にやっていた自分なりの勉強方法はありましたか?
ヤマサキ:テスト範囲が発表されたその日から友達と遊ばなくなりました(笑)。それまでは「遊びに行こうぜ」と率先して遊んでいたんですけど、1日12時間勉強したいから、授業が終わるとすぐに帰っていました。「おまえら、人生ここで終わらんぞ。この先があんねんぞ。1週間ぐらい勉強しろや」って思ってました(笑)。
ヨコタ:僕はそれ、思われてたほうだ(笑)。
ヤマサキ:歴史の勉強はちょっとだけ苦手だったんですけど、でも、もう暗記なんで。教科書にマーカーを引いて、下敷きで隠れるやつあるじゃないですか。それで覚えこんでから、オカンに朗読してもらって、マーカーしたところを僕が答える。それでも覚えられない時は、歴史の教科書の試験範囲を丸々、書き写していました。それをすると、結構頭に入りましたね。
ヨコタ:僕の場合は、みんな目指しているところがバラバラだったから、クラスにいろいろな友達がいたんですけど、国公立大を目指している女の子が隣の席でした。彼女の教え方がうまくて、「ここを覚えていたらいいよ」と教えてくれるから、わりとうまく勉強できていましたね。
ヤマサキ:逆に僕は教えてあげない雰囲気をめっちゃ出していましたけどね(笑)。
―― 勉強が嫌になったことはありましたか?
ヤマサキ:頑張ったのに点が取れなかった時は、がっかりはしましたけど、嫌になるほど難しい問題ばかりじゃなかった気がします。例えば、数学も完全にオリジナルの問題と言うよりも、数字が変わっているだけで、数式を理解してたら答えられたんで、挫折したことはなかったです。それに何人か競い合いたい奴がいたんですよ。野球部でめちゃめちゃ野球がうまいけど、試験になったら同じように1週間こもるような奴が。僕がそいつにいつもギリギリ勝つんですよ。そうすると、そいつがどんどん燃え上がってきて、それがおもしろかったです。そいつは今、銀行員になりました。
ヨコタ:僕は、すでに嫌になってましたから(笑)。1回も楽しいと思ったことがない。親からは「全然勉強していない」と言われましたけど、その時に言われたことを反省して、今やっていることがあるんです。
親から「80点を目指してやっても60点しか取れない。100点を目指するつもりでやらないと、80点にならない」と言われたんですけど、その時はよく分かってなかったんです。でもその後、段々意味が分かってきて。今、何か成し遂げないといけないと思って真面目に取り組む時は、100点以上を目指すようになりましたね。
自分を貫いている奴はなんとかなっている
―― 今のお話は高校生へのアドバイスになると思うのですが、その他、アドバイスするとしたら?
ヤマサキ:僕は和歌山出身だから、都会に対してちょっと怖いみたいな気持ちがあるんですけど、そこを乗り越えて都会に出たほうがいいよ、と言ってあげたいです。1回は都会を見たほうがいい。僕自身、新しい人とコミュニケーションを取るのがすごく苦手だから、地元で知ってる奴らとぬくぬくしていたかったんですけど、それじゃダメだなっていう気持ちが勝って、あえて苦しいところに行こうと思って、大学進学を機に和歌山を出ました。
ヨコタ:それは僕も思っていました。「こんな場所では終わらんぞ。成り上がってやるぞ。誰も知らないところに行きたい」って節目節目に思ったんですよ。中学から高校に上がる時も学区が違う学校に行ったし、大学も大阪から兵庫に行ったし。
ヤマサキ:できたら一人暮らしもしたほうがいい。一人暮らししたら、やっぱり生活力が身に着きますからね。まったく経験がないよりは、ちょっとはあるほうがこの先、生きていくのにいいと思います。いますからね。ホンマに何もできない奴。しかも、男子女子関係なくいますから。
――ヨコタさんは何かありますか?
ヨコタ:僕ら、どちらもかなり特殊だからなぁ。
ヤマサキ:でも、人と同じことをあんまりしないってところは似ているかもしれない。
ヨコタ:それで言ったら、今のほうが昔よりも選択肢は広いというか、何をするのも自由な気風があるような気がするんですけどね。逆に言えば、偏差値が高い学校に行けば、良い生活が待っているかと言ったら、そういうわけでもない。僕らがまさにそうだと思うんですけど、それよりも我慢できないこととか、譲れないことかを重要視して選ぶのもいいし、逆にやりたくないことから決めて、残ったところに行くのもいいし。やり直せない感じもあんまりないような気がしているんだけど、どうなんだろう? でも、高校生のみんなは、そうは思えないんだろうなぁ。
―― 周りを見て、焦ったり、迷ったり、振り回されたりしないようにするのは、確かに進路を決める上で大事かもしれませんね。
ヨコタ:そういうふうに生きてきた経験から言えることかもしれないですね。「俺は俺」っていうのは。そこを貫いている奴は、何とかなっているかもしれないですね。
「二人とも特殊だから参考になるかなぁ」と言いながら、真剣に答えてくれたヤマサキさんとヨコタさん。いつもステージで大暴れしているイメージとはちょっと違う、真面目な人柄を知ることができました。結成10周年とねずみ年。ダブル・メモリアルイヤーとなる2020年もキュウソネコカミは「俺は俺」を貫き通すことでしょう。
【リリース情報】
ミニ・アルバム『ハリネズミズム』
2020.01.29 ON SALE
http://kyusonekokami.com/
▼ダウンロードはこちら
https://jvcmusic.lnk.to/harinezumism
【profile】
2009年12月に兵庫県西宮で結成され、2014年6月に『チェンジ ザ ワールド』でメジャー進出してからもひきつづき西宮を拠点に活動中。メンバーは、ヤマサキセイヤ(Vo./Gt.)、オカザワカズマ(Gt.)、カワクボタクロウ(Ba.)、ソゴウタイスケ(Dr.)、ヨコタシンノスケ(Key.)の5人。唯一無二のサウンドとユーモア・センスを武器にライブ・シーンを賑わせている。