【シゴトを知ろう】二輪自動車整備士 編
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バイクの車検整備や法定点検、オイル交換などを行う二輪自動車整備士。バイクの状態を正確に把握することが重要で、お客様の安全を守る大切な役割を担っています。今回は、株式会社スズキ二輪のスズキワールド船橋店で働く柳井清俊さんに、この仕事についたきっかけややりがいなどを伺いました。
この記事をまとめると
- さまざまなバイクの構造を知ることができる仕事
- お客様の違和感を理解し、原因を突き止められたときは達成感を味わえる
- バイクの整備はお客様の命を守る大切な仕事
お客様から「バイクの調子がいい」と言われるとうれしい
Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えてください。
二輪自動車整備士としての仕事は、車検整備や法定点検、パンク修理・オイル交換などが主な業務になります。
<一日のスケジュール>
9:30 出勤。一日の流れの確認、掃除、車両を搬出などの開店準備
10:00 車検整備、時間のかかる整備や、その場ですぐに対応しなければならない整備など
12:00 昼食
13:00 車検整備、時間のかかる整備や、その場ですぐに対応しなければならない整備など
18:00 終礼、片付け、店内の様子を見ながら閉店準備
19:00 退社、帰宅
Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?
もともとバイクが好きなので、整備をしているときに「このバイクはこういう構造をしているんだ」など、バイクの構造を知ることができるのはとても楽しいですね。また、自分が整備したバイクをお客様にお返ししたときに、「ありがとう」と言っていただけたり、次に来店されたときに「この間、見てもらったバイクの調子がいいよ」などと褒めていただいたときは、とてもうれしいです。
Q3. 仕事で大変なこと・つらいと感じることはありますか?
大変だと感じるのは、お客様が「こういう症状が出ていて気になる」とおっしゃっているのに、私たちがお預かりして試乗したときに同じ症状が出なくて確認できないときです。いつも同じ症状が出ていればよいのですが、そうとは限らない場合もあり、症状が出ないとなると原因を探ることも、整備をすることもできません。また感覚も人によって異なるので、お客様が感じる不具合とは何かを見つけることが難しい場合があります。
例えば、エンジン音や排気音については、人によって感じ方が異なるので、お客様と私の感じる音は必ずしも同じではありません。そのような場合、お客様の違和感の原因を探すのはとても難しいことです。しかしその分、お客様の感じる不具合感を理解でき、原因に行きついたときは達成感があり、思わず「やった!」と心の中で叫びます。
ツーリング先でバイクが故障。そのときの経験がこの仕事に就くきっかけに
Q4. どのようなきっかけ・経緯でこの仕事に就きましたか?
大学生のときにツーリングに出かけたのですが、出先で私が乗っていたバイクが故障してしまいました。「どうしよう」と途方にくれていたときに、近くにあったショップの人が親身になって相談にのってくれました。その店でバイクを買ったわけでもないのに、とても良くしてくれたのです。そのときに、「こういう仕事もいいな」と思いました。
Q5. 大学・専門学校では何を学びましたか?
4年制の大学で犯罪心理学を勉強していました。しかし、心理学で専門的な職業に就くためには大学院でもう2年勉強しなくてはなりませんでした。そこで将来のことを考え、卒業後のその2年で好きなバイクの専門学校に進もうと決めました。バイクの専門学校で知識や技術について、いろいろ学びました。
Q6. 高校生のときの経験が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?
勉強にかなり力を入れている高校だったので、計画を立てて勉強しないと課題がこなせませんでした。そういう意味では、計画を立てて進める習慣がついているので、今の仕事にも役に立っていると思います。例えば「今日は何時にこの作業が入ってくるから、こちらの作業はこの時間帯で行おう」というように、常に先のことを考えて作業をしています。
この仕事に向いているのは微妙な違いに気付ける人
Q7. どういう人がこの仕事に向いていると思いますか?
細かいことに気づける人が向いていると思います。ちょっとした異変がある状態、例えば、エンジン音や排気音がリズミカルでないとか、ペダルやレバーがいつもより少し重く感じるなど、微妙な違いなどを気づける人は、特に向いているのではないでしょうか。もちろん、これらは経験して分かることもありますから、私自身も、これからもっともっと頑張って経験を積み重ねていこうと思っています。
Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします。
バイクについての基礎知識は専門学校で学べるので、工業高校の出身ではないなどの理由で諦めないでください。私も大学に進学してから、将来について考えた結果、今の仕事に就きました。もちろん、高校生のときに将来について決められればいいのですが、高校生のときに考えた道に固執することはないと思います。だから、もし興味がある職業があったら、進みたいと思ったときに立ち止まって考えればいいのだと思います。
大学で犯罪心理学を学んでいたという経歴をもつ柳井さん。新たに進みたい道が見つかったからといって、それまでの4年間の学費を出してもらっていたことを考えると、簡単には決心がつかなかったそうです。それでも、現在は好きな道に進み、お客様の命を預かるバイクの整備の仕事に励んでいます。
【profile】株式会社スズキ二輪 直販営業部 スズキワールド船橋 柳井清俊
この記事のテーマ
「自動車・航空・船舶・鉄道・宇宙」を解説
陸・海・空の交通や物流に関わるスキルを学びます。自動車、飛行機、船舶、鉄道車両などの整備・保守や設計・開発、製造ラインや安全の管理、乗客サービスなど、身につけるべき知識や技術は職業によってさまざまで、特定の資格が求められる職業も多数あります。宇宙については、気象観測や通信を支える衛星に関わる仕事の技術などを学びます。
この記事で取り上げた
「二輪自動車整備士」
はこんな仕事です
バイクを専門として修理、点検、整備を行う仕事。持ち込まれたバイクの状態を正確に把握することが第一で、タイヤ、ブレーキパッドの消耗を発見したら、修理、交換を提案するなど、オーナーの安全を守る大切な役割を担っている。ブレーキなどの調整や細かなチューニングで、今までよりも走りやすく整備できるかが腕の見せどころとなる。二輪の場合は、オーナーによって乗り方が異なり、個性や癖にも配慮が必要だ。整備工場の他、バイク販売店などが活躍の場になる。