【シゴトを知ろう】ゲームディレクター ~番外編~
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ゲーム会社のスクウェア・エニックスで、「ドラゴンクエスト」のディレクターとして活躍している内川毅さん。ゲーム全体の方向性を定め、さまざまな部署と協力して珠玉の作品を作っています。この番外編では、内川さんに伺った業界事情やディレクターのなり方などについて紹介していきます。
この記事をまとめると
- ディレクターになるには、プランナーやデザイナーなどの経験が必要
- ゲームという遊びに真剣に向き合い、議論を重ねながら制作している
- 日常に隠れたアイデアの種を逃さないよう、映画や音楽を常にチェック
プランナーなどとして働き、ディレクターを目指す
―― 業界内ではどんなキャリアパスがありますか?
一般的には、ゲームの専門学校や四年制大学を卒業して業界に入る人が多いです。ただ、最初からディレクターになることはありません。業界内には、それぞれの能力を生かすためのさまざまな部署があるので、そこで経験を積むことになります。
キャラクターや背景を描く「デザイナー」、意図した通りにゲームが進むようプログラミングする「プログラマー」の他、私も経験した「プランナー」という仕事があります。プランナーは、言わば「なんでも屋」。ゲーム全体のシナリオや仕様書を書いたり、ゲーム上のマップやバトルなど細かい部分を企画する場合もあります。
各部署で広げた知見をもとに、周囲の信頼を得ながら、ディレクターとして一段上の立場でゲームを作ることを目指していきます。
遊びに真剣。ユーザーの心を大切に制作する
―― 業務をされてから、一番驚かれたことは何ですか?
スタッフが、ゲームという遊びに真剣になっていることです。私たちは空想の物語を作っていくわけですが、打合せは真剣そのもの。「ドラゴンはこんなことをしない」「このキャラクターからそんな発言は出ない」など、実在しない世界のことに対して議論するのがこの業界です。
先日「メラ」という呪文のダメージ量を考えているとき、「これを真剣に考えているおじさんは、日本で自分だけだな」と幸せに感じました(笑)。
―― 一般人が知らない業界の常識はありますか?
業務中にみんなゲームをしていることですね。据え置きのゲームをプレイしたり、スマホゲームで「ガチャ」を引いたり、「みんなゲームが好きなんだな」と思いますね(笑)。
でもそうすることで、感動や喜びといった心の動きをユーザーと共有することができるんです。だからこそ、打合せのときも話がスムーズに進みます。もちろん通常の業務はきちんと行っていますよ(笑)。
アイデアの種は、日常の中にある
―― 業界内にはどんな性格の方が多いですか?
分析することが好きな人です。情報を集めて「こういうものがいいんじゃないか」と論理的に考えられる人が多いと思います。
クリエイターという観点から言うと、こだわりが強い人が多いのも業界の特徴ですね。例えばデザイナーは絵に対して深い思い入れがありますし、そうしたこだわりがぶつかったときに調整するのも、ディレクターの大切な仕事です。
―― 業界内で働くにあたって、特に意識していることはありますか?
ゲームについて考える「受け皿」を常に頭の片隅に設けています。アイデアの種はどこに転がっているか分かりません。新しい音楽やテレビドラマ、映画などは意識的に見るようにしています。そこで蓄積したものをもとにして、ゲームの構想を練ります。
とはいえ、ゲームは自分一人で作るものではありません。他のスタッフにもアイデア出しをしてもらって、新しいものを生み出しています。
ゲームディレクターになるには、まずプランナーやデザイナー・プログラマーなどとして経験を積むことが必要。そして制作の過程では、スタッフたちがゲームという遊びにとことんまで向き合い、真剣に議論を重ねていることが分かりました。最後に内川さんが語ってくださったのは、常にゲームについて考える「受け皿」を頭の中に用意しているということ。日々の暮らしに隠れたアイデアの種を生かすという考え方は、私たちがどんな道に進んでも役立ちそうですね。
【profile】株式会社スクウェア・エニックス ディレクター 内川 毅
この記事のテーマ
「コンピュータ・Web・ゲーム」を解説
デジタル情報をつなぐシステム構築をはじめ、Webやゲーム、アニメーション、映画など、メディアやコンテンツを創り出す仕事です。コンピュータの設計・開発などを学ぶ情報処理系、アニメ・ゲームなどの制作を学ぶコンテンツ系の学問があります。ビジネスの現場で使われるアプリケーションスキルを身につける授業も役立ちます。
この記事で取り上げた
「ゲームディレクター」
はこんな仕事です
ゲーム開発時の進行管理の他、プランナーやデザイナーといったスタッフを取りまとめ、ゲーム作りを管理・監督するのがゲームディレクターだ。プロデューサーが指示系統をつくり上げ、ディレクターはその指示の下に動くのが一般的だが、実際の現場での責任者はディレクターになるため、企画立案や予算管理、チームのスタッフ構成やスケジュール管理など責任を担うことは多くある。実際にゲームの開発作業の細部に関わることはあまりないが、ディレクターのディレクション能力によって、作品のクオリティーは大きく変わる。
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