【シゴトを知ろう】客室乗務員(フライトアテンダント) ~番外編~
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機内においてお客さまに快適に過ごしていただくためのサービスをしたり、保安業務などを行ったりする客室乗務員(フライトアテンダント)。日本航空株式会社で客室乗務員として働いていらっしゃる瀬沼亜沙子さんに仕事中に気を付けていることや、考えていることなどを伺いました。
この記事をまとめると
- 指先にもおもてなしの心が表れるため、丁寧な所作を心がける
- 働くときはしっかり働き、休むときはしっかり休む
- 業界用語を使用した会話をすることが多い
2020年4月から新デザインの制服に変更
―― 仕事中、こだわってやっていることはありますか?
所作は丁寧に、気を付けて仕事をしています。指先にもおもてなしの心が表れると思いますので、お飲み物一つお出しするときも、持ち方や、手の置き方(添え方)、動かし方には気を付けています。丁寧な所作は、海外のお客さまは特に喜んでくださいます。
それから、間を取ることも大切にしています。飛行機の中ではお客さまはそれぞれのペースで、いわばプライベートな時間と空間を過ごされていらっしゃいます。しかし、安全の説明や、お食事をお出しする際は、こちら側からお願いをすることもあります。そのようなときは、お客さまの様子や状況を見てから話し始めることにしています。アプローチのタイミングや、立つ位置を考えながらお声がけしています。
―― この仕事に就いてから、何か勉強をしていることはありますか?
引き続き英語の勉強はしているのですが、手話にも興味を持ち始めました。乗務をしていると手話を使うタイミングが多いと感じるようになりました。耳が不自由な方は、遠慮がちになられることが多いようです。「こんにちは」「ありがとうございます」という一言を手話で行うだけで非常に喜んでくださり、距離も近くなり、心が通います。すると、客室乗務員に頼みごとをしていただきやすくなり、より快適にお過ごしいただけるようになると思います。
それから、頻繁に海外に行くので、その国の習慣や背景を勉強するようにもなりました。それを知らないと失礼にあたることもあるので、事前に調べるようになりました。
―― 服装や髪型、メイクは決まっているのですか?
会社での規定があります。制服は2020年4月から、7年ぶりに新しいものに変わりました。前回のデザインは、私が入社したときにちょうど変わったものだったので、とても愛着がありましたが、今回新しくなった制服もスタイリッシュで魅力的です。客室乗務員は、髪型、メイクなどの基準も細かく決まっています。機内の暗い照明でも、明るく健康的で、優しい印象にするために、口紅は明るいものを使用します。学生のときには付けたことがないような明るい赤なので、ドキドキしたのを覚えています。
宿泊する現地では、観光やごはんを食べに行くことも
―― 現地に宿泊するときは観光などもするのですか?
現地に着いて、すぐに寝てしまうということもあるのですが、もちろん観光をしたり、ごはんを食べに行ったりすることもあります。私はパリが大好きで、街を歩いているだけでウキウキします。ごはんもおいしいですし、街の全てがおしゃれに見えますね。
2020年2月からウラジオストク便が就航しています。これまでロシア方面にあまり行ったことがないので、こちらの方にも機会があれば行ってみたいと思っています。
―― この仕事ならではの「あるある」なことはありますか?
日本語と外国語の単語が混ざった会話をしていることがあります。業界用語も多く使われます。例えば、飛行機の中でお食事の盛り付けなど準備をする所を「ギャレー(galley)」、トイレは「ラバ(ラバトリー:Lavatory)」、勤務開始を「ショーアップ(show up)」、予定していなかったけれど参加することを「ゴーショー(go show)」と言います。例えば、「明日、ショーアップは何時だっけ?」、「急遽、ゴーショーで行ってもいい?」というような使い方をします。
―― 一般の方に言うと驚かれる業界の常識はありますか?
長い時間起きているということは、他の業界と異なるところかもしれません。真冬のニューヨーク便は14時間ほどかかります。気が付くと、起きてから20時間近く経過しているということもあります。客室乗務員は、働くときは濃い密度で働いて、休むときはしっかり休むという働き方をしています。
仲間からも信頼される客室乗務員を目指して
―― 働くにあたって、気を付けていることはありますか?
体力が必要な仕事のため、体調管理にはものすごく気を付けています。食べ物は野菜中心にしてみたり、湯船にしっかり浸かって体を温めたりなどしています。また、寝る時間は必ず6時間は確保しています。例えば、朝3時に起きなければいけないときは、夜9時には寝るようにしています。
―― この業界にいるからこそ知ったことはありますか?
1日に飛んでいる飛行機は、思っていた以上に多いということです。羽田空港では、他社便も含めて、国際線だけでも1日最大240便運航しており、2020年度には更に便数が増える予定です。出発や到着の順番待ちのため、飛行機も滑走路や空港上空で「渋滞」することがあるんですよ。
―― 今後の目標を教えてください。
2020年、これまで以上に、いろいろなお客さまに日本航空の飛行機に乗っていただくことが多くなります。さまざまな国や文化圏からいらしたお客さま一人一人に合わせたサービスをしていきたいです。また、仲間と一緒に働いているので、仲間からも信頼される客室乗務員として働きたいと思っています。
客室乗務員の仕事に誇りを持ち、お客さまのためにできることはないかと常に考え、指先の所作にまでこだわっている瀬沼さん。その心がお客さまにも伝わり、そして周りで働く人たちにも理解され、安全で快適、そして楽しいフライトにつながっているのだと感じました。客室乗務員になりたい人は、まずは自分が周りの人に対してどのようなことができるのかを考えてみるといいのかもしれません。
【profile】日本航空株式会社 客室乗務員 瀬沼亜沙子
この記事のテーマ
「自動車・航空・船舶・鉄道・宇宙」を解説
陸・海・空の交通や物流に関わる仕事です。自動車や飛行機、船舶、鉄道車両などの整備・保守や設計・開発、製造ラインや安全の管理、乗客サービスなど、身につけるべき知識や技術は職業によってさまざま。宇宙分野に関しては、気象観測や通信を支える衛星に関わる仕事の技術などを学びます。
この記事で取り上げた
「客室乗務員(フライトアテンダント)」
はこんな仕事です
航空機の客室で、安全運航のための保安業務や搭乗客へのサービスを行う仕事。航空会社によって、「客室乗務員」「フライトアテンダント」「キャビンアテンダント(CA)」など、呼び方はさまざま。具体的には、搭乗客の案内、手荷物の収納確認、救命胴衣や酸素マスクの使い方の説明、機内アナウンス、食事や飲み物の提供、体調不良者への対応などを行う。搭乗客が機内で快適に過ごせるよう、常に気配りと笑顔が求められる。また、非常時には搭乗者の避難誘導にあたるなど、保安要員としての役割も大きい。
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