【シゴトを知ろう】客室乗務員(フライトアテンダント) 編
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いつも笑顔でテキパキと仕事をしている客室乗務員(フライトアテンダント)。「将来は客室乗務員になりたい!」と思っている人も多いのではないでしょうか。どのようなことを考えながらお仕事をしているのかなどを日本航空株式会社で客室乗務員として働いている瀬沼亜沙子さんに伺いました。
この記事をまとめると
- 国内線の乗務の日は、1泊2日のフライトが基本
- 客室乗務員の仕事はチームワークが大切
- お客さまの反応が、仕事のやりがいにつながる
お客さまに喜んでいただけることをチームみんなで考える
Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えてください。
客室乗務員は朝、羽田空港に到着してから、まずオフィスで「ブリーフィング」と呼ばれる打ち合わせを行います。毎回同じメンバーでフライトしているわけではなく、初めて会う乗務員もたくさんいるので、自己紹介をしたり、その日のサービスのポイントを確認したりします。また、「今日は天候が悪く、揺れそうなので気を付けてくださいね」という安全面の確認も行います。
その後は飛行機に向かい、非常用の装備の確認、通常のサービスで使用するものの確認と準備をします。飛行機の準備が整ったら、お客さまのご搭乗開始です。その後はお客さまが機内で快適に過ごせるようなサービスをご提供します。
国内線に乗務する場合は、日帰り、1泊2日、2泊3日、3泊4日のスケジュールがありますが、1泊2日のスケジュールが多いです。1泊2日の場合、朝は3時くらいに起きて出社します。1日に3便のフライトを行い、その日は現地で宿泊します。国際線の場合は行き先にもよりますが、ニューヨークへのフライトのときは2泊4日のスケジュールとなります。国際線は深夜便などもありますので、夜中の12時を過ぎた頃から仕事が始まることもありますし、朝6時に仕事が終わるということもあります。
国内線も国際線も、基本の勤務のスケジュールは、4日働いた後に2日休みというサイクルになります。入社して1年目は国内線の乗務をして、2年目以降は国際線に乗務することが多くなります。
<一日のスケジュール> ※国内線の乗務の場合(例)
04:00 起床
06:00 羽田空港に到着。ブリーフィング
06:30 器材の確認など準備
08:00 フライト1(羽田発)
10:00 フライト2(現地発)
12:00 フライト3(羽田発)
14:00 業務終了。現地のホテルに宿泊
翌日
04:00 起床
06:00 現地の空港に到着。ブリーフィング
06:30 器材の確認など準備
08:00 フライト1(現地発)
10:00 フライト2(羽田発)
12:00 フライト3(現地発)
14:00 業務終了。帰宅
Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?
お客さまと直接お話ができる仕事ですので、お客さまの反応がすぐに分かるというのは、やりがいにつながっています。喜んでいただけることも、ご意見をいただくことも、ありがたいですね。ご意見をいただいた際には、真摯に受け止め、すぐに改善に取り組めます。
喜んでいただいたときのエピソードとしては、国際線のファーストクラスに乗務した際、韓国籍のお客さまがご夫婦でご搭乗くださいました。羽田からニューヨークに向かう便だったのですが、韓国からのお乗り継ぎで、とてもうれしそうなご様子でした。理由を伺ったところ、実はご夫婦は普段はアメリカにお住まいだったのですが、金婚式の記念でお墓参りをするために数十年ぶりに韓国を訪れており「帰りにJALのファーストクラスに乗るのが本当に楽しみだった」というお話をしてくださいました。
韓国からもニューヨークへの直行便がある中、記念の特別なご旅行に日本航空のファーストクラスをお選びいただいたことが私たちも本当にうれしく、客室乗務員みんなでできることを考えました。「金婚式、おめでとう」と書いたデザートプレートと、ファーストクラスを担当した客室乗務員みんなでメッセージを書いたカードをお渡ししました。お客さまも非常に喜んでくださり、私たちも心に残るフライトとなりました。
客室乗務員は、チームワークが大切な仕事です。客室乗務員の一人が「お客さまから、こんなことを聞きました」という情報を、乗務しているみんなで共有します。そして、全員でお客さまに何ができるかを考え、一人だと思いつかなかったアイデアを実現できるというのも、この仕事の楽しさややりがいだと思っています。
Q3. 仕事で大変なこと・つらいと感じることはありますか?
国際線に乗務し始めた頃は時差に慣れることができず、大変でした。しかし、体はだんだん慣れてくるもので、現在は時差ボケなどしなくなりました。当初はいろいろな先輩に「時差ボケ対策はどうしていますか?」と質問して、試行錯誤していました。現地に着いたらすぐに寝てしまうという先輩もいれば、現地の時間に合わせて生活するという先輩もいます。私は、眠くなったときに寝るという方法をとっています。
人の心を温かくできるJALで客室乗務員になりたい!
Q4. どのようなきっかけ・経緯でその仕事に就きましたか?
父が転勤族で小さな頃から飛行機に乗る機会が多くあり、その頃から、なんとなく「客室乗務員って、かっこいいな」と思っていました。そして、高校3年生のとき、「JALの客室乗務員になりたい!」と思うようになりました。
大学受験で東京に行くためにJALの飛行機に乗っていたところ、客室乗務員から「受験生ですか。頑張ってくださいね」と声を掛けていただきました。それだけで非常にうれしかったのですが、到着前に「受験、頑張ってください」というメッセージカードと、風邪をひかないようにということで、のどあめをプレゼントしてくださいました。このことに感激し、私自身もこのような優しい心を持った人になりたいと思いました。また人の心を温かくできるお仕事は、なんて素晴らしいのだろうと思い、そういう心の温かい人が集まる会社で働きたいと思うようになりました。
Q5. 大学では何を学びましたか?
国際政治経済学部で、発展途上国などの経済発展などについて学んでいました。また、受験生のときから「客室乗務員になりたい」と思っていたので、大学では英語の勉強に力を入れていました。
Q6. 高校時代の経験が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?
高校ではテニス部に所属しており、団体戦で部活に所属しているみんなでチームワークを発揮して戦うという経験をしました。試合に出られる人数は決まっており、試合に出られないメンバーもたくさんいます。試合に出ているメンバーは自分だけつらい思いをしていると考えてはいけないということや、試合に出られないメンバーが裏でサポートをしてくれていることを認識するということを学びました。また、「試合で勝てないときはどうしたらいいか」をメンバー全員で話し合うこともありました。自分が試合に出ないときでも、ただ休むのではなく、試合に出ている人に対して何ができるかを考えることが大切だと学びました。
現在、国際線では機内食のサービスがありますが、お客さまにお食事を出している客室乗務員と、見えないギャレー(キッチン)でお食事を温めたり、盛り付けをしたりしている客室乗務員がいます。ギャレーで働いているときにも、どうしたらお客さまに喜んでいただけるかを考えながら盛り付けをし、どのように準備をしたら一緒に働いている仲間がサービスをしやすいかなどを考え、チームワークを発揮して働いています。
自分の好きなことを突き詰めて自信につなげる
Q7. どういう人が客室乗務員の仕事に向いていると思いますか?
元気があって、好奇心旺盛な方、お客さまに喜んでいただくために何ができるかを考えるのが好きな方が向いていると思います。実際に、日本航空の客室乗務員は、このような人が多いです。ワインが好きだからワインソムリエの資格をとってお客さまにワインとお食事のマリアージュを楽しんでいただきたいと考える人や、チーズに興味を持ち始めて、お客さまにおすすめできるようにチーズ検定を受ける人もいます。また、海外への興味が強く、現地の情報に精通している人や、体作りのためにヨガのインストラクターの資格を取ろうとしている人もいます。一緒に働いていて、とても刺激的です。
Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします。
大学であったり、専門学校であったり、いろいろな進路に進まれると思いますが、まずは自分の好きなことを突き詰めていただきたいと思います。何かを突き詰めると自分の自信につながるはずです。それが社会人になったときに、大きな財産になると思います。そして突き詰めた更に先に、また新たな何かが見えると思うので、頑張って好きなことをやってみてください。
高校時代の夢が叶い客室乗務員として働く瀬沼さん。快適な空の旅の裏側では、客室乗務員がチームワークを発揮して、お客さまに喜んでいただけるよう取り組んでいるそうです。一人では行えないことでも、チームメンバーと協力すれば成し遂げられることもあるはずです。学校生活でもぜひチームワークを大切にして、みんなで成し遂げる活動を行ってみてください。
【profile】日本航空株式会社 客室乗務員 瀬沼亜沙子
この記事のテーマ
「自動車・航空・船舶・鉄道・宇宙」を解説
陸・海・空の交通や物流に関わるスキルを学びます。自動車、飛行機、船舶、鉄道車両などの整備・保守や設計・開発、製造ラインや安全の管理、乗客サービスなど、身につけるべき知識や技術は職業によってさまざまで、特定の資格が求められる職業も多数あります。宇宙については、気象観測や通信を支える衛星に関わる仕事の技術などを学びます。
この記事で取り上げた
「客室乗務員(フライトアテンダント)」
はこんな仕事です
航空機の客室で、安全運航のための保安業務や搭乗客へのサービスを行う仕事。航空会社によって、「客室乗務員」「フライトアテンダント」「キャビンアテンダント(CA)」など、呼び方はさまざま。具体的には、搭乗客の案内、手荷物の収納確認、救命胴衣や酸素マスクの使い方の説明、機内アナウンス、食事や飲み物の提供、体調不良者への対応などを行う。搭乗客が機内で快適に過ごせるよう、常に気配りと笑顔が求められる。また、非常時には搭乗者の避難誘導にあたるなど、保安要員としての役割も大きい。
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