【シゴトを知ろう】テーマパークスタッフ ~番外編~
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お客さまの安全を守りながら、非日常を演出してくれるテーマパークのスタッフ。富士急ハイランドのアトラクション部門で働く原田真弥さんに伺ったお話から、知られざる業界の常識など、お仕事の舞台裏を「番外編」としてお送りします。
この記事をまとめると
- アトラクションごとに免許を取得することで、運転ができるようになる
- コースターが上るときのあの音には、安全を守る仕組みが隠されている
- 毎日新しい知識を取り入れ、緊急時に対応できる「平常心」を養っている
アトラクションの運転は、社内免許が必要
―― 業界内にはどんな性格の方が多いですか?
本当に個性豊かで、いろいろな性格を持った人がいます。どちらかというと、元気で自己主張をはっきりできる人が多いと思います。
一方で、穏やかな性格のスタッフもいます。例えばチケット売り場などでは、そうした優しくて丁寧なスタッフのほうが、お客さまのアンケートでも高評価を得ています。テーマパークには、物販や飲食などさまざまな職種があるので、それぞれの個性が生かせるはずです。
―― 業界内ではどんなキャリアパスがありますか?
当社の場合は、高校や大学を卒業してすぐに入社するか、私のように中途採用で入ってくるスタッフもいます。また、アルバイトとして勤務し、社員登用制度を使って正社員として採用されるパターンもあります。
私が担当しているアトラクション部門で言うと、新人スタッフはまず誘導や安全確認の基本を学び、独り立ちします。そこからアトラクションの運転を志す人は、はじめに難易度の低いアトラクションで社内免許を取得することになります。
教育担当と一緒に業務に入り、始業や終業時の点検方法、運行の仕方、非常事態への対応法などを習得。技術や整備、安全などを担当する各部署の管理職全員が見守る中で試験を行い、合格すれば晴れて運転を許されます。少しずつ運転できるアトラクションを増やし、キャリアを積んでいきます。
コースターが上っているときの音の正体は?
―― 業務をされてから、一番驚かれたことは何ですか?
初めてこの業界で働いたのは、大学生のときにアルバイトした都内のテーマパークです。そのときびっくりしたのは、普段乗っていたジェットコースターの「裏側」を目にしたことでした。
車両を守るため、ジェットコースターにも「車庫」があり、一日の営業を終えると車庫へと格納されます。また、「オーバーホール」という分解整備を定期的に行います。1両ずつクレーンで持ち上げて、大型トラックに載せて工場まで運ぶ様子は壮観でした。
―― 一般人が知らない業界の常識はありますか?
皆さんがジェットコースターに乗っているとき、「カンカンカンカン」という音を聞いたことはありませんか? 高いところへゆっくり上っているときに、レールのあたりから聞こえると思います。これは、レールと並行して敷設された「逆走防止レール」と、車両下部についている「逆走防止フック」が当たる音です。
万が一上り区間でコースターが動力を失い、逆走しそうになっても、フックが逆走防止レールに引っかかり、停止できる仕組みになっています。この「カンカン」という音は、その仕組みがきちんと機能している証拠です。
安全のため、毎日新しい知識を蓄える
―― 業務を行う上で、大切にしていることはなんですか?
毎日一つ、新しいことを覚えようという気持ちで業務をしています。アトラクションの運転に関して言うと、部品や機械について気になったことを整備担当者に聞いたりします。この部署で働く以上、アトラクションに関しては誰よりも詳しくありたいからです。
そのことは、安全を守るためにも重要です。私たちが一番力を発揮しなければいけないのは、故障や予期せぬ停電など、イレギュラーな事象への対応。知識や経験値があれば、焦らず「平常心」で対応することができます。
また、自分の笑顔を研究しています(笑)。鏡で表情を見て、自分がどれくらい笑顔になっているかを客観的に見るんです。疲れているときでも、お客さまが楽しくなる笑顔を見せられるように努力しています。
テーマパーク内にある数々のアトラクション。それぞれに「運転免許」があるとは意外でしたね。また、それらの故障や事故を防ぐためには、いろいろな安全対策がされていることもわかりました。ただ、やはり最後にアトラクションの安全を守るのは、スタッフたち。原田さんは、そのために日々さまざまな知識を蓄えているそうです。そんなプロ意識こそが、テーマパークでの特別な一日を支えているのですね。
【profile】株式会社富士急ハイランド 遊園地本部アトラクション 原田真弥
この記事のテーマ
「旅行・ホテル・ブライダル・観光」を解説
目指す業界の専門知識を学び、パソコンなどのスキルを身につけます。旅行・観光では資格取得や採用試験対策、ホテル・ブライダルでは、現地実習を通して実践力を養う研修が多く含まれます。共通して求められるのは、ゲストに非日常のサービスや空間を提供する接客技術やサービス精神。不規則な勤務に対応できる体力の養成も求められます。
この記事で取り上げた
「テーマパークスタッフ」
はこんな仕事です
アトラクションの誘導や食事・グッズの販売、清掃など、テーマパークを運営する上で必要となるさまざまな業務を担当する。笑顔と接客マナーは当然のこと、清潔で夢のある園内の空間をつくり、来場者に楽しんでもらえるように努めるのも仕事の一つだ。客と直接関わる業務以外にも、設備や装置の点検など「裏方」と呼ばれる仕事もある。裏方は表には出ないが、客の安全に関わる仕事が多く責任は大きい。いずれもテーマパークで働く以上、客が楽しめることを第一に心がけることが大切だ。
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