【シゴトを知ろう】空港業務スタッフ(グランドスタッフ) 編

安全かつ快適な空の旅を、地上でサポートするグランドスタッフ。今回は、JALスカイで羽田空港国際線のグランドスタッフとして日々お客さまに接している小峯里佳子さんに、グランドスタッフのお仕事内容や魅力について伺いました。
この記事をまとめると
- 短い接客時間の中で、お客さまの記憶に残るサービスを目指している
- たくさんのすてきな方々と出会えるところが、この仕事の醍醐味
- チームワークを発揮して協力して仕事することで飛行機が安全に飛べる
短時間で「お客さまの記憶に残るサービス」を目指して
Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えてください。
グランドスタッフは空港における接客業務全般を担っており、その業務内容は多岐にわたります。搭乗手続きを行う「チェックイン業務」、搭乗アナウンス・機内への誘導を行う「ゲート業務」、荷物のご返却に加えて荷物の破損・未着などの緊急時対応を行う「バゲージの返却業務」、ラウンジの受付やご案内をする「ラウンジ業務」、VIPの顧客様に1対1で対応する「VIP業務」が主な業務です。「ゲート業務」は、事前に客室責任者やコックピットと、お客さまを何時からどのように誘導するかを相談し、グランドスタッフ約5名で1つの便を対応します。なお、勤務形態は、早番2日と遅番2日の4日間で構成されるシフト制となっています。
<一日のスケジュール> ※早番の場合
05:30 出勤。チェックイン業務、ラウンジ業務、VIP業務など
11:30 休憩
12:30 ゲート業務、バゲージ返却業務など
14:30 退勤
Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?
目の前のお客さまに何ができるかを考え、それを実行できたときに大きなやりがいを感じます。グランドスタッフはお客さまと接する時間が短いため、短時間でいかにお客さまの記憶に残るサービスをご提供できるかが大切と考えています。お客さまのご要望はそれぞれ異なるので、常にお気持ちをくみ取った上で対応することを心掛けています。
今まで多くのお客さまと接してきましたが、特に印象に残っているのは、お誕生日のご旅行でJALをご利用いただいたご夫婦です。チェックインの際にお誕生日であることを伺い、ラウンジでプチギフトをお渡ししたところ大変喜んでくださいました。そのときの笑顔は、忘れられません。
また、ベトナムから来られたご婦人のことも心に残っています。英語が通じず、翻訳サイトを使いながらの対応でしたが、会話が盛り上がり「ベトナムに来るときは私の家に来てね」と連絡先をくださったのです。たくさんのすてきな方々と出会えるところが、この仕事の楽しさであり醍醐味だと感じています。
Q3. 仕事で大変なこと・つらいと感じることはありますか?
一人一人のお客さまに寄り添った接客をすることの難しさ、大変さは日々感じています。お客さまと自分の認識にズレが生じている場合やご要望をくみ取れなかった場合は厳しいご意見をいただくこともあります。英語圏以外の国からいらしたお客さまには、せっかくご質問いただいたにもかかわらず、言語の問題で回答がうまくできない場合もあります。
また、空港内の施設やシステムは日々変化しているので、お客さまに誤ったご案内をしてしまわないように、常に最新の情報を把握し、正確にお伝えするようにしています。
幼い頃から飛行機関係の仕事に就きたかった
Q4. どのようなきっかけ・経緯でその仕事に就きましたか?
叔父が航空管制官の仕事をしていて、小さな頃から飛行機は身近な存在でした。小学生のときに管制塔の中へ入らせてもらい、そのときに「将来は絶対に飛行機関係の仕事に就きたい!」と思ったことがきっかけです。
飛行機やその周りで働く人達について調べていくうちに、グランドスタッフの仕事を知りました。元々人と話すことや人を喜ばせることが好きだったので、将来はグランドスタッフになりたいと思うようになりました。
Q5. 大学では何を学びましたか?
グランドスタッフを目指して英語や異文化を学べる大学を選び、英語と観光学を中心に勉強しました。その大学は学生の半数が外国人留学生で、授業もほぼ英語を使ったものでした。異文化を肌で感じられる、とても良い環境で4年間を過ごしました。
また、独学で接客についても学び、サービス接遇検定の資格も取得しました。アルバイトをした際「もっと接客力を高めなければ」と痛感したからです。そのときに身に着けた接客スキルは、現在も大いに役立っています。
Q6. 高校生のときの経験が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?
高校時代にJALの安全啓発センターへ見学に行ったのですが、そこで安全運航の大切さを学び、深く心に刻み込まれました。この経験のおかげで私は「全ての業務は安全運航に直結している」という考えを持てるようになりました。
異文化理解・尊重の姿勢が、心からのおもてなしにつながる
Q7. どういう人がこの仕事に向いていると思いますか?
まずは、時間管理ができる人です。この仕事には、定時性への意識が不可欠です。常に飛行機の出発時刻から逆算して、今やるべきことを考える必要があります。あわせて、イレギュラーな出来事が起きても、事態を冷静に見極めながら臨機応変に対応する力も必要です。また、挑戦を続けられる人も向いています。接客は経験を積むことも大切で、たとえ失敗したとしても、その失敗を次に生かすチャレンジ精神が欠かせません。
さらに、チームワークも大切です。さまざまな職種のスタッフが協力し合うことで、飛行機が安全に飛べるのです。チームで一つの目標に向かい全力で頑張れる人は、この仕事で活躍できると思います。
Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします。
空港は、飛行機を降りた海外のお客さまが初めて日本を感じる場所です。空港業務スタッフの接客から日本の良さを感じていただくこともできるはずです。グランドスタッフを目指す人は、語学はもちろん異文化についても学んでみてください。異文化に対する理解・尊重の姿勢を持つことが、心からのおもてなしにつながります。
また、「航空業界に興味はあるけれど、まだ何をしたいか分からない」という人は、まず航空業界にどんな職種・航空会社があるのかを調べてみてください。そのうえで、自分はどのように働きたいのかをイメージすると、目標や今自分がすべきことが自然と見えてくるはずです。
ちなみに私は高校生の頃、実際に空港へ足を運び、職員さんの話を聞いたり動きを観察したりすることで、よりリアルに将来のイメージをすることができました。ぜひ、みなさんも空港へ遊びに来てください。いつでもお待ちしています!
幼い頃から、空港の「空の日イベント」には欠かさず参加されていたという小峯さん。「飛行機関係の仕事に就きたい」という強い気持ちを持ち、今自分ができることに取り組み続けた結果、見事夢を叶えることができました。みなさんも夢を叶えるために、積極的に行動を積み重ねてみてはいかがでしょうか。
【profile】株式会社JALスカイ 小峯里佳子
この記事のテーマ
「自動車・航空・船舶・鉄道・宇宙」を解説
陸・海・空の交通や物流に関わるスキルを学びます。自動車、飛行機、船舶、鉄道車両などの整備・保守や設計・開発、製造ラインや安全の管理、乗客サービスなど、身につけるべき知識や技術は職業によってさまざまで、特定の資格が求められる職業も多数あります。宇宙については、気象観測や通信を支える衛星に関わる仕事の技術などを学びます。
この記事で取り上げた
「空港業務スタッフ(グランドスタッフ)」
はこんな仕事です
空港内で、搭乗客の案内やサービスにあたる仕事。具体的には、搭乗手続きや発券業務、搭乗客の誘導や、勤務先の会社や空港によっては空港ラウンジでの接客、空港内のアナウンスや案内業務なども行う。スムーズで正確な接客・応対は、利用者に快適な旅を提供するためのサービスであると同時に、航空機を定時運航するためにも欠かせない機能の一つ。空港内のさまざまな施設やサービスについても熟知する必要があり、覚えるべきことは数多い。搭乗客を最初に迎える航空会社の「顔」として、重要な役割を担っている。
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