【シゴトを知ろう】テレビプロデューサー 〜番外編〜
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次々と人気番組を作り出すAbemaTV。そのなかで次世代を担う女性プロデューサーとして活躍する高木佐代子さんは、日々どんな風にトレンドチェックをしているのでしょうか。恋愛リアリティーショー『今日、好きになりました。』(以下、『今日好き』)の担当プロデューサーしか語れない裏話もたっぷりお聞きしました。
この記事をまとめると
- Twitterがトレンドチェックと企画立案の要
- 『今日好き』オーディションの基準は「自分をさらけ出せるか」
- 『今日好き』は台本のない本気のリアリティーショー。だからこそドラマティック
高校生たちが恋に落ちていく様を目の当たりに
―― 番組プロデューサーは流行を作る仕事でもありますが、ご自身では流行をキャッチするためにどんな工夫をしていますか?
大きく2つのことをしていて、1つは、原宿の竹下通りを歩くこと。みんなが持っているものや人気のあるお店を毎日見るだけで、若い子たちのトレンドが分かるんです。
もう1つは、TwitterなどのSNSをチェックすること。フォローしている人たちを通して、自分の興味のない分野も含め鮮度の高い情報がどんどん入ってきて、世間の興味関心や求めているものをいち早くキャッチでき、面白い伝え方を考える大事なツールになっています。仕事中も頻繁にTwitterやInstagramを見ています。
―― 番組を作っていて感じる醍醐味は?
高校生たちのピュアで一途な姿を目の当たりにして、感動することばかりです。ロケは2泊3日で行われますが、そんな短期間で恋をするって普通はあり得ないと思いますよね。『今日好き』メンバーたちも初日は「私(僕)は絶対に好きにならない」って言うんです。それが半日で大好きになるんです(笑)。最後にはほぼ全員が「こんなに好きになるとは思わなかった」と口をそろえて言います。
その恋に落ちていく様子や、まっすぐ純粋に相手を思う姿を現場で見ているだけで心打たれます。叶わない恋をしている子もいれば、好きな人に思いが届く子もいて……告白タイムには思いがあふれて泣いてしまう子が多いんですが、その涙がきれいで私も現場でこっそり泣いてしまいます(笑)。そんな姿を画面越しに見てくれている人たちが、自分も恋をしたいなという思いを生み、そんな素敵な感情や心を動かせているところが番組を作る醍醐味だと思います。
視聴者の共感を得るのは「自分をさらけ出せる子」
―― リアリティーショーに対して「どこまで本当なんだろう?」と思う人もいるようですが。
「台本はないんですか?」とよく聞かれますが、本当にありません。決まっているのは集合時間と集合場所、何時にどの場所に行ってどこに泊まるかだけ。視聴者の方が「ありえない」と感じるくらいドラマティックなのは、参加している高校生が本気で恋愛をしている中に偶然が重なって生まれているストーリーなんです。
―― 出演者のオーディションも担当されているそうですが、どんな子がこの番組に向いていますか?
『今日好き』は、等身大で友達の恋を覗き見しているような世界観を大切にしています。いかに視聴者が共感してこの世界にのめりこめるかを一番大事に考えているので、カメラを意識せずに自分の心の中をさらけ出してくれる子がいいですね。カッコつけず、自分の感情を正直に出してくれる子ほど、視聴者も友達の恋バナを聞いているような気持ちになるのかもしれません。
『今日好き』が他の恋愛リアリティーショーと違うのは、参加している高校生個人のインタビューをたくさん撮るところ。それにより、その子の考えていることや置かれている状況がよく分かり、ますます友達の恋愛を横から見ているような気持ちになるんです。
参加している高校生もスタッフも固い信頼関係で結ばれている
―― 撮影現場はどんな雰囲気なのでしょうか?
カメラが回っていないところで物語が進んでしまうと視聴者がおいてけぼりになってしまうので、移動や待機の時間は男女を完全に分けて、恋バナも控えるようにお願いしています。
その時間はそれぞれ写真や動画を撮ったり、学校の話をしたりしていますね。ずっと一緒にいるのでかなり仲良くなるようで、『今日好き』の参加をきっかけによく遊んでいる子たちもいます。
高校生にとっては、知らない土地に行き、朝から晩まで一日中撮影されるという非日常で時に過酷な状況ですから、一緒に乗り越えた戦友のような気持ちなのかなと思います。
―― そのまま付き合うカップルも多いのでしょうか?
『今日好き』内で両思いになって、その後も長く付き合うカップルもいるし、別れてしまう子たちもいます。メンバーは日本全国から集まって来ているので、遠距離恋愛になることが多いんです。高校生にとってはもちろんのこと、高校生カップルでなくても長期間会えない状況はちょっとつらいですよね。
「別れることをSNSに報告したいけどいいですか?」という相談を受けることもあります。番組スタッフとしては、2人で話し合って決めたことなら応援するというスタンスです。
『今日好き』のいいところは、参加した高校生同士も仲がいいし、スタッフとの信頼関係がきちんと築けているところ。番組参加後も私をはじめスタッフに悩みを相談してくる子もいるくらいです(笑)。だからこそ大きなトラブルがなく番組を制作できているのかなと思います。
―― 「次はコレが来る!」と思うトレンドを教えてください。
言い切って外れたときのリスク回避を一旦ここでしておきますが(笑)、今の流れとして興味があるのは「メンズメイク」です。『今日好き』に参加している男子高校生にも結構メイクをしている子がいて、スキンケアはもちろん、身だしなみとしてベースメイクやコンシーラー、アイブロウ、アイラインを引いているのが普通になりつつあります。これから日本でどんな広がりをしていくか興味があって、Twitterでもかなりチェックしています。男の子の美意識もどんどん変化しているので、いずれメンズメイクに絡んだ企画もやってみたいですね。
今のトレンドを知るために、日々努力を欠かさないという高木さん。プロデューサーという肩書きながら、『今日好き』メンバーからは「お姉さん」として頼りにされているようで、多くの高校生が夢中になる番組を作り続けられるのも納得のお人柄でした。
【profile】株式会社AbemaTV 制作局 高木佐代子
▼AbemaTV
https://abema.tv/
▼『今日、好きになりました。- グアム編』
https://abema.tv/video/title/90-1324
この記事のテーマ
「マスコミ・芸能・アニメ・声優・漫画」を解説
新しい感性やアイデアを常に発揮して、人を感動させたり驚かせたりする仕事です。番組や作品の企画や脚本づくり、照明や音響などの技術スタッフ、宣伝企画など、職種は多岐にわたります。声優やタレントをめざすには、在学しながら自分を磨きオーディションを受けるなど、仕事のチャンスを得る努力が大切です。
この記事で取り上げた
「テレビプロデューサー」
はこんな仕事です
自分が担当するテレビ番組の総責任者として、番組制作を管理。仕事の範囲は広く、企画立案や制作スタッフの決定、出演者の交渉、予算の管理、スポンサーへの営業など、番組作りだけでなく側面支援的な仕事も担当する。大部分のテレビ番組は、テレビ局と番組制作会社が協同で制作しており、プロデューサーも双方に存在している。いずれの立場であっても、番組制作の現場で下積みから経験を重ねながら、徐々に成長して大きな役割を任されるようになるケースがほとんど。番組制作の全般を取り仕切れる充実感が得られる。
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