【シゴトを知ろう】企画業務 ~番外編~

株式会社エイチ・アイ・エスで台湾行きのパッケージツアーを企画する、ツアープランナーの高橋里帆さん。旅行業界で一緒に働く同僚の素顔や、忘れられない仕事のエピソードなど、伺ったお話を番外編としてご紹介します。
この記事をまとめると
- さまざまな切り口で、お客様に楽しんでいただけるツアーを考える
- 昔から新しいアイデアを出すのが好きで、その経験が今に生きている
- 政治情勢や天候に左右されるため、ニュースと天気予報チェックは必須
穴場のホテルをパッケージングしたツアーが、大反響を巻き起こす
―― これまでに手がけたパッケージツアーの中で、特に印象に残っているものはありますか?
私は現在の担当である台湾の前は、グアム・サイパン・パラオなどのビーチリゾート担当として企画業務を行っていました。サイパンは日本からの直行便がなかった年に2回ほどのチャーター便を利用したツアーを組んでいたのですが、そのツアー用に現地支店から推薦されたホテルが大好評だったことが印象的です。
そのホテルは名前も聞いたことがなく、現地支店から「すてきなホテル」と聞いても半信半疑でしたが、詳しく調べてみると、サイパンのホテルには珍しくホテル代の中に料理やドリンクの料金も含まれたプランとなっており、プールやウォータースライダーなどの設備も文句なしに素晴らしいホテルだったのです。これまでは韓国からのお客様がほとんどで、日本ではあまり知られていない穴場のホテルでした。
さっそくチャーター便と組み合わせて販売したところ、今までに経験のないくらいの大きな反響をいただきました。ホテル側にも現地支店にもとても喜んでもらうことができ、大きな手ごたえを感じました。
―― パッケージツアーを企画する際、高橋さんならではのこだわりはありますか?
同じ旅先でも、年齢層や目的などに合わせて違った切り口からツアーを組み立てるようにしています。たとえば、台湾を訪れる大学生などの若い方向けには、タピオカドリンクを前面に押し出したツアーをご用意しています。流行中のタピオカドリンクは日本で飲むと少し高いですが、台湾なら半額以下で飲めることを強調し、ドリンクのオプションを付けてみたり、オリジナルのタピオカ店マップをプレゼントしてみたりして、工夫しました。さまざまなお客様に楽しんでいただけるよう、旅先のいろいろな魅力を発掘し、それぞれのお客様に興味を持っていただけるようにパンフレットやチラシなどに整理して記載するようにしています。
何百とある台湾のホテルコードを全て暗記して、初めて一人前
―― 今の仕事に就いてから、意識して勉強していることはありますか?
台湾のツアープランナーは、他のエリアよりも覚えることが格段に多いと感じます。LCCを含め10社以上の航空会社が日本から直行便を出しており、宿泊施設も台北市を中心に何百という数のホテルが存在しています。フライトとホテルの組み合わせは無数にあるため、いまだに混乱してしまうこともあります。そんなときは先輩方の助けを借りながら、間違えないように組み合わせを行います。
またツアー作成時に用いるホテルコードを暗記するのも、大事な仕事の一つです。ホテル名を見ただけで、パッとコードが思い浮かぶようにならないと一人前とは言えませんね。
―― 学生の頃から何かを企画することが好きだったのですか?
昔から何かを考え、自分のアイデアを生かせる場は好きでした。通っていた学校の体育祭では応援団が花形で、応援合戦で創作ダンスを踊ったり、おそろいで衣装を作ったり、ものすごく熱が入っていました。私も副リーダーを務め、団員を引っ張ってまとめ上げた経験があり、いい経験になりました。
また、入社1年目は企画業務ではなく、パッケージツアーを自動生成するシステム関連の部署に所属していました。そのシステムは、フライトとホテルの情報を入力すれば、コンピューターが自動的に組み合わせてツアーを作ってくれるというものです。自動生成されたツアーに私がキャッチコピーを加えて、実際に販売することもありました。ツアーの特徴を見て「こんなキャッチコピーなら興味を持ってもらえそう」とあれこれ考えるのは楽しく、現在の企画部署に異動になった際も、この当時の経験がずいぶん役に立ちました。
ツアープランナーとしてさらに経験を積み、いずれは海外で活躍したい
―― この仕事をして驚いたことはありますか?
政治情勢や天候など、外的な要因から多大な影響を受ける仕事だということです。その影響力の強さにはいつも驚かされます。台風シーズンにはフライト情報がとても気になり、天気予報と国際ニュースのチェックは毎日欠かせません。
―― 一緒に働いている同僚には、どんな方が多いですか?
まず大前提として、旅行が好きな方ばかりです。入れ代わり立ち代わり誰かが旅行に行っているので、1週間に2回以上のペースで外国のお菓子がお土産として配られ、デスクの中はお菓子だらけです(笑)。
また、良い条件のツアーを作りたいという情熱にあふれている方が多く、声も、発言も力強いですね。みんな、自己主張が強いのですが、言いたいことをフラットに言い合える環境は、私にとっては心地よいものです。ツアープランナーは細かい数字と向き合う仕事も多いため、数字に強い人が多いのも一つの特徴として挙げられます。
―― 5年後、10年後の未来の目標を教えてください。
この会社に入るきっかけとなった海外勤務の夢はもちろん諦めておらず、希望の勤務地からの募集があれば、できれば20代のうちに手を挙げたいと思っています。弊社は海外勤務について公募制を採用しており、試験を受けてパスすれば誰でも希望の海外支店で働くことができます。しかし、今現在はツアープランナーとしても半人前で、まだまだ勉強中の身。もっと経験を積んで独り立ちできるようになってから、自信を持って海外へはばたきたいですね。
学生時代からアイデアを出すことが好きで、行事などにも積極的に取り組んできたと語る高橋さん。新しいことを考えるのが得意な方、自分らしい発想で表現するのが好きな方は、旅行会社のツアープランナーとして企画力を発揮してみてはいかがでしょうか。アイデア次第でいくらでも自由に仕事を生み出すことができ、やりがいを感じられそうです。
【profile】株式会社エイチ・アイ・エス 関東海外旅行事業部 アジア旅行事業グループ 企画チーム 高橋里帆
この記事のテーマ
「ビジネス・経営」を解説
国内外を問わず、幅広いビジネスの現場で企業に利益をもたらす仕事です。それぞれの業界に精通した営業職はもちろん、経営コンサルタントや税理士といった経営をサポートする専門職もあります。後者の仕事をめざすには、法律などの専門知識や文書作成などの技能を磨く他、資格取得や検定合格が必要な場合もあります。
この記事で取り上げた
「企画業務」
はこんな仕事です
企画業務は、商品企画や販売企画・営業企画・イベント企画など、所属する会社によって異なり、多岐にわたる仕事だ。市場の動向を把握したり、最新のトレンドを勉強したり、営業データなどを見たりしながら、さまざまな情報を吸収して企画のアイデアを出す。何度も熟考を重ねながら、企画書にまとめて社内の企画会議やクライアントへの提案会議などでプレゼンテーションを行う。採用された企画を実際にカタチにするために、各部署と連携を取りながら業務を進行していく。
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