【シゴトを知ろう】薬剤師 編
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薬は、何かとお世話になる機会が多いもの。高校生の皆さんも体調を崩してしまったとき、病院で診察を受けた後に薬局で受け取ったり、ドラッグストアで購入したりするかと思います。ただ薬は役に立つ一方で、飲み方を間違えてしまうと命に関わる事態になり得る、危険な存在でもあります。
その薬の専門知識を持ち、私たちが安全に飲めるように適切に処方してくれるのが薬剤師の方々。今回は日本調剤株式会社で薬剤師として働かれている島田采也加さんに、仕事の内容ややりがいについてお伺いしてきました。
この記事をまとめると
- 処方箋を元に薬を用意し、患者様に薬の使用方法や注意事項などを説明している
- 新薬が次々と世に出るため、日々の勉強が大切
- 薬剤師に向いているのは、患者様と真摯に向き合える人
患者様の「ありがとう」の言葉が日々のやりがい
Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えてください。
私は普段薬局に勤務しながら、患者様が病院で受け取った処方箋を元に調剤を行い、患者様に安全に薬を使っていただけるように、薬の使用方法や注意事項などを説明(服薬指導)する仕事をしています。また、電話で薬に関するご質問への対応なども行なっています。
<一日のスケジュール>
8:50 出勤、開店準備
9:00 開店
午前 服薬指導、薬歴の記載、お薬の検品
12:00 お昼休憩
午後 調剤、鑑査、お薬の発注
18:00 後片付け、退勤
Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?
患者様からいただく「ありがとう」の言葉です。
小児科の前にある薬局に勤務しているため、初めて薬を飲む赤ちゃんへの薬の使用方法をお母様たちに説明する機会が多いのですが、納得・安心して使用してもらえるように、いただいた質問は一つひとつ丁寧に回答するように心がけています。後日、「上手にお薬を使用することができました」とほっとした表情で伝えてくださる方もいらっしゃって、私もとても安心します。
最近では、患者様の自宅にお伺いして、薬の説明を行う在宅医療の仕事も任せてもらえるようになりました。より患者様の生活に寄り添えるため、医療人としての責任も大きいですが、同時にやりがいも感じています。
また、自分の家族の具合が悪くなったときに薬の飲み方をアドバイスできるため、自分の仕事で培った知識で、家族の健康を支えることができるのも薬剤師ならではの魅力だと思います。
Q3. 仕事で大変なこと・つらいと感じることはありますか?
患者様に分かりやすい言葉で説明しなければならないことに、ときどき難しさを感じます。服薬指導の後、「あの言い方で伝わったかな?」「もっといい伝え方があったのではないか?」など自問自答することも……。少しでも患者様の目線に立った服薬指導ができるように、薬剤師の先輩方からアドバイスをもらっています。
また、新しい薬がどんどん出るので、日々薬の勉強をして新しい知識を取り入れるのも大切な仕事の一つです。大変ではありますが、勉強した分、自分の成長にもつながりますし、何より患者様に安心して薬を使用していただけるので、自分が理想とする薬剤師像に近づくため日々精進しています。
大好きな曾祖父母の手助けをしたいという思いがあった
Q4. どのようなきっかけ・経緯でその仕事に就きましたか?
昔から理数系科目が得意だったので、高校2年生になる頃には理系の大学に進学したいと考えていました。
受験する学科を選ぶため、いくつかオープンキャンパスに参加しましたが、そこで偶然、植物から薬になるものがあるということを知りました。植物が好きだったことと、もともと興味のあった薬についてさらに関心を持ったことを覚えています。
薬剤師は資格を生かして出産・育児を経ても長く働くことができますし、人の助けになるとても素晴らしい職業だと感じていたので、将来のことも考えて薬剤師を目指しました。
Q5. 大学では何を学びましたか?
大学の薬学部で、1~2年生で基礎知識である生物や化学、3~4年生で薬の作用や病気の症状・薬物治療などを学びました。そして5年生で実際に薬局と病院に研修に行って薬剤師の仕事を学び、6年生からは国家試験に向けて勉強していました。
研修を通して、将来自分がどのような働き方をしたいかを具体的に考えられるようになったので、いい経験だったと思います。私は患者様の生活に近い身近な存在として寄り添っていけるような仕事がしたかったので、そういった働き方をしていけそうな薬局への就職を決めました。
Q6. 高校生のとき抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?
高校時代は、具体的になりたい職業はありませんでした。ただ、幼い頃から大好きだった曾祖父母が年齢を重ねるにつれ健康に不安を抱えるようになった姿を見て、何か手助けができないかとは思っていました。
その頃から漠然と、人の役に立つ仕事がしたいと思いはじめ、医療の道が自分には合っていると考えるようになった気がします。
生物・化学の知識と「人に寄り添いたい」気持ちが大切な仕事
Q7. どういう人がその仕事に向いていると思いますか?
人の役に立ちたい、体が弱い人の力になりたいという気持ちが強い人は薬剤師に向いていると思います。また、人と話すのが好きな方も向いているのではないかと。
責任の大きい仕事なので、患者様と真摯に向き合える人が薬剤師になるべきだと考えています。
Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします。
薬剤師になりたい人は、生物や化学(有機化学)をしっかり勉強しましょう! 当たり前ですが、大学では高校時代に学んだものが勉強の土台となるので、今のうちから基礎知識を固めておくことが大切です。
最近では海外からの患者様も増えてきているので、英語の勉強もしておくときっと役に立ちますよ。
薬剤師は薬に関する専門知識を多く持つだけではなく、コミュニケーション能力も大切になってくるのですね。
島田さんのお話にもありましたが、薬剤師は患者だけでなく家族や身近な人の普段の生活を支えることができる仕事です。日々新しい薬の知識を取り入れなくてはならないことは大変だと思いますが、「人のために役立てるのであれば、その大変さが苦にならない」という人にはぴったりの職業といえそうです。
【profile】日本調剤株式会社 島田采也加
この記事のテーマ
「医療・歯科・看護・リハビリ」を解説
医師とともにチーム医療の一員として、高度な知識と技術をもって患者に医療技術を施すスペシャリストを育成します。医療の高度化に伴い、呼吸器、透析装置、放射線治療などの医療・検査機器の技師が現場で不可欠になってきました。専門的な技術や資格を要する職業のため、授業では基礎知識から医療現場での実践能力にいたるまで、段階的に学びます。
この記事で取り上げた
「薬剤師」
はこんな仕事です
薬剤師は、薬の専門家として病院や薬局で薬を調剤する仕事。医師の書いた処方箋(せん)から患者に適切な薬を提供する役目を担い、その安全性に対する責任は大きい。そのため、薬の正しい飲み方や副作用など、患者の薬の服用に関するさまざまな情報に目を配り、医師との連携により安心・安全な薬の提供を行う責務がある。勤務先は、薬局や病院の他、ドラッグストアで働くこともできる。地域の身近な医療相談役として、薬を求めて訪れる人々に、その効果や飲み方をアドバイスする。
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