【シゴトを知ろう】歯科技工士 ~番外編~

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【シゴトを知ろう】歯科技工士 ~番外編~

2020.01.07

提供:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】歯科技工士 ~番外編~

「【シゴトを知ろう】歯科技工士 編」では、歯科技工所「QLデンタルメーカー株式会社」で、若くして代表取締役社長を務める石原孝樹さんに、仕事の内容ややりがいについて伺いました。

「業界全体で見て、仕事はどれくらい忙しいものなの?」など、本編を読んだだけでは解決しなかった疑問もあるかと思います。今回は番外編として、歯科技工士の仕事の裏側をインタビューしました。

この記事をまとめると

  • 歯科技工士は、意外に海外でも活躍できる場が多い職業
  • 保険が適用されるか否かで、大変な思いをしている歯科技工士が多い
  • 自分のエゴを通さず、患者の希望を第一に考える必要がある

歯科技工の世界にはたくさんのビジネスチャンスが転がっている!?

―― 休日はどんなことをして過ごしていますか?
 
子どもと遊んだり、ビジネス書を読んだりして過ごしています。よっぽどのことがない限り、基本的に休日はしっかり休みを取れています。 


―― 業界内ではどんな性格の人が多いですか? また、ご自身の性格についても教えてください。

働き始めてから感じたことですが、人前で話すのが苦手な人が多いイメージがあります。自分は真逆で、コミュニケーションを取ることが好きなので、取引先には積極的に訪問しますし、講演の依頼も多く引き受けています。
 
実は、日本の有名な歯科技工士の中には、けっこう海外で講演をされている方が多いですよ。メイドインジャパンはまだ多少の付加価値が認められていることもあって、海外に技術を教えに行っているんです。歯科技工の世界で成功したい人は、外国語も勉強しておくといいかもしれませんね。


―― 仕事を始めてから驚かれたことは何かありますか?

歯科技工には保険が効く“保険技工”と、全て患者さんが自費で負担する“自費技工”があるのですが、その金額の差に驚きました。保険技工の商品は“銀歯”などが挙げられますが、自費技工の商品は銀歯の10倍以上の値段になるんです。

それだけ単価に差があるので、保険技工の商品ばかり作っている歯科技工士は、1日に10個も20個も商品を作らないとノルマが達成できないなど、なかなか大変な思いをされている人も多いです。夜遅くまで残業をしないといけなくなってしまい、結果、体調を崩して辞めてしまう……という人も少なくありません。深夜残業が当たり前になっている、昔ながらの体質の会社もまだまだ多いです。

弊社は自費技工のものしか扱っていないので、社員たちは集中して1日1〜2個の商品を仕上げていますが、将来有望な若手の歯科技工士たちを潰さないように、その辺りは業界全体で対策を取らなければいけないのではないかと感じています。

一方で、旧態依然とした業界だからこそ、ビジネスチャンス的にはまだまだ伸び代があると感じていますので、アイデアのある人が活躍しやすい業界だと思います!

―― お仕事をするとき、心がけていることはありますか?

歯科技工士は職人なので、ベテランになるほど、自分の作りたい形・こだわりが出てきます。確かに、経験に裏付けされた良さというものはあるはずですが、「よかれと思って」はその人のエゴに過ぎない場合もあります。

なによりも大切にすべきなのは患者さんの要望。患者さんが何を望んでいるのはしっかり理解して、「期待していたのと違う」と作り直しを要求されないような商品を作らなくてはいけません。

歯科技工士の“見える化”がモチベーションアップにつながった

―― 会社独自の取り組みは何かありますか?

歯科技工所の場合、歯科技工士と患者さんとの間にはクリニックが挟まる形になるので、直接患者さんと顔を合わせる機会が少ない、またはほとんどない場合も多いです。患者さんの反応が見えないことで、歯科技工士のモチベーションを下げてしまう場合もあります。

そこで、弊社独自の試みとして、歯科技工士のプロフィールを書いたカードを商品と一緒にクリニックに送り、歯科医師を通して患者さんに渡してもらう、ということをしています。よく、スーパーなどで売っている野菜に「私が育てました」という顔写真入りのメッセージがついているものがありますが、あんな感じです(笑)。

そのカードの裏面は、歯科技工士が患者さんに宛てたメッセージ欄になっています。その取り組みのおかげで、患者さんから会社のほうに、直接お礼の手紙や贈り物が届くようになりました。そういったものが届くのはやはり非常にうれしいもので、社員の励みになっています。


―― 石原さんの会社は、金属を使わずセラミックの商品に特化させていますが、その理由を教えてください。

同業者に、自分の歯の治療には何を使っているのか聞くと、みんな「セラミック」と答えます。金属と答える人は滅多にいません。それはクオリティーの面でセラミックが優れているからなのですが、一般の患者さんは金属を選択される場合が多いです。理由は一つで、セラミックが高価だから。

それはやはりいい状況とは言えないので、「高級すぎて手が出せない」から「ちょっと頑張れば手が届く」くらいにまで費用を落とせないかと考えまして。扱う商品をセラミックに限定して、材料を大量に発注することで仕入れ値を落とすなど工夫をして、他の歯科技工所に比べて安価にセラミック商品を提供できる体制を整えました。

全ては、どうすれば会社も患者も幸せになれるのか考えた結果です。

社員一人ひとりが目標に向けて努力できる組織づくりを進めたい

―― 今後チャレンジしてみたいこと・目標はありますか?

今は脇目を振らずに1事業に専念し、社員の満足度を高めていきたいです。

満足度といっても、ただ終身雇用をしますよというだけではありません。例えば、歯科技工士は職人的な面が強いので、いずれ独立して個人でやっていきたいと考えている人が多いです。しかし、ゼロから起業するのは非常に大変なことです。そこで、まずは弊社の子会社になって段階を踏んで独立を目指してもらうなど、できる範囲で手助けをしていきたいなと。

実は2年後に大阪のほうに支社を作る計画が進んでいるのですが、それも社員の一人が「自分の会社を持ちたい」と言ってきたからです。社員それぞれが自分の目標を決めて、その目標までの道のりで挫折しないように支援できる会社にすることが目標です。

―― 最後に、お仕事の中で、一番の思い出や達成感を感じたエピソードについて教えてください。

自分が作った1本の前歯をセットした患者さんが、泣いて握手してきたことです。

その前歯が完成したのは、納品予定の前日の深夜でした。普通は宅配便で送るのですが、そのときはタイムリミットギリギリ過ぎて、自分の足でクリニックに届けるしかなかった。実際に患者さんの口にその前歯がセットされるタイミングに居合わせたのですが、大変喜んでくださって。転んで折れてしまった前歯がずっとコンプレックスだったそうなんです。

当時は新卒で入った会社に勤めていましたが、激務のためにこの出来事のすぐ後に体調を崩してしまいまして、結局その会社は辞めることになりました。

体調が回復し、仕事に復帰しようと思ったとき、この患者さんのことが頭に浮かびました。実は、そのときに作った前歯がセラミック製だったんです。セラミックの商品によってすばらしい体験ができたので、自分の会社はセラミックを専門に扱いたいと考えました。


「QLデンタルメーカー」で働かれている社員の皆さんは、毎日非常にのびのびと仕事をこなされているそうです。しかし石原さんは、現状では満足せず、さらに社員の満足度を上げていこうとさまざまな支援を計画しているということで、インタビューではそのポジティブなエネルギーに圧倒されてしまいました。

石原さんのようなリーダーシップを発揮していける人は、ぜひ歯科技工士を目指して、業界に革命を起こしてみてはいかがでしょう。


【profile】QLデンタルメーカー株式会社 代表取締役社長 石原孝樹
https://www.qldm.co.jp/

この記事のテーマ
医療・歯科・看護・リハビリ」を解説

医師とともにチーム医療の一員として、高度な知識と技術をもって患者に医療技術を施すスペシャリストを育成します。医療の高度化に伴い、呼吸器、透析装置、放射線治療などの医療・検査機器の技師が現場で不可欠になってきました。専門的な技術や資格を要する職業のため、授業では基礎知識から医療現場での実践能力にいたるまで、段階的に学びます。

「医療・歯科・看護・リハビリ」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「歯科技工士」
はこんな仕事です

歯科技工士とは、歯科医師の指示書や患者の歯型をもとに義歯などをつくる仕事。それらの加工や修理などメンテナンス作業も担当する。入れ歯や差し歯は、人の身体の一部となる大切な器官。歯型だけでなくかみ癖までも考慮し、患者一人ひとりに合わせた正確な義歯をつくるための精巧な技術が求められる。主な活躍の場は、歯科医院や大学病院をはじめ、歯科材料メーカーや歯科研究所などに及ぶ。歯科医師との連携により仕事を進めるが、キャリアを積むことで独立も可能である。

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