【シゴトを知ろう】都道府県職員 ~番外編~

「【シゴトを知ろう】都道府県職員 編」では、埼玉県庁で総合土木職の職員として活躍している山田隼矢さんに、仕事の内容ややりがいについて伺いました。
今回は番外編として、「実際に働いてみて想像と違った部分はあった?」「業界にはどんな性格の人が多い?」「達成感を覚えた仕事は何かある?」など、本編では載せきれなかった気になる質問にまとめて答えていただきました。
この記事をまとめると
- 配属によっては、現場に出る機会の多い職業
- 工事に協力してもらうには、工事の必要性を懇切丁寧に説明することが大切
- 都道府県職員にとって重要なことは、「自分の県の情勢に詳しくあること」
几帳面な性格の人が多い総合土木職の世界
―― 休日はどんなことをして過ごしていますか?
ドライブをしながら日本各地を巡って気分転換しています。山にも行きますし、寺や城などの観光地に行くのも好きですよ。ドライブの途中で道路工事を見かけたりすると、職業柄、「何の工事だろう?」とつい気になってしまうこともあります。
―― 業界内ではどんな性格の人が多いですか? また、ご自身の性格についても教えてください。
ルールに厳しい人が多い印象です。工事をするときは規格値といって、「この範囲で作ってください」という基準、そして誤差の許容範囲が決まっていて、工事はその範囲の中で絶対に収めなくてはいけません。
大掛かりな工事をしているわけですから、ちょっとのミスも後々大きな問題になってしまうので、必然的に細かいチェックを怠らない几帳面な人が多くなっていくのではないかと。自分は多少ルーズな部分があるので、そんな方々の背中を見て気を引き締めています。
工事の説明をあいまいにしないことがトラブル回避につながる
―― お仕事を始めて、働く前に抱いていたイメージとのギャップはどんな部分にありましたか?
意外と、現場に出る機会が多かったということです。
公務員ということで、仕事を始める前は、漠然とパソコンと向かい合って仕事をすることがほとんどなのかな、と想像していました。現在自分は、県土整備部の中の地域機関に所属しています。その中で道路を担当する人、河川を担当する人などそれぞれ役割があり、時期によって忙しさは異なってきますが、いずれにしても現場に出ることが多いので、最初はけっこう驚いた記憶があります。
―― お仕事中、特に注意していること・心がけていることはありますか?
どこかの土地を工事したいとなったときは、まずその土地を持つ人に、土地を売ってもらったり提供してもらったりする必要があります。その場合、極力専門用語を使わずに、工事の必要性について分かりやすく丁寧に説明することを心がけています。
端的に「こういう効果が得られます」と言うだけだと、「別に工事までする必要はないんじゃないか」などと難色を示されてしまうこともありますので……。説明不足が後々のトラブルに発展する可能性もありますから、イチから段階を踏んで、理解・納得してもらうことが大切です。
―― 都道府県職員にとって一番重要なことはなんだと思いますか?
「常に県の情勢に詳しくあること」でしょうか。
職員はみんな、自分の県を少しでも良くするために働いています。そのためには、全員が同じ方向を向いて力を合わせていく必要があるため、一人でも別の方向を向いてしまうのは歓迎できません。自分の県がどんな方向に進んでいて、どんな事業に力を入れているのか、しっかり把握しておくことが必要不可欠ではないかと。
国道の開通式に携わることができて感動!
―― 働かれている職場のいいところについて教えてください。
働き方改革の動きもあり、有給休暇が取得しやすいところは気に入っています(笑)。
また事務所の結束が強い、という点も挙げておきます。自分が所属している県土整備部という組織では、毎年、ソフトボール大会や卓球大会、インディアカというちょっと珍しいスポーツの大会など、いろいろな催しがあるのですが、チームは事務所ごとで組んでいるんですよ。
大会前は事務所の社員で練習もしていまして、その中で同僚の知られざる一面を知ることもあり、自然と仲も深まります。一致団結した経験は、仕事でも役立っているのかなと感じています。
―― 今後の目標はありますか?
中学生の頃からの夢だった橋梁の建設に、監督員として携わることが目標です!
また、今後はスキルアップを目指し、国家資格である「1級施工管理技士」の試験にチャレンジしていくつもりです。
―― 最後に、お仕事の中で、一番の思い出や達成感を感じたエピソードについて教えてください。
印象深いのは、県管理の国道の開通式に携われたことです。全体で見ると何十年がかりの、本当に長期の計画でしたが、自分は最後の仕上げの段階で計画に加わり、工事の監督員として開通式に参加できました。
公務員は基本的に、3〜4年程度で人事異動が行われます。ですから、たまたま自分が事務所に配属されたのが、国道の工事が終わるタイミングだったことは、本当に幸運でした。
国道を開通するまでには、県・市の関係者、地元の皆さんなど、本当に大勢の方々の協力がありました。また群馬県とも協力していたので、そちらの職員との調整も多かったんです。
対応することが多くとても大変でしたが、その分、開通式当日は感動もひとしおで、非常に達成感のある仕事となりました。
国道のように大きな道路をつくることは、周辺住民の生活の大きな変化につながるため、責任は重大。関係各所との交渉や調整のやりとりで、目まぐるしく忙しいときもあるはずです。しかし、そんな大変な仕事でも「住民が住みやすいまちをつくるために頑張ろう」と努力できる山田さんのような人こそ、都道府県職員に向いているのでしょうね。
ひと口に都道府県職員といっても、行政や事務職だけでなく、山田さんのような総合土木職や福祉職、心理職など多くの職種があります。興味があればぜひ調べてみてくださいね。
【profile】埼玉県庁 県土整備部 秩父県土整備事務所所属 河川砂防担当 山田隼矢
この記事のテーマ
「公務員・政治・法律」を解説
公務員採用試験などの対策や司法書士など法律関係の資格取得のための学びが中心で、官公庁や行政機関の採用試験科目を段階的に学び、各種試験の合格を目指します。将来は公務員として行政に携わるほか、政治活動を支える政党職員などの仕事が考えられます。弁護士や検察官など法曹の道へ進みたい場合は、大学や法科大学院への進学が必須です。
この記事で取り上げた
「都道府県職員」
はこんな仕事です
都道府県の役所をはじめ、公的機関で働く人々のこと。国家公務員の仕事に比べると地域住民に接する機会が多いといえる。住民が快適に過ごせるよう公園をつくったり、地域の法令である条例を制定したりする。他にも住民票や税金の管理、道路や河川などの整備を行うなど、広い範囲で人々の暮らしを守る役目を担う。市区町村の役割が、国がつくった制度や法律を住民に直接運営することがあるのに対し、市区町村の運営のサポートや国とのパイプ役も担う。地域の工業や農業などを支援して盛り上げるのも重要な役割の一つだ。
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