『FM Festival 未来授業』でiPS細胞研究者山中伸弥×芥川賞作家川上未映子と学生がディスカッション「<いのち>は一体、誰のもの?」

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『FM Festival 未来授業』でiPS細胞研究者山中伸弥×芥川賞作家川上未映子と学生がディスカッション「<いのち>は一体、誰のもの?」

2019.10.29

提供:マイナビ進学編集部

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『FM Festival 未来授業』でiPS細胞研究者山中伸弥×芥川賞作家川上未映子と学生がディスカッション「<いのち>は一体、誰のもの?」

2011年からTOKYO FMとJFNが毎年開催している『FM Festival 未来授業』。日本を代表する知のフロントランナーが、さまざまなテーマを掲げて若い世代に向け公開授業を行います。今年は、iPS細胞の研究者で2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥さんと2008年に『乳と卵』で芥川賞を受賞した作家・川上未映子さんが登場。「<いのち>は一体、誰のもの?」をテーマに、1時間半の白熱した授業が展開されました

この記事をまとめると

  • 研修医時代の挫折と身近な死がきっかけで研究医になった
  • 理論上では、iPS細胞で人間を作ることが可能。実際に行っている国もある
  • 進歩した科学技術を正しく使えるように、若い世代は過去から学んでほしい

今治せない病気を将来治せるようにしたいと研究医に転身

大きな拍手で迎えられた山中さんと川上さん。今回のイベントがほぼ初対面だとしながらも、作家・村上春樹さんのファンだということや、ラグビーの縁で共通の知人がいること、大阪出身で実家がとても近いことなど、実は二人には共通点が多いのだそう。

リラックスしたムードの中、川上さんから山中さんに質問をする形式で授業が進行していきました。

川上:「山中先生は、もともと臨床医(病院で患者を診る医者)でしたが、なぜ研究医になられたのですか?」

山中:「私はラグビーをやっていたこともあり、最初はスポーツドクターを目指していました。研修医として働くことへの希望に胸を膨らませていたのですが、待っていたのは過酷な日々。僕の人生の中で研修医の2年間が一番怒られたのではないかと思います。そして僕のまわりには神の手と呼ばれる天才的な外科医がいましたが、そういう人でも治せない患者さんがたくさんいました。その中の一人が僕の父親で、医者になった2年目に肝臓の病気で亡くなりました。挫折感と父親の死というつらい状況の中で、今治せない病気を将来治せるようにするためには研究医になること良いのではと考えました。」

山中先生は、臨床医と研究医の絶対的な違いは、失敗が許されることだと言い、失敗した時に「なぜ失敗したのか」と振り返り学ぶことが重要だと説きました。

iPS細胞で、人間を作ることができる時代になるのか?

続いて、山中先生が研究しているiPS細胞についての話題となりました。

川上:「iPS細胞について簡単に説明していただけますか?」

山中:「iPS細胞は13年前に私たちの皮膚や血液の中にあるリンパ球から人工的に作り出した細胞です。iPS細胞はどんどん増やすことができますので、理論上は脳、心臓、骨、肝臓など、ありとあらゆる人間の細胞を大量に作り出すことができます。」

川上:「そうなると、iPS細胞で精子と卵子を作ることが可能ですから、理論上は男女の接触なしに人間そのものを作ることができるわけですね。実際に最近中国でHIVの耐性があるクローンの双子が生まれたというニュースを見ました。今後いろいろな可能性を秘めている研究だと思うのですが、先生はどう思いますか?」

山中:「先ほどiPS細胞はどんな細胞でも作れるといいましたが、その中の一つが精子と卵子です。さらに言うと女性から作ったiPS細胞からもその気になれば精子が作れますし、その逆もあり得ます。実際にiPS細胞を見つけた時『とんでもないことになってしまったな』と思い、すぐに文部科学省へiPS細胞から精子や卵子を作る研究をどこまでやっていいのかという議論を国として始めてほしいとお願いに行きました。

そうはいっても、13年前は人間のiPS細胞で精子や卵子が簡単にはできないだろうと思っていました。10年から20年はかかると思っていましたが、あっという間にネズミのiPS細胞から生きたネズミを生み出すことに成功しています。現在日本では指針を決めていて、iPS細胞から精子や卵子を作り受精してもいいことになっていますが、人間の臓器ができる段階である“発生”までは行ってはいけないことになっています。ただこの指針は、国によって温度差がありますね。」

確実に進歩していく科学技術で幸せになるか否かを決めるのは人間

13年前には思いもよらなかった“命を作る技術”が圧倒的なスピードで進んでいることを目の当たりにし、会場に来ている学生に向けて、「iPS細胞を使って子どもを作ってもいいか」という質問が投げかけられました。

「YES」「NO」のパネルを手にした学生たちが、質問に対してパネルを上げると、YESが6割、NOが4割という結果に。YESと答えた学生が「きちんと子どもを育てる意志があるという条件付きで認めてもいい。それは異性間だけでなくても同性間でもいい。」と主張する一方で、NOと答えた学生は「一度認めてしまうと歯止めがかからない危険がある。iPS細胞で生まれてきた人が被るリスクは計り知れないのでは?」など、それぞれの意見を語りました。これらの意見を受けて、山中さんと川上さんがコメントをします。

山中:「今後、科学技術は間違いなく進んでいきますが、人間が科学技術以外の社会性や哲学、法律、文化という面で、技術に見合うだけ偉くなっていけるのか、というところは心配な点です。過去から学ばなければ間違いなく失敗を繰り返しますので、明日の世界を支える皆さんは、ぜひ過去から学んでほしいと思います。科学技術を使って人間が幸せになれるか、もしくは科学技術に人間が滅ぼされるかを決めるのは人間自身だと思います。」

川上:「短い時間で答えが出るはずがないテーマですが、引き続きそれぞれが考えていくべきことだし、いろいろなことが複合的に絡まった複雑な問題だと思います。ぜひ好奇心が芽生えたらさまざまな本が出ているので読んでほしいですね。」

1時間半の授業を通じ、議論を経て最終的に「YES」「NO」が半分ずつという結果となりました。YESからNOに意見が変わった人が「議論を通じて、人間の欲かもしれないと感じた」と言えば、NOからYESに変わった人は「病気で子どもを産めなくなった人のためには良い技術。技術は使いようだと思う。ちゃんとした使い道を考えていけばいいのでは?」と理由を述べていました。

この授業の模様は、11月4日(月・祝)16時からTOKYO FM/JFN38局にてオンエアされます。興味を持った方はぜひ聞いてみて、自分の考えをまとめてみましょう。

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