【シゴトを知ろう】イラストレーター ~番外編~
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「【シゴトを知ろう】イラストレーター 編」では、フリーランスのイラストレーターとして活躍されている石山さやかさんに、仕事の内容ややりがいについてお話を伺いました。
今回は番外編として、石山さんの仕事環境や、イラストを描く際にどんなことを大切にしているのか、今後の目標についてなど、本編よりさらに深掘りした内容をお届けします!
この記事をまとめると
- アナログとデジタルのツールを使い分けてイラストを仕上げている
- たくさん仕事が増えても、人と比べて焦ってしまう気持ちは消えない
- イラストレーターにとって重要なのは、自分の絵を好きだと思う気持ち
漫画を出したことがきっかけでイラストの仕事が増えた
―― イラストを描く際の仕事環境について教えてください。
線は手描きが多く、ボールペンやつけペンなど、案件によっていろいろ使い分けます。着彩はアナログだと透明水彩やアルコールマーカー、デジタルでは「Procreate」というアプリを使うことが多いです。最後にパソコンでCMYK変換して色調を調整します。
―― イラストレーターのお仕事をする上で、影響を受けた人はいますか?
同時代のイラストレーターさんは気になる人だらけです。若い頃に、「こういうタッチがいいな」と思ったのはタカノ綾さんと今日マチ子さんです。お二人ともとても素敵なイラストを描かれるので、ご存じない方はぜひ調べてみてください。
―― イラストレーターというお仕事を始めて、働く前に抱いていたイメージとのギャップはどんな部分にありましたか?
仕事が増えれば、人と比べたり焦ったりすることはなくなると期待していましたが、「どうやらこれは一生なくならないようだ」と最近気づきました(笑)。
―― 石山さんは漫画も描かれていらっしゃいます。漫画を描こうと思ったきっかけと、漫画を描くことでイラストレーターのお仕事に与えた影響があれば教えてください。
「コミティア」というオリジナル作品の即売会に知り合いが多く出展していて、「自分も何か出してみたいな」と思ったのがきっかけです。
最初は遊びのような気持ちで描いていて、漫画家になろうとも思っていなかったのですが、知人と出した同人誌がきっかけで、漫画『サザンウィンドウ・サザンドア』のWeb連載が決まりました。連載を単行本化する際、単行本の装丁をとても素敵に作っていただき、それがきっかけでイラストの仕事が増えました。自分の世界観を、漫画を通じて多くの人に知ってもらえたのがよかったです。
漫画はイラストに比べて生み出すことに時間がかかり、最近はあまり描けていないのですが、また連載がしたいなと思っています。
イラスト制作で気をつけるのは「線がいきいきと引けているか」
―― オンとオフの過ごし方について、何か意識していることはありますか?
なんだかんだで、サラリーマン時代の働き方(9:00~18:00勤務)が理にかなっていたなと思うので、なるべく夜型にならないよう気をつけています。どうしてもうまくいかない日も多いですが……。
基本的に平日は、朝食を食べて洗濯をしたら、まずデイリープランナーを開いて1日の計画を立てます。ひとりで作業しているとついダラダラしてしまうので、タブレット端末やクロッキー帳でできる作業は、近所のカフェや共同作業場も活用して、人の目のあるところでやることも多いです。
土日は、繁忙期以外はなるべく家族と過ごすようにして、生活にメリハリをつけています。
―― 「職業病」のようなものは何かありますか?
書店で気になる装丁の本を見かけると、表紙をめくって袖に書いてあるイラストレーター名をチェックしてしまうこと。それと、街でいい感じの雰囲気や服装の人がいると、目でシャッターを切るように頭の中に記憶して、後でメモするのもよくやっています。
―― イラストを描くとき、特に気をつけていることはありますか?
「線がいきいきと引けているか」と、「人物の表情」には、特に気を遣うようにしています。一見無表情でも、なんらかの感情が宿っている人を描きたいと思っています。
今後の目標は絵本制作と教科書の挿絵を描くこと
―― イラストレーターにとって一番重要なことはなんだと思いますか?
誰にも理解してもらえなくてもいいから、とにかく自分で自分の絵を好きだと思う気持ち。その一方で、自分の立ち位置を把握する客観性もとても大切になってくると考えています。
―― 今後チャレンジしてみたいこと、目標はありますか?
いつかは絵本制作と、教科書の挿絵がやりたいです。もっと言えば漫画もまた描きたいし、イラストエッセイみたいなものもやってみたいし、広告の仕事もしたい……やってみたいことは本当にたくさんあります。
フィールドをあまり固めずに、柔軟に、いろいろなことにチャレンジしていこうと考えています。
―― 最後に、お仕事の中で、一番の思い出や達成感を感じたエピソードについて教えてください。
一つに絞るのは難しいのですが、『Hanako』(マガジンハウス)という雑誌の特集イラストを描かせていただいたとき、東京メトロの銀座駅のホームに、私のイラストを使った電飾広告が出たときは本当にうれしかったです! ただ、掲出期間中とても忙しく、直接見に行けなかったのが心残りです……。
家の小さな机の上で描いたものが大きく掲出されて、たくさんの人の目に触れるという経験はとても不思議な感じで、今でも印象に残っています。
自分が自宅の机で描いていた絵が、駅のホームにドドンと掲載される……想像すると、たしかに不思議な気持ちになりそうですね。そんな経験ができるのも、イラストレーターという職業ならでは。
「誰にも理解されなくても、自分の絵を好きだと思う気持ち」がイラストレーターにとって何より重要だと石山さんは話します。イラストレーターを目指す高校生の皆さん、もし人に何かを言われて落ち込むことがあったとしても、「それでも私は自分の絵が好き!」という気持ちを忘れずにいてくださいね!
【profile】石山さやか
イラストレーター、漫画家。埼玉県生まれ、東京都在住。
創形美術学校ビジュアルデザイン科イラストレーション専攻卒業後、広告代理店勤務を経て2016年からフリーランス。市井の人々の生活や表情をアナログの線画で描くことが多い。
主な仕事に『泣くな研修医』(中山祐次郎著・幻冬舎) 装画、SPACE SHOWER TVの2019年カレンダーデザインなど。ほか書籍装丁、CDジャケット、雑誌・小説・児童書挿絵など幅広い分野で活動中。
著書に『サザンウィンドウ・サザンドア』(祥伝社)がある。
webサイト http://shiya.jp
twitter https://twitter.com/shiya07
instagram https://www.instagram.com/ishiyama_sayaka/
この記事のテーマ
「デザイン・芸術・写真」を解説
デザインは、本や雑誌、広告など印刷物のデザイン、雑貨、玩具、パッケージなどの商品デザイン、伝統工芸や日用品などの装飾デザインといった分野があり、学校では専門知識や道具、機器を使いこなす技術を学びます。アートや写真を仕事にする場合、学校で基礎的な知識や技術を身につけ、学外での実践を通して経験やセンスを磨きます。
この記事で取り上げた
「イラストレーター」
はこんな仕事です
手描き、もしくはパソコンを使ってイラストを制作する仕事。活躍の場は広告、雑誌・書籍といった印刷物、ホームページ、企業のキャラクターデザインなど。写実絵画からデフォルメされたものまで需要の幅は広い。依頼に応じて多様な絵柄を描き分ける人もいれば、一貫して独創的なタッチで制作する人もいる。後者は受注制作だけでなく、オリジナルグッズや画集、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)向けツールなどをつくって販売することも。いずれの場合も経験を積んだ後、フリーランスで活躍することが多い。
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