「見えない困難」を受け止めてくれる人の存在は大きい――作家・梨屋アリエさんインタビュー

  • ようこそ、ゲストさん
  • ログイン
  • 会員登録(無料)
  • エリア設定
MENU
閉じる
  • ようこそ、ゲスト さん

    会員登録(無料)

  • 適学・適職診断無料!

    診断を受ける

  • エリア設定

現在4校がカートに入っています。

一度に最大30校までまとめて資料請求することができます。

閉じる

「マイナビ進学」サイトが別タブで開きます。

「見えない困難」を受け止めてくれる人の存在は大きい――作家・梨屋アリエさんインタビュー

2019.10.23

提供:マイナビ進学編集部

メイン
テーマ

「見えない困難」を受け止めてくれる人の存在は大きい――作家・梨屋アリエさんインタビュー

中高生向け小説『きみの存在を意識する』(ポプラ社)の著書・梨屋アリエさん。本作では「本を読むのが遅い」「覚えているのに漢字が書けない」などの目に見えない障害や困難に悩みながらも、奮闘して成長していく中学生たちが描かれています。梨屋さんの経験がベースになっているそうですが、作品にはどんな思いが込められているのでしょうか? 高校生へのメッセージもいただきました。

この記事をまとめると

  • 見えない困難を抱える人の気持ちを当事者として代弁したかった
  • 「配慮」よりも「工夫」を推奨する柔軟な空気が広まるといい
  • 将来に向けて「自分を研究する」「遠くの目標を立てる」ことをやってみよう

向上心はあるのに学習の機会を奪われる子どもたちがいる

―― 『きみの存在を意識する』を書いたきっかけは何ですか? 

この本は、本を読むスピードが人よりも遅いことに悩む女の子「ひすい」の物語から始まります。私自身も本を読むのが遅いほうで、中学の頃、友達が何十冊も読んでいる間に私は1冊しか読めないということに悩んでいました。大人はたくさん読む子を評価しがちですが、たとえ1冊でも苦労しながら一生懸命に「読んだ」わけです。そのことを大切にしてもらいたいなという気持ちをずっと持っていました。困難を抱えていても、学びたい気持ちはちゃんとある。当事者としてそのような視点から物語を書きたいと思ったことがきっかけです。


―― 他にもさまざまな困難を抱える子たちが登場しますね。 

漢字を書くことが苦手な「心桜(こはる)」の物語も私の経験がもとになっています。書字障害といって、私の場合は漢字を覚えていないわけではなく、思い出して書くという作業が苦手で。書き直すうちに焦りも出てきて余計に書けなくなってしまうんです。こうした子は向上心があっても、周りからは「頭の悪い子」「勉強が嫌いな子」と見られて学習の機会が奪われてしまうことがあります。それはとても悲しいことです。
最近は「合理的配慮」といって、そのような困難を抱える子たちへ対応する流れもあります。書字障害の子ならiPadを使ってテストを受けて良いという例もあります。

気づいて理解してくれる人の存在は大きい

―― 「合理的配慮」は学校の現場において、まだそれほど浸透していないのでしょうか? 

なかなか理解が進まないところもあるようです。「あの子だけ特別扱いを受けている」と周りが思ったり、本人がそのことに引け目を感じたりしてしまうことも。でも分かりやすく言うと、視力の悪い子が眼鏡をかけることと同じなんです。昔は眼鏡をかける子に対しても同じ空気がありましたが、今は当たり前になりましたよね。結局「配慮」が問題なのではなく、「配慮に対する周りの視線」が問題なんだろうなと感じています。


―― 梨屋さんは「合理的工夫」という提案をされていますね。 

授業の目的が「字を書くこと」ではなく「覚えること」や「正しい結論を導くこと」であるなら、どんな手段でそれを達成するかは選べていいと思うんです。日本史でも、人名を覚えるのが苦手なら顔写真で覚えるとか、数字が得意なら語呂合わせで覚えるとか、ダンスが好きなら動きで覚えるという方法もあるかもしれません。人それぞれの覚えやすさがあって、それは「工夫」だと思うんですよね。配慮するというよりも、自分が学びやすい工夫をどんどんしていいよ!という空気が広まるといいなと思っています。

見えない困難に悩む人は、分かってもらえないつらさも抱えています。皆さんの周りにみんなと違う行動をする人がいたら、「もしかしたら何かあるのかも」と気持ちを向けてもらえたらうれしいです。人が完全に理解し合うのは難しいものですが、理解しないと次には行けません。分からないなりにも「この人はそうなっているんだな」と理解すること。そのように受け止めてくれる人の存在は大きいです。

「どういう大人になりたいか」ぼんやりでもいいから目標を

―― 梨屋さんが作家を目指したきっかけは? 

何かをつくる人になりたいという気持ちは子どもの頃からありました。本を買って読むようになった中学生の頃から、思いを書いて伝えることができるっていいなと思うように。作品を書いて周りの人に手で配っていた頃もありましたが、なかなか読んでもらえなくて。でも私の書いた話を必要とする人がきっとどこかにいるはずで、その人たちに読んでもらうには出版して本屋さんに置いてもらう必要があると考えました。それが作家になろうと思ったきっかけでしたね。

これまでは、思春期の人に対して友達のように寄り添える本が書きたいと思っていました。ですが今回の本をきっかけに、作家は本を通して、子どもたちの気持ちを代弁し擁護する役割も果たせることに気づきました。そのような本がこれからも書けたらいいですね。


―― 最後に、進路の悩む高校生へのメッセージをお願いします。

自分が好きなことを見つけてほしいです。それがゲームなら、どんなゲームが好きなのか、どうしてそれが好きなのか。「自分」を研究してみるといいと思います。
あとは遠くの目標を決めること。進学や就職という話ではなく、「どういう大人になりたいか」ということです。ぼんやりとでもいいから定め、それに向かって目の前にある課題をクリアしていく。その道筋を作ることが大切なのかなと思います。
将来を現実的に考えてしまう人も多いと思いますが、好きなことに関わって生きている大人もたくさんいます。自分の気持ちに耳を傾けることを忘れないでください。



『きみの存在を意識する』は困難を抱える人たちを描いた本ですが、梨屋さんはそうでない人にこそ読んでほしいそうです。「困っているってどういうことなんだろう」「あの人はもしかして悩んでいるのかもしれない」と気づくきっかけになる本です。ぜひ一度手にとってみてください。


【profile】作家 梨屋アリエ

『きみの存在を意識する』(ポプラ社)

あなたの適性にあった学びや仕事が見つかる

適学・適職診断

無料

進学・適職診断を受ける