【2019高校総体・優勝】ヨット・男子レーザーラジアル級 鎌倉学園高等学校
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海上に設置されたブイを定められた順序と回数で回り、ゴールを目指すヨット競技。レーザーラジアル級では、全長4.23mの1人乗りヨットでタイムを競います。今年インターハイに初出場し、見事優勝に輝いたのは、鎌倉学園高等学校2年の服部陸太くん。優勝の感想や日々の練習などについてお話を伺いました。
この記事をまとめると
- 会場である海の特徴を事前に頭に入れてレースに臨んだ
- 強豪選手も崩れる難しいレース環境の中、冷静な判断で優勝をつかんだ
- 練習は週1回。時間は少なくても効率良く練習する
大舞台での経験がインターハイへの大きな自信に
―― 優勝した感想をお聞かせください。
インターハイ前、5月に開催されたジュニアオリンピックで優勝し、2つの世界選手権に出場することができました。世界選手権では強い選手たちとレースをして、その中で良い結果を出せたことがインターハイへの自信につながりました。実は世界選手権のあとインターハイまで1週間くらいしかなくて、あまり対策ができなかったんです。会場である和歌山の海でレースをするのも初めてで、少し不安もありました。でも「自分の実力をちゃんと発揮できれば優勝できる」という強い気持ちでレースに臨みました。インターハイは他の大会とは違って、学校の名前を背負って出場することになります。周りの期待に応えたいというプレッシャーもありましたが、優勝できて本当によかったです。
―― 優勝できた一番の要因は何だと思いますか?
常に「冷静でいよう」と意識できたことです。インターハイ前の世界選手権のうち、1つ目の大会では周りの選手のレベルがとても高く、目標としていた順位とはかけ離れた結果に終わってしまいました。でも、その反省を踏まえて、2つ目の大会では落ち着いたレース展開ができました。大会のたびに少しずつ修正をし、インターハイでは緊張することなく冷静な気持ちでいられたと思います。
またインターハイ前には、会場の海で実際にレースをしたことがある選手の方々に、いろいろと話を聞きました。地形や風の吹き方などは会場によって全く違います。事前にしっかり情報を頭に入れてレースができたことも、良い結果につながった要因の一つです。
冷静な状況判断とリスクを抑えたレース運び
―― 一番苦しかった試合・場面はありますか?
大会では数日間にわたってレースを行い、トータルの成績で最終的な順位が決まります。今回のインターハイは期間中を通して風が弱く、優勝候補といわれる強い選手たちも初日から大きく崩れていました。僕は1日目を終えた時点で2位だったのですが、難しい海面で実力のある選手たちが崩れる中、「自分もいつ崩れてしまうか分からない」というプレッシャーがありました。そのような状況で心がけたのが、リスクを減らした着実な走りです。無理にトップを狙うのではなく、冷静に、全てのレースで上位につけるように意識しました。
―― 勝利のために一番努力したことは何ですか?
勝つために技術はもちろん必要ですが、それよりも大切なのはメンタルの強さ。とくにインターハイに出場するような強い選手には、普段の練習からメンタル面で優位に立てるように意識しています。大会本番でも、会場に入ったときから「自分が一番強い」という強気なオーラを出すようにしていました。
一方で僕は体力作りなどのトレーニングが苦手。でもレースは大好きで「勝ちたい」という気持ちも人一倍強いと思います。「大会で勝つ」という強い思いが練習のモチベーションになっています。
来年のインターハイにも出場し、史上初の2連覇を目指したい
―― 普段、練習がある日のスケジュールを教えてください。
所属しているクラブで学校が休みの日に練習しているので、ヨットに乗るのは日曜日だけです。コーチと相談しながら、動作練習やコース練習などを行っています。毎日ヨットに乗っている人に比べると練習量は少ないかもしれませんが、その分効率の良い練習を心がけています。また大会前には、平日にランニングをしたり体重管理をしたりしています。
―― 普段のトレーニングや練習で意識的に行っていることはありますか?
日々の練習の中で見つけていく感じです。同じように練習をしていても、風の吹き方は毎週全然違いますし、その日の調子やセッティングの仕方などで走りに違いが出ることもあります。「今日はちょっとスピードがないな」「上り角度(風向きと進路の角度)が悪いな」など、気になることがあったときはコーチやクラブの仲間に相談して、その都度改善するようにしています。
―― 今回のインターハイ全体に対する感想を教えてください
優勝を狙っていたので、目標が達成できてうれしさと同時に安心しました。秋に出場が決まっていた国体に向けても、インターハイ優勝が大きな自信になったと思います。僕が出場するレーザーラジアル級は昨年のインターハイから採用された種目で、まだ2連覇した選手はいません。来年もぜひインターハイに出場して、史上初の2連覇を目指したいです。
小学2年生からヨット競技をはじめたという服部くん。ジュニアオリンピック、インターハイに続き国体でも優勝し、高校3冠を達成しました。しかしこの結果に満足することなく、服部くんの目標はすでに来年のインターハイ連覇に向いているようです。これからの活躍にも、ぜひ注目したいですね。
【profile】鎌倉学園高等学校
服部陸太くん(2年)