本で伝える科学の魅力。「科学道100冊2019」記者発表会レポート
メイン
テーマ

学校の授業で化学・生物・物理・地学などの勉強をする際、分かりやすく気軽に読める本があればいいのにと思ったことはないでしょうか。
2019年9月26日、日本で唯一の自然科学の総合研究所である理化学研究所と本の可能性を追求する編集工学研究所による「科学道100冊2019」の記者発表が行われ、登壇者によるテーマトークで科学や読書についての話が展開されました。
この記事をまとめると
- テーマ本50冊と科学道クラシックス50冊による「科学道100冊2019」
- 記者発表で語られたおすすめの本とは?
- どんな本をどの順番で読むかが重要。読書によって新たな人との出会いも期待できる
「科学道100冊2019」って何?
私たちが日々当たり前のように接しているものの中には、科学者たちの努力によって生み出されてきたものがたくさんあります。研究に力を尽くしてきた結果といえるでしょう。このように科学者が科学としっかり向き合って積み重ねてきたことを一言で言い表せないかと考え、作られた言葉。それが「科学道」です。
そんな「科学道」に基づいて、おもしろさや素晴らしさを届けるプロジェクトが「科学道100冊」。2019年版の「科学道100冊2019」は、中学・高校生を中心に科学の魅力を伝えるための本がラインナップされています。
「科学道100冊2019」は大きく「テーマ本」「科学道クラシックス」で分類されています。テーマ本は、話題となっている科学のトピックを3つに分けた50冊。2019のテーマは「元素ハンター」「美しき数学」「科学する女性」です。
一方「科学道クラシックス」は、時代に関係なく読み継がれてほしい50冊が理化学研究所の研究者らによって選ばれています。科学に関する本はもちろんのこと、科学以外のジャンルの本もある選りすぐりのラインナップになっています。
登壇者によるトークで語られた、高校生に読んでほしい本とは?
記者発表は、理化学研究所の松本紘理事長、編集工学研究所の松岡正剛所長、理化学研究所の小谷元子理事が登壇。小谷さんの進行のもと、松本さんと松岡さんが科学への思いや読書についてトークがなされました。
松本さんは、自身が学生だった頃は本を買う余裕がなかったので、教科書を一生懸命読むことで知識を得たとのこと。教科書はいろいろなことを幅広くカバーしているのでそれだけでも多くの刺激が得られ、「もっと知りたい」という気持ちが芽生えたといいます。そして研究者になったあと、「私の研究はどこへ行くのだろう」とふと考えた時に役に立ったのも本だったのだそう。
読書は大切だということを伝えたうえで、特に研究者がどのような人生を歩んできたのかを知る伝記ものを読むことがおすすめだと語りました。
松岡さんは、中学生の頃に科学部に所属をしていたため、学校の先生から「もっと研究しなさい」と教えられいろいろな実験をしたといいます。ただ高校生になると科学に対しての興味が薄れ、その代わりとなったのが読書。エルヴィン・シュレディンガーの『生命とは何か』に影響を受けたと語りました。
そんな「本のプロ」松岡さんが、中学・高校生へ向けてこれだけは必ず読んでほしいと紹介した本がファラデーの『ロウソクの科学』。松岡さんご自身も、今でも数年に1回は必ず読み返しているのだそうです。
読書をすることで、今までとは違う出会いが待っていることがある
また、松岡さんは中高生に向けて、「本を読むことで何かを知るためには、読んでいく順番が重要」だと説きました。今後どんな本をどの順番で読めばいいのかというナビゲーションマップのようなものを作っていきたいと語りました。
松本さんは、ご自身がサンスクリット語の本に興味を持った時、図書館で「この本を読むといいですよ」と教えてくれた人がいたのだそう。本を読むことによって、このようにこれまでになかった人との出会いも読書の楽しみであると教えてくださいました。
「科学道100冊2019」では、科学を追求した本格的なものから気軽な気持ちで読めそうな本まで、さまざまなジャンルのものが選ばれています。科学は少し難しいかも……と尻込みをしている人も「これなら面白そう」と興味を持つきっかけになるかもしれません。ラインナップは「科学道100冊」特設サイトで確認できますので、興味のある人はぜひチェックしてみてくださいね。
▼科学道100冊
https://kagakudo100.jp/