【2019高校総体・優勝】レスリング 日本体育大学柏高等学校
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インターハイの男子学校対抗戦(団体)での4連覇、女子個人対抗戦(50kg級)・男子個人対抗戦(92kg級)でも優勝という素晴らしい結果を残した日本体育大学柏高等学校のレスリング部。優勝という目標に向かって研究を重ね、日々の練習を積み重ねてきたそうです。優勝したときの思いや、練習で努力してきたことについて、3年生でキャプテンの山倉孝介君、同じく3年生の山田脩君、片岡梨乃さん、そして森下史崇コーチにお話を伺いました。
この記事をまとめると
- 「一枚岩」となり、男子団体戦は4連覇! 女子50kg級は優勝
- 日々の努力を積み重ね、インターハイで結果を出す
- レスリングで心も体も鍛え、人間としても成長する
男子団体戦は4連覇、女子個人50kg級も優勝!
【選手インタビュー】
―― 優勝した感想をお聞かせください。
山倉:先輩たちから記録を受け継ぎ、団体戦で4連覇できて、ほっとしました。優勝できて安心した気持ちが一番強かったです。監督からも言われていたように、団体戦で優勝するには「一枚岩」となることが必要でした。それをインターハイで実行して、優勝できて良かったです。
山田:決勝の相手校を想定して練習してきました。自分は団体戦で2対3という負けている状況の、6番手として出場しました。しかし、あまり緊張はしていませんでした。逆に最初の選手が勝っていたので、「優勝できる!」という気持ちが強く、無事優勝することができて、うれしかったです。
片岡:昨年のインターハイでは準優勝だったので、おめでとうと言ってもらえるのは素直にうれしいです。しかし、勝ち上がってくる選手が分かっていて、確実に優勝しなければならないという状況で、内容は納得のいくものではありませでした。今後の大会を見据えて、課題を改善していこうと思っています。
―― 優勝できた一番の要因は何だと思いますか?
山倉:一回戦目から強豪校を相手にして接戦が続き、決勝までどこか一回でも崩れてしまえば敗退してしまうという状況の中で、メンバーの士気も上がり、お互いがお互いを励まし合っていけたのが勝てた要因だと思います。
山田:団体戦が始まる前は、個人戦のことが気になったり、減量が気になったりして、チームがまとまり切れていなかったのですが、団体の決勝戦までにみんなが調子を上げていったことが優勝できた要因だと思います。
片岡:普段から、全国で優勝するような強い男子と練習をしているので、自信がつきました。試合で同年代の女子を相手にすると、力でも技術でも、全然異なると感じています。
日々の努力や仲間への思いが勝利へとつながる
―― 一番苦しかった試合はありますか?
山田:決勝はキャプテンが「絶対に勝つ」と言って、自分の二つ前に試合に臨みましたが、残念ながら負けてしまいました。自分が負けてしまったらチームも負けてしまうという状況で、順番が回ってきて、キャプテンに4連覇を達成させるためにも負けられないと思ました。
山倉:最初の51kg級の選手が勝った後、3人続けて負けてしまい、「ここで自分がキャプテンとして流れを変えなければ」と臨んだのですが、逆転負けしてしまいました。重量級に安心感をもって試合をしてもらうことができなかったのがキャプテンとして心残りです。
片岡:男子の団体戦が終わった後に女子の一回戦が始まります。男子の優勝を見た後だったので「自分も負けられない」という気持ちになり、体が少し固い状態でした。最終的には勝ちましたが、相手に無駄なポイントを取らせてしまいました。
―― 勝利のために一番努力したことは何ですか?
山倉:相手校の選手の動画を探して、どのような癖があるのかをチェックし、自分なりにまとめて頭に叩き込みました。チームは減量している者が多く、元気がなくなって、士気が下がっている状態でした。キャプテンとして、声を出して盛り上げていました。
山田:3年生になって、個人的に変えようとしたのはメンタル面です。1点は素直になるということ。もう1点は、今まではやってみてもできないことがあると諦めていたのですが、諦めずにやり続けることを徹底しました。また、気分で行動せず、後輩たちにも毎日同じように接することも心掛けました。
片岡:3年生になって体重も増えてきて、1つ上の階級に変更するか迷ったのですが、結局は階級を変えずに、食事面に気を使って、体重を維持することにしました。体脂肪などもこまめにチェックし、大好きな甘いものを控えるようになりました。
―― 今回のインターハイ全体に対する感想を教えてください。
山田:団体戦で4連覇ができてうれしかったですし、安心しました。優勝が決まって、最後に胴上げをしたときに「これまで1年間、頑張って良かった」と思いました。
山倉:優勝した瞬間は、本当にほっとしました。安心しましたし、うれしかったです。ただ、キャプテンとして臨んだ試合で、個人としては負けてしまったので悔しいという気持ちが大きいです。
片岡:最後のインターハイで優勝でき、うれしいです。これから出場する試合に向けて課題が見つかった大会になりました。
心を成長させることで、今後は社会にも貢献してほしい
【森下コーチインタビュー】
―― 優勝後、選手たちにどのような言葉をかけられましたか?
男子の団体戦で優勝したときには、選手たちに「おめでとう」という言葉をかけました。4連覇を目標に練習を積んできたので、その目標を達成できたということは良かったです。ずっと先輩たちから続いてきた伝統を守らなければならないというのは、選手たちもプレッシャーに感じていたと思います。また「個人戦に向けても、気を抜かずに頑張ろう」という言葉を掛けました。
女子の片岡には、昨年準優勝という結果で、悔しい思いをしてここまでやってきたので、「優勝できて、本当におめでとう」と伝えました。ただ、片岡は高校生のレベルの中では1つ頭を抜けている状況で、インターハイ優勝は当然という気持ちで見ていました。
―― 日頃の練習ではどのようなことに注意して指導されていましたか?
細かなミスを見逃さずに、何かミスがあれば、その都度アドバイスをするということを心掛けていました。日体大柏は攻めるレスリングをするので、相手はタックルをかえすようなカウンターの技術で挑んでくる選手が多かったです。私たちはさらに、そのカウンターにも対応できるような練習をしていました。試合でも、練習の成果を生かすことができました。
―― 一言で表現するなら、どのようなチームだと思われますか?
「個々が強いチーム」ですね。個人個人でも強いチームなので、一人一人が主張しています。レスリングは一対一で戦う競技ですが、団体戦はチームで戦うものなので、まとまらないと勝っていけません。最終的には、全体が同じ目標に向かってまとまることができたため、優勝することができました。
―― 今後、優勝した経験をどのように生かしてほしいと思われますか?
卒業生の中には世界やアジアの大会で活躍している選手もいるので、高校生レスリングという枠を越えて、次の大学やシニアの大会に羽ばたいてほしいです。そして、レスリング以外にも、社会に出た時に、部活で学んだり、優勝した経験を生かして、社会に貢献してくれたらうれしいです。これだけ一生懸命打ち込んだり、目標に向かってつらい練習をしたりしているので、どんな逆境に陥っても「諦めない」という心が、自分自身のプラスになって生きてくるでしょう。大澤監督もいつもおっしゃっていることなのですが、「心を成長させる」ということが、今後の人間としての成長につながっていくと思います。
先輩たちからの伝統を受け継ぎ、男子の団体戦では見事に4連覇を達成し、女子は片岡さんが優勝した、日本体育大学柏高校のレスリング部。インターハイ後も、次の大会に向けて、熱心に練習をしていました。毎日の一つひとつの練習を大切にしているからこそ、確実に勝利を収め、人間としての成長にもつながっていくのだと思いました。
【profile】日本体育大学柏高等学校 レスリング部
森下史崇コーチ
山倉孝介君(3年)、山田脩君(3年)、片岡梨乃さん(3年)