【シゴトを知ろう】アントレプレナー(起業家) 編
メイン
テーマ

やりたいことを実現するために、自ら会社を立ち上げて起業する――このような方法で仕事をする方々は「アントレプレナー(起業家)」と呼ばれています。今回は、釣り好きが高じて、全国の漁港や釣り場を巡って「釣り・漁業×地域活性」のビジネスを展開している中川めぐみさんにお話を伺いました。
この記事をまとめると
- アントレプレナーには「何かをかなえたい」という強い思いが欠かせない
- 仕事とプライベートの境は非常にあいまい
- 自分のやりたいことを実現していくことが起業の魅力
釣りを通じてさまざまな魅力を発信し、地域を元気にしたい!
Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えてください。
初心者・女性・家族連れ向けの釣り情報サイト「ツッテ」の企画・取材・執筆を中心としたコンテンツ制作と、釣った魚の買取サービス「ツッテ熱海」の運用、全国の漁業関係者や地方自治体に向けた講演、全国で見つけた面白い漁業関係者や海産物の記事を書いたりメディアに取り上げていただいたりといったPR業など、釣り・漁業関連ビジネスを多方面で展開しています。
もともと好きだった釣りを切り口に、地域活性の仕事をしようと考えたのは2年ほど前です。当時勤めていた会社を辞め、思い切って独立しました。最初はフリーランスで起業しましたが、地方自治体や大手企業などのクライアントが増えるにつれ、個人事業主では契約できないなどの制約が出てきたため、2019年10月に社団法人化しました。今後はますますビジネスの幅が広がっていくと、期待しています。
仕事内容は日によって大きく異なり、都内にいて打ち合わせや原稿執筆に専念する日もあれば、地方に出張して朝から釣り船に乗って、一日取材している日もあります。自分の好きなこと、やりたいことを仕事にしているアントレプレナーという働き方のため、仕事とプライベートの境は非常にあいまいで、“常にオン”で“常にオフ”という状態ですね。
<一日のスケジュール(都内にいる場合)>
10:00 メールチェック等デスクワーク
11:00 取材を受ける
12:00 ランチ
13:00 原稿執筆
16:00 新規事業についての商談
17:00 原稿執筆
19:30 メディアとの会食
<一日のスケジュール(地方取材の場合)>
7:00 釣り船に乗船し、取材開始
14:00 下船後、撮影データの整理等
16:00 釣り船と提携した飲食店で、魚料理をいただきつつ取材
19:00 原稿執筆
Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?
私のビジネスコンセプトは、「釣り・漁業」を通じて食・人・景観・文化などの魅力を発信し、地域を元気にすることです。私が考える「釣り」は、ただ魚を釣るだけの行為にとどまらず、釣った魚を料理して食べたり、地元の人たちと交流したりと、さまざまな切り口を持つエンターテイメントです。
「釣りをきっかけに地域の魅力を紹介したい」との思いで独立・起業して2年が経ちました。現在では多少は地域活性化のお手伝いができるようになってきたと思っています。自分のやりたいことがどんどん現実になっていくのを目の当たりにできるのが、起業の楽しさであり、最大のやりがいです。
Q3. 仕事で大変なこと・つらいと感じることはありますか?
起業当初からずっと自分一人だけでやってきたので、一緒に働く仲間がいないことを寂しく感じる時もあります。私は新しいアイデアを形にするのは得意ですが、お金に関する設計は得意とは言えません。この度の法人化に当たり、一緒に働いてくれるビジネスパートナーを迎え入れることも検討しています。会社のマネタイズポイントをきちんと押さえることで仕事の規模を拡大させられれば、さらに地域の魅力を発信することに貢献できますので。
東京に憧れていた高校時代。上京して地域の魅力を再認識できた
Q4. どのようなきっかけ・経緯でその仕事に就きましたか?
私は富山県の出身で、高校生の頃はひたすら東京に憧れていました。大学進学によって念願の上京を果たし、初めはショッピングやカフェ通いを楽しみましたが、しばらく経つと、もう十分と思うようになりました。東京には、同じようなコンセプトのスポット、他のお店の焼き直しのような飲食店が多いと感じ始めた時、地域の魅力を再認識するようになったのです。
日本全国にはそれぞれ豊かな個性を持った地域があり、その土地ならではの、おいしいものや景観、文化、習慣など、たくさんの魅力があります。ところが、肝心の地元の人は口をそろえて「ここは退屈で何もない」とおっしゃいます。私が高校時代に感じていた、地元へのネガティブな感情そのもの。どうにかして地域の魅力を発信したい、地域の素晴らしさを多くの人にお知らせしたいと思ったのが起業のきっかけです。今の自分を動かしている強いモチベーションとなっています。
Q5. 大学では何を学びましたか?
経済学部経済学科で、ゼミでは経営学を専攻しました。経営に関する知識はもちろん現在でも役立っていますが、勉強以外の遊びやアルバイト経験から学んだこともたくさんあります。たとえばティッシュなどを配布するアルバイトでは、「お願いします!」ではなく「ありがとうございます!」と言った方が受け取ってもらえる確率が高まるなど、人の行動心理やマーケティングの基本を実務から学べたことは大きな収穫でした。
Q6. 高校生のときの経験が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?
通っていた高校は進学校でまじめな生徒が多い中、私はスカートを短くして髪の毛を染めるなど、自己流のスタイルを貫いていました。みなさんのお手本にはなれないような高校生でしたが、常に個性を埋没させず自己表現をし続けるという点は、アントレプレナーとしての今の自分に通じているのかもしれません。
「かなえたい!」という思いがアントレプレナーには欠かせない
Q7. どういう人がその仕事に向いていると思いますか?
アントレプレナーにとって欠かせないのは、何かを「かなえたい!」という強い思いです。「こうしたいな」「こうなったらいいな」という未来のビジョンを持ち、それに向かって一直線に進める人が向いています。もちろん「たくさんお金を儲けたい」という理由が起業の動機でもかまわないのですが、お金儲けだけなら起業しない方が得策かもしれません。会社員として働きながら、もっと楽にお金を稼ぐ方法はいくらでもありますから。
自分のやりたいことを実現させる上で副次的に利益を得るのならいいのですが、お金儲けが主目的になってしまうと、起業自体がどこかで頓挫してしまうのではないでしょうか。
Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします。
「将来なりたい職業が見つからない」「はっきりとした夢や目標がない」と悩んでいる高校生の皆さんは、焦らなくても大丈夫です。自分が好きなこと、興味があることにチャレンジしていくうちに、きっと何かが見つかるはずです。少しやってみて、やはり違うと感じたら途中でやめてもいいんです。学生のうちは失敗してもいくらでもやり直すことができます。まずは挑戦してみましょう。人生の選択肢が広がりますよ!
好奇心旺盛で何事にも臆せず飛び込んでいく、エネルギッシュな中川さん。多忙ながらも、とても充実したお仕事ぶりが伝わってきました。自分がやりたい「何か」がある方は、思い切って起業してみてはいかがでしょうか。会社勤めでは味わえない、仕事の面白さがそこにはきっとありますよ。
【profile】一般社団法人ウオー 釣りアンバサダー 中川めぐみ
この記事のテーマ
「ビジネス・経営」を解説
法律などの専門知識を学び、文書作成などの技能を磨くほか、資格取得や検定合格を目指すカリキュラムもあります。小売業や不動産売買、経営コンサルタントや税理士など、各ビジネス分野におけるスペシャリストも育成します。国家試験の合格が求められる高度な資格を必要とする仕事もありますが、専門学校の中には受験指導に実績を誇る学校もあります。
この記事で取り上げた
「アントレプレナー(起業家)」
はこんな仕事です
自らビジネスプランを考えて、会社を起こす仕事。これまでにない斬新なアイデアで、ベンチャー企業などをつくる人も増えている。かつて株式会社をつくる場合は1000万円以上、有限会社をつくる場合は300万円以上の資本金が必要だった。しかし、2006年5月に会社法が施行され、1円の資本金で起業が可能になり、税務署に開業届などの書類を提出するだけで容易に会社をつくり、社長になれるようになった。会社を起こした後は、自ら考えた経営ビジョンの下、戦略と計画を立てて会社を経営していく。
-
PICK UP! 「アントレプレナー(起業家)」について学べる学校
-
ビジネス・経営について学べる学校

