【シゴトを知ろう】日本料理人 編
メイン
テーマ

素材を大切にしながら、繊細な味わいを表現する日本料理人。見た目にも美しい料理をつくりだす彼らには、どんなストーリーがあるのでしょうか。今回の「シゴトを知ろう」は、山梨県の「割烹 山吹」店主の渡辺健太郎さんにお話を伺いました。
この記事をまとめると
- お客様に満足して帰ってもらうことが、料理人としての喜び
- 料理の道に進みたいという思いが募り、一般企業から転職して板前に
- 学生時代のさまざまな経験が、お客様とのコミュニケーションに生きている
お客様の「おいしい」が自信に
Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えてください。
献立の考案・仕入れ・調理・接客など、お店に関わることを全て行っています。また、店主として、お店の経営についても一人で担っています。
<一日のスケジュール>
09:00 出勤 鮮魚店・精肉店・青果店などで仕入れ
11:00 仕込み
14:00 休憩
16:00 仕込み再開 開店準備
18:00 開店
24:00 閉店作業 帰宅
Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?
お客様の「おいしい」という言葉が聞けることです。当店はカウンターから店内を見渡せるので、お客様の反応が直に分かるんです。料理は全て自分が内容を考え、調理しているため、お客様に満足して帰っていただけたときは、仕事に対する自信というか、誇りを感じられますね。
Q3. 仕事で大変なこと・つらいと感じることはありますか?
何もかも全て、自分でプロデュースしなければいけないところでしょうか。献立の立案から人材の確保、経理など、人に言われてやるのではなく、自分で管理をしなければなりません。個人で営んでいるので、難しい面はあります。
あきらめきれなかった料理への思い
Q4. どのようなきっかけ・経緯でその仕事に就きましたか?
大学時代、小料理屋さんでアルバイトをしていたときの経験がきっかけになっています。お酒と料理を楽しむお客様は、普段よりリラックスした状態なんです。さまざまなお話を伺いながら接客するのはとても楽しいものでした。やがて、お客様が自分に会うために来てくださるようになったのはうれしかったですね。
卒業後は、都内でIT関連の会社に就職。システムエンジニアとして働いていました。そのうち、やはり料理をやりたいという気持ちが芽生え、3年で退職。地元・山梨の割烹へ転職し、修行を積みました。その5年後、独立してこの店を開きました。
Q5. 大学では何を学びましたか?
大学は法学部で学びました。最初は公務員になろうと思っていて、民法のゼミに入りました。一方で、アルバイト先のお客様に誘われてゴルフに行ったり、友達といろいろなところに遊びに行ったり、学問以外のところでさまざまな経験をしました。今でもそれらはお客様との会話の種になっていますね。
Q6. 高校生のとき抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?
高校生のときは、特に夢もなく、何をやっていいか分からない状態でした。大工になろうと思ったこともありましたが、当時は建築需要が縮小していたので、親に止められました(笑)。そこで公務員を進められて、法学部に進学をしたんです。
今の仕事につながっているか分かりませんが、まだ小さい頃、料理をつくったときに、親がすごく喜んでくれたことは記憶しています。野菜炒めなど簡単なものだったと思いますが、そのときはうれしかったですね。
部活も遊びも、役立つ機会がきっとある
Q7. どういう人がその仕事に向いていると思いますか?
料理人としては、几帳面で真面目な人だと思います。おいしい料理をつくるためには、手を抜かないということが大事だからです。
ただ、このお店のように接客も含む場合は、お客様とのコミュニケーション力も重要です。変に真面目すぎてもお客様に楽しんでいただけないですし、ある程度フランクな人が向いていると思います。
Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします。
部活動でも遊びでもいろいろなことをやってみてほしいですね。どんなことでも、後々役に立つ機会があるかもしれません。そして、もし料理人を目指している方がいるなら、高校生のうちは、料理に関しては何もしなくて大丈夫です。料理の世界は、独学で学べることより、現場に出ないと分からないことのほうが多いもの。まっさらな状態で、業界に飛び込んでもらえればと思います。
一旦はシステムエンジニアとして働き、料理をやりたいという思いに突き動かされて転職をした渡辺さん。修行を経て独立を果たし、日々お客様の「おいしい」のために試行錯誤をしています。もし今やりたいことがなくても、さまざまな経験を重ねることで、打ち込める仕事に巡り会えるかもしれません。
【profile】割烹山吹 店主 渡辺健太郎
この記事のテーマ
「食・栄養・調理・製菓」を解説
料理や菓子などの調理技術や、栄養や衛生などに関する基礎知識を身につけます。職種に応じた実技を段階的に学ぶほか、栄養士などの職種を希望する場合は、資格取得のための学習も必須です。飲食サービスに関わる仕事を目指す場合は、メニュー開発や盛りつけ、店のコーディネートに関するアイデアやセンス、酒や食材に関する幅広い知識も求められます。
この記事で取り上げた
「日本料理人」
はこんな仕事です
専門料理店や割烹、旅館・ホテルなどで日本料理をつくる仕事。料理人の中でも、特に日本料理人を指して「板前」と呼ぶこともある。懐石料理や精進料理、すし、天ぷら、うなぎなど、専門とする料理の種類によって仕事の内容はさまざまだが、一人前になるまで時間がかかる点は共通。修業時代は調理の準備や洗い物、まかない(料理人たち自身の食事)づくりなどが主な仕事となる。それらの仕事をこなしながら料理の技術を一つひとつ身に付けて、やがて一人前の調理人として店を任されたり、自分の店が持てるようになっていく。
-
PICK UP! 「日本料理人」について学べる学校
-
食・栄養・調理・製菓について学べる学校

