【全国高校生そば打ち選手権大会・優勝】北海道幌加内高等学校
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日本を代表する食文化の一つである「そば」。そんなそば打ちの腕を競う高校生大会が、8月26日に開催されました。行われたのは個人の部と、4人で出場する団体の部。第9回となった今大会では、個人・団体の部ともに北海道幌加内高等学校が優勝しました。
個人・団体両方で優勝した藤井夏麗さん(3年)、団体メンバーの樋浦佑哉くん(2年)、久保詩結さん(2年)、有木凪沙さん(2年)と、メンバーを支えた阿部司くん(1年)、河部秀くん(1年)にお話を伺いました。
この記事をまとめると
- 個人・団体で争われる、「二八そば」を打つ技術
- 楽しくそばを打てたことが一番の勝因
- 反省点を意識して練習することで成長
そば打ちの技術が求められる大会での3年連続・6度目の優勝
今大会で打つのは「二八そば」と呼ばれる、そば粉8割・割り粉2割で作られるそば。1kgのそばを制限時間40分の中でいかに上手く仕上げられるかを競います。粉をふるいにかけ、「水回し」を行い、こね鉢で「こね・練り」を行います。そして麺棒を使って適度な大きさに「のし」、最後に「切り」を行って完成です。
個人の部はそば打ちの全ての工程を一人で行いますが、団体の部は4人一組となり、4分毎に交代しながらそばを打っていきます。どんなにキリの悪いタイミングだったとしても、時間が来ると次の選手に交代しなければならないため、チーム内での連携が求められます。
今回個人・団体の部両方で優勝したのは、北海道幌加内高校。北海道幌加内高校は、個人では5度目、団体では3年連続6度目の団体優勝となりました。優勝直後で涙を流しながら喜んでいた選手の皆さんに、優勝した気持ちや努力してきたことなどを伺いました。
楽しくそばを打てたことが何より良かった!
―― 優勝された感想をお聞かせください。
藤井:すっごくうれしかったです。そばを楽しく打つことができたので、その点でも、とても良かったと思います。
久保:すごく緊張しましたが、今までで一番楽しくそばを打つことができました。団体練習のときには「みんなで笑顔でやろう」と声を掛け合っていました。自分はいつも真顔になってしまいがちなんですが、本番では気を付けて、笑顔で打ちました!
有木:合宿や日々の練習のときにお世話になった講師や先生方、応援してくださった皆さんに、少しは恩返しできたのかなと思います。油断せずに、来年以降もまた頑張っていきたいです!
阿部:僕はこの大会に出るのが初めてで、たくさん不安なことや緊張もありましたが、優勝できてうれしかったです。来年はメンバーに入って、頑張りたいです。
―― 藤井さんは個人・団体共に優勝されました。優勝できた一番の要因は何だと思いますか?
藤井:一番楽しんでそば打ちができたことだと思います。また、姿勢などの自分の良い部分や、「切り」などの得意な部分を伸ばせたことが良かったのかなと思います。
―― 大会に向けて、どのような練習をされましたか?
藤井:日々の練習は、放課後に1時間~2時間くらい。学校の授業が終わったらすぐに道場に向かって、一回でも多くそば打ちができるように練習してきました。大会に向けての合宿も4日間行いました。合宿中は朝の8時から夜の9時まで、ぶっ通しでそばを打ちました。
一人ずつ課題やその日の目標を立てて、それを達成できるように練習しました。先生方に良くなかった部分などのアドバイスをいただき、練習後には各自ノートに反省点を書いて振り返るようにしています。
そこで挙がっていた反省点は、例えば一人ひとり行動や手の動きが遅かったり、自分が何をやっていいのか状況を掴めなかったことなどですね。
それぞれの苦手を克服して勝ち取った優勝
―― 団体の部は4分毎に交代していくルールでした。どのようなところに難しさがありましたか?
藤井:作業の途中に交代するときが、とても難しいです。例えばのし(そば玉を薄く広げていく作業)のとき。前の人がどこをのしていたかは見ていても分かりますが、自分がやるとなると、大変です。前の人の作業をしっかり見て、生地の厚さ確認や次やるべきことを考えながら引き継ぐ必要があります。
―― 準備される中で一番努力されたことは何ですか?
藤井:後輩たちがどうしたら楽しくそばを打てるかを考えながら、その中で自分には何ができるかを考えて練習してきました。
有木:私は2年生になってからそば部に入部しました。同級生のみんなより練習量が少ない分、レベルに差が出てしまっていたので、高校の名前に恥じないよう、先輩の目標や周りの人からの期待に応えられるよう、頑張りました。
―― 大会の中でうまくできたところ、意識したことはありましたか?
樋浦:僕はいつも「本のし」のところで、力を入れすぎてしまう癖がありました。本番ではのし過ぎないように意識していたところ、いつもはできないのにうまくできて……僕は本番に強いんだなと思いました(笑)。
久保:私は「丸のし」と最後の「切り」の作業を担当しました。私は体重をかけて大きく「のす(生地を伸ばす作業)」ことが苦手。いつもは4分かけても「丸のし」が終わるか終わらないかで、みんなに迷惑をかけてしまっていました。本番では迷惑をかけないように本当に頑張りました!
―― 来年に向けての意気込みをお願いします。
河部:今回先輩方の活躍を見て、来年に向けての勉強になりましたし、本当にいい先輩を持てたなと実感しました。来年2年生になっても優勝して、再来年3年生でも優勝して、歴史をつなげていきたいと思っています!
樋浦:今回一番いいそばを打てて、みんなで獲れた1位なので、この優勝旗は絶対にどこにも持っていかせたくありません。来年も4連覇して次の世代に引き継ぎたいと思っています。本当に今日は楽しかったです!
団体の部は全11組が並び、緊張感のある雰囲気の中で作業していきます。タイムキーパーが時間や交代を知らせる声が響く中、焦ってしまう人も少なくなかったのではないかと思います。そんな中で皆さんが揃って口にしていたのは「楽しくそば打ちができた」ということ。お互いを信頼しあっているからこそ、その場を楽しんで、普段よりも良いパフォーマンスを出すことができたのではないでしょうか。
優勝直後の皆さんは、もうすでに次の大会を見据えていました。北海道幌加内高校・そば部の皆さんの来年の活躍も、応援したいですね。
【profile】北海道幌加内高等学校 そば部
藤井夏麗(3年)、樋浦佑哉(2年)、久保詩結(2年)、有木凪沙(2年)、阿部司(1年)、河部秀(1年)