【シゴトを知ろう】トリマー ~番外編~

トリミングを通してペットの魅力を引き出しながら、健康面のチェックも行うトリマー。日常的に動物と触れあえる幸せを感じられる一方で、地道な努力の積み重ねが欠かせないお仕事です。ペットサロンフレンド市川店の鈴木沙歩さんと越後喜子さんのお二人に、トリマーに求められることやトリマーならではの「あるある」、今後の目標などについても伺いました。
この記事をまとめると
- 事前カウンセリングとスピーディーな施術により、ペットの負担を減らす
- トリマーには「技術」「知識」「接客」の3つが求められる
- トリミングの大切さをもっと広く飼い主様に広めたい!
ペットに負担の少ないトリミングを行うためにカウンセリングが大切
―― 仕事の中で、こだわっていることはありますか?
鈴木:ペットに負担の少ない施術をすることです。トリミングに時間をかけ過ぎないように心がけています。長時間のトリミングは、ワンちゃんにとって大きなストレスになってしまいます。またトリミングは、飼い主様への事前カウンセリングも非常に大切です。仕上がりの希望だけではなく、ワンちゃんの年齢や持病なども事前にきちんとお伺いしておくことで、施術中どんなことに気を付けるべきかが分かります。
越後:例えば、高齢犬の場合は施術の仕方に細心の注意を払う必要がありますし、心臓が弱い犬の場合はよりスピーディーに仕上げなければなりません。特に、シャンプーの際は興奮して呼吸が荒くなるので、心臓に負担がかかり過ぎて亡くなってしまうケースもあります。人間と違い、ペットは痛みや自分の体について、自分の言葉で伝えることができません。そのぶん、飼い主様とトリマー間できちんと情報共有をしておくことが大切です。
―― この仕事に就いてから、何か勉強していることはありますか?
鈴木:トリマーには、大きく分けると「技術」「知識」「接客」の3つが求められます。これらに関しては常に勉強を続けていますね。
技術面は、週1回サロン内でトレーニングを受けたり、外部セミナーへ積極的に参加したりして学んでいます。また、他のサロンがアップしているインスタグラムの画像やYouTubeを見るのも勉強になりますね。
接客面は、サロン内で接客練習などをしながら学んでいます。飼い主様からトリミングの際に必要なことを聞く「カウンセリング力」も重要です。また、スタイリングや今後のケアについて提案したり、どんなカットをしたのか説明したりする際には飼い主様に「どうやったら伝わるかを考えること」が必要になります。
知識に関しては、技術力や接客力を伸ばすための知識を身に付けながら、ペットの体や病気についても学んでいます。健康をチェックするために、そしてペットにとって安全な施術を行うためには、特に「心臓」「関節」「皮膚」についての勉強が欠かせません。
越後:何かに飛びぬけて長けているトリマーさんもいいですね。飼い主様に「このトリマーさんにやってほしい!」と仰っていただける、つまりファンになってくださるお客様が増えます。強みをもつのも大切ですね。
トリミング中は興奮させすぎないように注意が必要
―― この業界にいるからこそ知ったことはありますか?
越後:トリミングの重要さです。ペットを可愛くするためだけではなく、健康にもしっかり関わってくるからこそ、定期的なトリミングが必要なのだなと実感しました。
―― トリミングはどのくらいの頻度で来るべきなのですか?
鈴木:犬種や皮膚の状態によっても変わりますが、シャンプーのみの場合は、清潔な状態を保つために2週間に1回は来ていただきたいですね。
カットとシャンプーの場合も犬種によって異なりますが、例えばプードルなど毛の長いワンちゃんは3~4週間に1回は来ていただくと、毛のもつれや毛玉を防げます。フレンチブルドッグなど毛の短いワンちゃんは、家でシャンプーをしないのであれば最低でも月1回、家でこまめにシャンプーをするのであれば2カ月に1回程度と思います。
―― ペットによって、トリミングの大変さは変わってきますか?
越後:すごく変わります。60kgくらいの大きなワンちゃんの場合、体を持ち上げるだけでも一苦労。あとは、ネコちゃんも大変ですね。ネコちゃんは人にあまり慣れませんし、家とは全く違う環境におかれるだけですごく興奮してしまうんです。興奮で呼吸困難にならないように気を付けています。それから、トリマーがケガをしないように注意しています。
トリミングの大切さを飼い主様にもっと知ってもらいたい!
―― この仕事ならではの「あるある」なことはありますか?
鈴木:散歩中のワンちゃんに、つい声をかけてしまいます(笑)。どうしても気になって、寄っていっちゃうんですよね。
―― 休日はどんなことをして過ごされているんですか?
鈴木:私はインドア派なので、家でゆったりリラックスして過ごすことが多いです。あとは、参加したいものがあれば外部のセミナーに行ったり、愛犬の散歩に行ったりしています。
越後:私は逆に、外へ出掛けることが多いです。自転車でいろいろな場所へ行ってリフレッシュしています。家で映画を見ながらゆっくり過ごすこともあります。
―― 最後に、今後の目標を教えてください。
鈴木:お客様に心から満足していただけるようなトリマーになるのが、私の目標です。もっと知識も充実させて、接客面もカットも追求して、今の自分よりさらにレベルアップしていきたいと思っています。
越後:トリミングの大切さを、もっと飼い主様に知っていただくことですね。ペットサロンに来る間隔があいてしまう方も多いのですが、ワンちゃんの健康を守るためにも定期的なトリミングは欠かせません。そのことを、飼い主様の心にしっかりと響くように、上手に伝えられるようになりたいと思っています。
ペットと会話をしながらトリミングをしているご様子からも、ペットに対する大きな愛情がひしひしと伝わってきました。トリマーは、生き物の命を扱う責任感、専門的な知識や技術、接客など、多くの要素が求められる仕事です。だからこそ、得られるやりがいや喜びは何にも替えがたいのかもしれません。
【profile】ペットサロンフレンド 市川店 鈴木沙歩、越後喜子
この記事のテーマ
「動物・植物」を解説
生き物を取り扱う仕事には、動物や観賞用の植物に関わり暮らしに潤いを提供する分野や、食の供給や環境保全を担う農業・林業・水産業などの分野があります。また盲導犬や警察犬などの調教・訓練や水族館や動物園で働く選択肢もあります。この仕事をめざすには、動物や植物の生態や生育に関する専門知識を身につけ、希望する職種に必要な技術修得が必要です。
この記事で取り上げた
「トリマー」
はこんな仕事です
トリマーとは、犬や猫などの美容師のこと。ブラッシングやシャンプー、カットはもちろん、爪の手入れ、耳掃除、足裏の手入れなども行い、ペットを清潔に保つケアを施す。ケアの前には、獣医衛生学などの知識を基にペットの健康状態をチェック。飼い主にペットの健康についてアドバイスをすることもトリマーの仕事。チェックが終わったら飼い主の要望をヒアリングしながらペットの毛をカットしていく。飼い主の要望に合わせながらも、自分の経験やセンスを生かしたスタイリングができるので、やりがいも大きい。
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