日本一情報発信する医師・樺沢先生が教える 人に教える勉強方法
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「日本一、情報発信する医師」として活動している、精神科医で作家の樺沢紫苑(かばさわ しおん)先生。普段勉強する際、もっといい勉強法は無いのかな……と思ったことはありませんか? より理解力を高めて、記憶に残りやすい勉強方法が「人に教えること」だそう。
人に教えることに、どのような効果があるのでしょうか? 樺沢先生に教えていただきました。
この記事をまとめると
- 人に説明することは、アウトプット力を鍛える恰好のトレーニング
- 説明することにより、「意味記憶」を「エピソード記憶」に変換
- 人に教えることを前提に勉強することで、記憶力がアップした研究結果
人に教えることで、物語・ストーリーとして記憶できる
人に説明することは、アウトプット力を鍛える恰好のトレーニングになります。さらに説明することによって、 圧倒的に記憶に残りやすくなる効果もあります。
たとえば、三角形の面積の公式は「底辺×高さ÷2」ですが、「なぜ”底辺×高さ÷2”なのか説明してください」 といわれたらどうでしょうか。小学生レベルの問題ですが、意外と難しいですよね。
「まず、三角形を含む長方形を書きます。三角形の頂点から垂直に線を下ろします。そうすると、左側と右側 に面積の等しい三角形が2つあらわれました。だから、長方形の面積『底辺×高さ』を2で割ると三角形の面積になるのです。」
このように説明できると、三角形の面積の公式は絶対に忘れないでしょう。説明することによって、「意味記憶」が「エピソード記憶」に変換されるため、圧倒的に記憶に残りやすくなるのです。
「意味記憶」というのは、英単語「apple=りんご」の組み合わせのように、関連性の薄い組み合わせのこと。「エピソード記憶」というのは過去にあった出来事や体験、つまり物語・ストーリーとしての記憶です。「意味記憶」は覚えづらく忘れやすい、「エピソード記憶」は覚えやすく忘れにくいという特徴があります。
人に教えるために理解しながら覚えるため、記憶が定着する
人に教えることに関して、ロンドン大学の興味深い研究があります。あるものを暗記してもらう実験で、最初のグループには、「これが終わった後にテストをしますので、暗記してください」と言います。もう一つのグループには、「これが終わった後に他の人に教えてもらいますので、ちゃんと記憶しておいてください」と言います。
同じ時間をかけて暗記してもらった結果、両方のグループに同じテストをしました。その結果、「教えてもらいます」と伝えたグループのほうが高い得点を取ったのです。
つまり人に教えることを前提に勉強するだけで、記憶力がアップして学びの効果が上がるということです。人に教えた経験がある人は分かると思いますが、しっかり理解していないと、人に教えることはできません。友人同士で協力し、自分の得意な分野を教えて、不得意な分野を教えてもらうなどするのはとても効果的なのです。
理数系や英語の文法など理解が必要な科目に関しては、これから友達と教えあって勉強してみてはいかがでしょうか。お互いに得意な教科を教え合うことにより、理解が深まるだけでなく、より楽しく勉強することができるようになるかもしれませんね。
【出典】
「学びを結果に変える アウトプット大全」
https://www.amazon.co.jp/dp/4801400558/
【Profile】
樺沢紫苑(かばさわしおん)
精神科医、作家
1965年、札幌生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。2004年からシカゴのイリノイ大学に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。
SNS、メールマガジン、YouTubeなどで累計40万人以上に、精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝え、「日本一、情報発信する医師」として活動している。
月に20冊以上の読書を30年以上継続している読書家。そのユニークな読書術を紹介した『読んだら忘れない読書術』(サンマーク出版)は、15万部のベストセラーに。
その他、『いい緊張は能力を2倍にする』(文響社)、『脳のパフォーマンスを最大まで引き出す 神・時間術』(大和書房)など、28冊の著書がある。
公式ブログ http://kabasawa3.com/blog/